とうとう歌い出しが音になったオトノケ
オトノケがデジタルリリースされた。
思ったままに感想を書く。
「ダンダダン」というアニメのオープニングソングということもあり、ダンダダンと歌い出す。
Rさんは伝えきれない想いを選び抜いて歌にしていると思うから、意味を持たない音だけの歌詞がこんなにも歌われていることにも驚いた。
音に感情を乗せて強弱をつけるのは難しいが、「ダンダダン」に強弱をつけているし、そのあとも”an”で韻を踏み、「ハイレタ」で「ダンダダン」と同じように繰り返し歌っている。
この歌の主人公(このアニメの主人公?)は、Bling-bang-bang-bang同様自分に自信を持っている。
そして、二度寝の歌詞のように大切な「貴方」がいる。これまでのCreepy Nutsの楽曲の二人称はDJ松永さん、ファン、ヘイターアンチ、ラップなので、ラップ以外への愛がある歌は珍しい。
この歌詞の主人公は暗闇の中にいる。
暗闇といえば前を進めば道は開けるというイメージがあるが、
「背中に今羽が生えたならば」と、
上に向かったり
「足元に今花が咲いたならば」と、
下を照らしたり
新しい切り口だ。
自分ではなく環境の変化で暗闇からおさらばしようとしている。
しかも「羽が生えたら」や「咲けば」ではなく、「羽が生えたならば」「咲いたならば」、とできない上での仮定の強調である。
「パッと咲いて散って灰に」のような特定の状況下の描写の歌だけど、散って灰になったとしても生き続けると歌ってくれていて、また新たな場所に立ったなと思う。
また生業など一発かましたるという闘志があるが、オトノケはとうとう「(歌で)何度だって生きる」と歌っている。目の前のお客さんたち、この一瞬にではなく、誰かに残る音楽を作っている(作っていく)と言ってくれている。心強い。しかも「飛び立っていく彼方」とたとえ飛び立ったとしても、私たちの中で音楽は生き続けると保証してくれているのだ。
もしRさんが私よりも先に彼方に飛び立ってしまったら私はこの歌をはなむけの歌にしたい。
他の人の考察によると、Rさんは自分の歌が聴き手の心境と重なり合う、それをこの歌でも表現しているとのことだった。
ライブでよくRさんは、自分の歌詞が誰かにたまたまリンクすると言っているが、この曲は聴き手のことも考えたような歌詞で、一方的ではないような気がする。
古来の日本語、大和言葉、たとえば山、川、空などは2文字が多いと聞いたことがあるが、ココロ、カラダ、アタマなど三文字も意外も多いと知った。よく見つけたな。
「バカ」「ガキ」など、悪い意味の表現も昔ならもっと鋭い表現だったのではないかと思う。
そしてインストバージョン。
音に詳しくないから感覚で書く。
ブラックラッパーっぽい音楽から
(二度寝に近い拍子)
一拍置いて妖怪っぽい音、
妖怪の早口言葉っぽい音、
二度寝の変調に似た時の音、
すぱっと道が開ける音、
いろんなジャンルの音が交互に鳴り響く。
途中で自転車のベルみたいな音も聴こえる。
途中で明るくなるなら、きっと飛び立てたんだろうなと想像する。
0.75倍速くらいで秦基博さんに歌ってほしくなる気持ちいい音。
30年後ぐらいにスローバージョンを聴きたい。