「国民負担率62.8%」という大嘘

最近Shortsなどで何度か見かけることがあり、「えぇ…(ドン引き)」状態になったのでこういった記事にさせていただきます。

この記事を書いたきっかけ

最近TwitterやYouTube Shortsなどで広がったこの記事。

いかにも国民負担率が62.8%と説明しているかのようなタイトルですが、記事を読むとしっかりと

財務省が発表している『国民負担率』では、国民負担に財政赤字を加えた潜在的な国民負担率として、「令和2年度(実績)62.8%」と公表されている。

と記載されています。
しかし、この記事のタイトルが原因となっていかにも「国民負担率62.8%」となってしまっているように感じます。

何が「大嘘」なのか

こちらのツイートをご覧ください。

このように、記事のタイトルだけを見て「国民負担率は62.8%である」と解釈してしまっている人がかなり多いようです。
Twitterを見ると、こういったツイートは残念ながら相当数見られます。

「潜在的な国民負担率」とは?

「潜在的な国民負担率」は、「国民負担率」とは異なります。
「国民負担率」は、実際に負担している税率を指しています。
「潜在的な国民負担率」の説明として、記事中には次のような説明がされています。

国民負担に財政赤字を加えた

これしか説明がなく理解が難しいと思いますが、つまりは「財政赤字の分を税金で賄おうとしたらこれくらいの負担が必要ですよ」ということを示しています。
つまり、この2つは全くの別物であると言えます。

実際のデータを見てみましょう。長いのでカットしますが、出典を示しますので確認したい方はそちらをご覧ください。

https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202302a.pdf

令和2年度の潜在的国民負担率(=潜在的な国民負担率)は、62.9%となっています。
あれ?62.8%じゃなかったんですか?
実はこれには理由があります。
結論から言うと、おそらく記者のミスです。

実は、財務省のホームページでは令和3年度末時点での情報も公開されたままになっています。

このページの情報を見ると…

この時点での潜在的国民負担率は62.8%となっており、辻褄が合いました。
おそらくこの1年の間に再集計などが原因で変化したと考えられます。

令和3年度末時点で公表された情報では、実績値として最新の値は令和2年度のものであり、これを利用したものだと考えられます。

ちなみに、記事が公開されたのは今年の7月なので間違いなく古い情報を見たと考えてよいでしょう。

まさか令和3年度は57.4%に値が下がるから去年の情報を見たことにした、なんてことはないですよね…?

【まとめ】正しくは"48.1%"

このように、記事をちょっと読んだり、公式の情報を見れば「明らかに間違いだ」と分かる、そういう話なのです。
詐欺まがいのタイトルをつけた記者の責任は大きいですが、利用する立場として一定のネットリテラシーは必要だと思います。

ここまで見ていただきありがとうございました。

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