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DIC川村記念美術館でミニマルアートに触れる【カール・アンドレ 彫刻と詩、その間】
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で開催されている企画展『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』に行ってきました。
同美術館を訪問するのは、(調べたところ)22年ぶりでした。
その際は、モネの睡蓮を集めた展覧会を見に行きました。
美術館の名称も「川村記念美術館」から「DIC川村記念美術館」に変わったため、ほぼ初めての訪問という感覚で行ってきました。
美術館や庭園の写真も交えつつ、『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』展の感想をnoteしようと思います。
DIC川村記念美術館への行き方
冒頭で「千葉県佐倉市にある」と記しました。
同市には「佐倉駅」という駅が2つありますが、この美術館については、駅からは大分(徒歩で行くには現実的ではないほど)離れている場所にあります。
車以外でのアクセスとしては、京成本線「京成佐倉」駅またはJR総武本線「佐倉」駅から無料の送迎バスを利用するか、東京駅から高速バス(有料)を利用する方法となります。
僕は、京成佐倉駅から無料の送迎バスを利用させていただきました。
参考までに、京成佐倉駅の乗り場は、南口の階段を降りて数十秒歩いたところにあるカメラ屋さんの前あたり。
以下のような看板が立っているのでわかりやすいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1714780741734-wGcjWcREdg.jpg?width=1200)
今回訪問した理由~「ミニマル・アート」って何?
美術館や『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』の感想を記す前に、今回なぜ22年ぶりに川村記念美術館を訪問しようと思ったのか。
きっかけとしては、「休日どこか行こうかな」「面白そうな美術展やってないかな」というネット検索から始まりました。
その中で、たまたまDIC川村記念美術館で開催中の『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』に目が留まりました。
「カール・アンドレ」さん自体存じ上げなかったのですが、しばらく行ってない美術館でしたし、「彫刻と詩」という副題も心に引っかかりました。
なにより、初めて目にする【ミニマル・アート】という言葉。
美術館の企画展ページを見ると、何やら同じ形の素材を並べた作品が展示されている模様。
「これが”ミニマル・アート”なの?」
「というか、これが”アート”なの?」
「これで何を感じ取るの?」
大変失礼ではありますが、無知な僕にはこのような感想しか出てきませんでした。
「えい、わからないんなら行ってしまえ!」
と、(美術館の場所も)同じ県内という地の利もあり、行動に移すことにした次第です。
一応参考までに、DIC川村記念美術館のリンクを貼っておきます。
22年ぶりのDIC川村記念美術館
思った以上に山の中だった
京成佐倉駅から送迎バスに揺られること30分。
幾つもの山や谷、田畑を越え、小高い山中でバスは停車しました。
22年ぶりということもあり、どのような場所だったのかすっかり忘れていました。
着いたときの感想は、
「え、、こんな山の中だったっけ?」
でした。
桜も散り、ツツジの見頃も過ぎていましたが、「こんな山の中」だからこそ、新緑のグラデーションがとても美しかったです。
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到着したのは、開館10分ほど前でしたが、すでに車で来館された方も多く、美術館や無料で入れる庭園前に多くの人がいました。
僕も、入口の券売機で1,800円を支払い、入場券を購入。
開館時間を待ちました。
22年ぶりの美術館へ
10分少々うろうろして、ようやく開館。
門が開いたので、小径を進み美術館へ向かいます。
象徴的な池が見えたら、美術館はすぐそこ。
![](https://assets.st-note.com/img/1714782743731-RmNRUAG7AJ.jpg?width=1200)
美しい建築の美術館が見えてきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1714782874985-xOS7jWN8x5.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1714782911021-8l6JrQ47DS.jpg?width=1200)
企業の私設美術館ですが、建物自体もまるで展示物のひとつかのようで、見ていて本当に美しいです。
内部の写真はさすがに控えましたが、光や景観を効果的に取り込んだ空間や、テーマごとに区切られた展示室など、作品が展示されていない部分でも目を楽しませてくれます。
『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』展へ
さて、今回最も見たかった企画展『カール・アンドレ 彫刻と詩、その間』。
順序としては、同美術館のコレクション展示を見たあと、最後に控えています。
※今回は、同企画展が目的で来たので、コレクション展示については触れないことをご容赦ください
入口で企画展のレジュメを受け取り、注意点について説明を受けて会場へ入りました。
カール・アンドレさんは、「彫刻と詩」という副題にもあるように、彫刻家であり詩人でもあられた方。(今年2024年1月に逝去されたとのことです)
今回の企画展では、氏が生み出した”ミニマル・アート”なる彫刻と、タイプライターで紡がれた詩が展示されていました。
ミニマル・アート素人が感じたこと
同作品展では、同じ形に切り出した鉄・銅板や木材を並べたり重ねたりした彫刻作品が、広い会場を有効的に利用して展示されていました。
そもそも、ミニマル・アートとは、「ミニマル」とあるとおり装飾や説明を極力省いた作品を指すようです。
アンドレさんの彫刻作品は、規則的に連続して配置された素材と、それらが置かれた空間(=場)を含めて表現した作品とのこと。
また、素材は一切装飾されておらず、形もある程度揃えられてはいるものの一枚一枚(あるいは一片一片)表情が異なります。
たとえば、錆の有無であったり木目や割れ目の違いであったりと、それぞれの素材自体に目を凝らすことで、発見が生まれます。
無知な僕は作品に何かを見出そうと必死に目を凝らしてしまいますが、「その作品」が置かれた「空間」も、”作品”の内包物の一つなのですね。
例えば『ライムストーン・テトラセル』という作品。
13枚の石が配置された作品ですが、作品内(配置された石の内側)に4つの空間が開いています。
この展示室では木目の床でしたが、その開いた空間から木目の床が浮かび上がっているかのよう。
要するに、作品の空間から覗く床(=作品が置かれた場)も、”作品”の一つとして確かに「存在」していることを実感。
仏教で言うところの色即是空に通ずる感覚でした。
(美術素人の感想ですので的外れな感想かも知れませんがご容赦を)
この作品展では、4つの作品のみ上を歩くことができます。
最初は「歩いてどうするの?」と思ったのですが、作品を真上から見下ろしたり、真横から見ることで得られる発見がありました。
一枚一枚の素材の表情を間近で見て取れるのはもちろん、規則的に配置されている素材の間の微妙な隙間もその”発見”のひとつでした。
『ライムストーン・テトラセル』と同様、その隙間から除く床面(=作品とは異なる素材)や光も作品の一要素のように感じられました。
また、『上昇』という、今回の企画展でもっとも大きな作品。
背丈より大きな銅板を直角に曲げた素材が並んで配置されている作品ですが、そのトンネルのような作品の上を歩くことで、まるで自分が作品に包まれている感覚(というか、自分も作品の一要素になったような感覚)に陥ります。
上を歩ける作品は4つと限られていますが、彫刻作品を多角的に楽しむことができ、大変貴重な機会だと思いました。
同作品展のもう一つの展示室では、氏が創作された詩が展示されています。
アメリカの方なので、当然英語です。
ただ、「詩」の展示ではありますが、タイプライターで”描かれた”詩はとても独特なもの。
一枚の無機質な用紙がまるでキャンバスのようで、単語や英文が自由(恐らくかなり意図的に)配置されており、一枚一枚がアートでした。
英語を解せれば深く楽しめたのかもしれませんが、英語を話せず読むこともできない僕には、内容まで理解することは困難でした。
詩に関しては、いただいたレジュメの説明を読みながら、作品を”見て”楽しんでいました。
「ミニマル・アートとは何ぞや?」というところから始まった今回の美術館訪問。
偉そうに感想を並べたてましたが、正直、作品の本質を理解できたかというと、そこまでは到達していないというか、「何となく」な感想しか抱くことができませんでした。
しかし、実際に作品を目にすることで感じられたものもありましたので、(本質は理解できないまでも)有意義な時間を過ごすことができました。
アート鑑賞後の庭園散策(写真)
美術館を後にして、帰りのバスの時間まで少し庭園を散策しました。
奥まで散策はできませんでしたが、新緑がとても美しく、普段ブルーライトで酷使している眼の良い保養になりました。
芝生のあるエリアではキッチンカーも何台か出店していて、おいしそうな匂いを漂わせていました。
幾枚か(iPhoneですが)写真を撮りましたので、美しい庭園や自然の風景を感じていただければと思います。
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おわりに
久しぶりに訪れたDIC川村記念美術館でしたが、企画展や庭園散策も含め、有意義な休日を過ごすことができました。
コーヒー豆のお土産
美術館内のミュージアムショップをのぞいたところ、美術館をイメージしたオリジナルブレンドのコーヒー豆(と粉)が2種類販売されていました。
四街道に店舗を構える「たべいコーヒー」さんという、スペシャルティコーヒー専門店が、DIC川村記念美術館のためにブレンドしたコーヒーとのこと。
美術展をイメージしたドリップバッグは見たことがありますが、美術館のグッズとしてオリジナルのコーヒー豆を販売されているのは珍しいと思い、お土産として購入しました。
地域に根差した私設美術館ならではのコラボレーションですね。
今回は2種類あるうちの1つのみ購入しましたが、次回訪問する機会があれば、もう1種類を購入しようと思います。
最後に、お土産のコーヒー豆と、美術館や企画展のチラシ類の写真を。
![](https://assets.st-note.com/img/1714794455391-a1IpuiOdwM.jpg?width=1200)
「行動すること」の重要性
最後に。
一見、自分とは縁もなく理解の及ばない芸術でも、実際に足を運んでみると素人なりの感想が湧き出ますし、わからないなりにも今後の人生の礎となる可能性もあるものだと、今回の企画展であらためて実感しました。
行動することの大切さを、50歳にして改めて思いました。
興味を抱いたものは”とにかく行動”してみること。
これをモットーに、これからも人生のんびり楽しみたいと思います。