Vol.3 90歳になったとしても偉大な存在
「みとりの相談室」ではこんなことをしています
毎月1回第1・第3火曜日に開催している「みとりの相談室」は
前半と後半の2部構成になっています。
まずは前半
「みとり」にまつわる様々なご相談を
受け付けています
《例えば》
・自宅に迎え入れようとしたときの準備は
何からすればいい?
・家族にできる事はどんな事があるのでしょうか?
・看取った両親の事を思うと
今も苦しくなる事があります。
などなど
個別で相談する環境とは違い
その日に集まった参加者の皆さまからの体験談や
アドバイスをもらえるところもいいところです。
みとりの場面は千差万別。
一つとして同じ場面はないので、いろんなケースにふれることは、
自分自身に知識を与えることにもなりますし
なにより勇気を与えてもらえます。
後半は「死生観を語ってみる」
みとりの場面において、
自分自身が死生観を持ち合わせている事は
自分の残された時間を思い通りに過ごすためにも
大切な方に寄り添う時にも支えになります。
オリジナルの《これからカード》を使って
自分自身の死生観について
語る時間を設けています。
場面設定がされているその状況において
自分自身がなんと答えるかを体験していきます。
「みとりの相談室」の参加お申し込みは
メールアドレスmitorishimachida@gmail.com まで
お電話でも申込めます。電話番号 080-7470-4878
何歳になっても母は母。子供は子供である。
みとりの相談室の数日前に、参加のお電話を頂いた方は
60代の女性の方でした。
場所の説明等をさせて頂き、「だいたい分かりました」と
おっしゃるので、
近隣にお住まいの方だと想像していました。
相談室に当日、お見えになったその方は
小柄な方でとてもセンスのいいオシャレな方
お近くにお住まいかと思ったら
今は都心に住んでいて
以前、開催場所がある玉川学園前に住んでいたとのこと
お母様が入所されている老人ホームもこのお近くということで
土地勘があるのは、そう言う事だったのでした。
みとりの相談室の第1部では
参加して下さった方々の
自己紹介と質問を投げかけてもらいます
主催者である私たちの一方的な意見だけではなく
参加してくださった方々の貴重な体験も
質問の答えとして受け取って頂けます。
今回お見えになったその方の相談は、
90代になるお母様のこと
老人ホームに入所しているお母様は
退所して他県に住む長男さんと
一緒に住みたいと言い出しているとのこと。
他県に住む長男さんはもちろん、そのことは知らないし
知ったとしても無理だということで
娘さんが一緒に住むことも考えたのだけど
お母さんが帰ると行っている自宅はもう
ホームに入所してから売却済み
ホームを訪ねるたびに、帰る!!と
言い出して困ってると言うことでした。
ご家族との同居ではなく独居で過ごされていた方は
持ち家を手放して、
有料老人ホーム等に入所されている方も多く
いざ、自宅に帰ろうと思っても
帰る場所を失っている方も多いのが現実
この方のお母様のように、家に帰りたいと言っても
ご家族は困り経ててしまうことに。
さらに、この方とお母様の間には
とても厚い壁が立ちはだかっていました。
初めて母に対して「嫌だ」と言えた。
90代となり、腰痛やら何やら
身体のどこかしらに痛みを訴え、自分一人では外出も出来ず
食欲も若い時に比べれば、少なくなっていっているお母様。
それでも、お母様が発する一言は
いまだ、子供達の背筋にピンと電気が走るほどの
衝撃を持っているのだとか。
いよいよ歳を取って
車いすでの生活が多くなって来た頃に弱くなった母に
人生で初めて「嫌です」と
言えたのだとも話してくださいました。
しかし、まだまだ
母と子供という立ち位置に変わりがなく
お母さんの意見は絶対だということでした。
そんな娘さんは、
数年前からご自身の生活スタイルにも変化が訪れて
ホームからの呼び出しにもすぐには駆けつけられない距離に
今は住んでおられます。そして
コロナ禍にあって、面会も出来ずに過ごされていますので
どちらかというと、自分の好きな様に生活出来ていたはず。
それなのに、母を思う気持ちには距離は関係なく
離れれば離れるほど、逆に
母という存在は重くなっていくのでした。
他の方の親子の関係性や、いろんな体験談をお聞きする中で
いろんなヒントを手にされたようです。
お帰りになることには「また来ていいですか?」と
言い残してお帰りになりました。
最期はどこで迎えたいか
内閣府の『令和元年版高齢社会白書』では
60歳以上の人に、万一治る見込みがない病気になった場合、
最期を迎えたい場所はどこかを聞いたところ、
約半数(51.0%)の人が「自宅」と答えている。
次いで、「病院・介護療養型医療施設」が31.4%となっている。
性別に見ると、「自宅」とする回答は、
男性の59.2%に対し、女性は43.8%とやや低くなっている。
さらに年齢別に見ると、男性は年齢による差はあまりないが、
女性は年齢が高くなるほど「自宅」とする割合が増える傾向にある。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s3s_04.pdf
と記されていますが
今回の相談者のお母様のように年齢を重ねていくことで
ご自身の最期を肌身で感じる様になり
統計のように今は施設にいるけれど最期を思った時
自宅でと希望されるケースは多くなっていくのでしょう。
お母様の年齢を考えると、数年も立たないうちに
看取りの時期を迎えることは娘さんも分かっていて
お母様もそれを感じている。
本当はお母様のお気持ちに答えたいけれど
答えてあげることが出来ないことに
苦しんでおられました。
※ここでの売上は会場費や「みとりの相談室」を手伝って下さっているボランティアさん達の交通費に充てさせて頂きます。ありがとうございます。
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