「愉気」ということー意志に背いて動いてしまう心-3
人間というのは言葉で言う前に、もう嫌いなものは嫌い、いいものはい、心配は心配、不安は不安と感じている。どんなに俺は平気だと思っていても、不安な人がいるとみんなに不安が伝わってくる。そして不安になっている人も、自分では不安になると考えてもいないのに不安になっている。自分が蒼くなって震えようとか、あるいは硬くなってものを言おうととか、そんなことは考えてもいない、けれども不安があればそうなってしまう。
この間も、有名な歌手で長年歌っているから、さぞ舞台度胸がいいだろうと思ったら、不安があって歌えないと言っておりましたので、私が少し度胸のつくようにしたら、それからまた活躍しだしました。あるピアニストを弾く人も、大家だから演奏会でもそうまごまごしまいと思っていましたら、やはり不安で、「舞台に上がると硬くなってしまう」と言う。実際は、彼の弾いたピアノは見事でした。けれども見事に弾ける技術を持っていながら不安があると満足に弾けなくなるのはなぜか。
その人の演奏を観ますと、弾いているうちにだんだん顔が出てきて、ピアノは前にあるのに、顔は上を向いている。
よく女の人達が運転しながら顎を出している、あれもみんな不安なのです。
人間というのは、不安になって何かしようとすると顎を出してくる。そこで「顎を出している。それは不安現象だ。あなたは大家だというけれど、度胸がてんでないではないか」という話をしましたら、それ以来、顎を出すまいと努力するばする程、いよいよ出してしまう。それで演奏会が近づくと、ますます不安になるのだと思うのです。
だから顎を出すとというのも、いろいろ理由があって出すのでなくて、自分の体の中や、心の中にある何かを感じてそうなってしまうのです。
健康生活の原理
活元運動のすすめ、、より
健康生活の原理
活元運動のすすめ、、より
ー晴哉はつづくー。