毎年蝉が連れてくる曲~ボブ・ディラン「せみの鳴く日」
noteさんの連続投稿チャレンジがまた始まったようです。
連続投稿が出来るかはわかりませんが、今回も乗っかってみようと思います。
最初に選んだテーマは #夏の定番曲
僕の”夏の定番曲”は、タイトルにも記したとおり、敬愛してやまないボブ・ディランの「せみの鳴く日」(原題:Days of the Locusts)です。
収録アルバム
この曲は、1970年に発表されたアルバム『新しい夜明け』(原題:New Morning)の2曲目に収録されています。
ちなみにアルバムの1曲目は、名曲「イフ・ナット・フォー・ユー」。
発表当時、ボブ・ディランは29歳。
モーターバイク事故による大怪我やカントリーミュージックへの傾倒など、激動の20代後半を経た末に発表されました。
このアルバム、「せみの鳴く日」に限らず、個人的には好きなアルバムです。
名盤『ブロンド・オン・ブロンド』の系譜のようなフォーク・ロックとカントリーやジャズが融合したようなサウンド、母音を伸ばす特徴的な唄い方など、僕が好きな”ボブ・ディランらしさ”が詰まったアルバムです。
「せみの鳴く日」について
「せみの鳴く日」は、ボブ・ディランが、アメリカ・プリンストン大学から名誉音楽博士号を授与された際の様子や心情を歌った曲です。
蝉の鳴き声から始まり、自ら演奏するピアノにしわがれ声で歌うナンバー。
賞が大好きなボブ・ディランですが、この曲の訳詞(片桐ユズルさん訳)を読む限り、この博士号に関しては好意的な印象は持っていなかった模様です。
とにかく終始、授与式や大学側を斜に構えた言葉(ボブ・ディラン独特の詩的な言い回し)で表現し、物悲しさを漂わせたヴォーカルで「蝉だけが僕のために美しい歌を奏でてくれる」と唄いきります。
曲後半の荒っぽいピアノ演奏が、さらに怒りだったり虚無感だったりを助長させてくれます。
蝉が鳴き出すと聴きたくなる
ある意味、”ボブ・ディランらしさ”満載の「せみの鳴く日」。
蝉の鳴き声があたりから聞こえ始めてくる時期になると、毎年のようにこの「せみの鳴く日」が僕の頭の中で自動再生されます。
いや、「自動再生される」というよりは、蝉が毎年この曲を連れてきてくれるように感じます。
まさに今。
比較的自然の多い我が家の周りで、蝉が盛大に鳴いています。
そんなこんなで、今年もまた「せみの鳴く日」を聴き始めます。
連日猛暑が続きますが、この曲を聴くことで、今しか聴けない蝉の美しい歌声も愛おしく思えます。