BUMP OF CHICKEN のライブで日本の凋落を痛感した日。
BUMP OF CHICKEN TOUR「ホームシック衛星2024」名古屋公演2日目に行ってきた…のだけれど。
魂を浄化するはずのバンプのライブでまさかこんな絶望的な思いをするとは思わなかった。
バンプは何も悪くない。
いつものように素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
問題は警備スタッフだ。
ライブ中、アリーナ席の通路をずっと歩いて巡回しているのである。それが気になってライブにまったく集中できなかったのだ。
「あなたが敏感すぎるんだ」と思われるかもしれないが、たとえば映画や舞台を想像してみてほしい。
世界に入り込んでいる者にとって、動く人間がどれほど目障りな存在なのか。感覚としては「映画館でスマホの画面が目に入る」、あの感覚が非常に近い。
世界の外に放り出されてしまうのだ。
しかも見ている相手は「冷静な人間」。感傷に浸って泣いたり叫んだりしている姿を、シラフの人間が見回りにくるというのはなんとも居心地の悪いものである。
「来やがった」「次はいつ来るんだろう」……そんなことを考えている間にライブは終わった。せっかくのライブが憎しみに染まってしまったのだ。
最も大きな問題は「いったい何を警備しているのか」ということだ。
視界を遮り、鑑賞のジャマをしてまで歩き回って何を見張ることがあるというのか。
こうした巡回スタッフを目にするようになったのは、コロナ禍に入ってからだと思う。少なくともそれ以前にそんなことを思った記憶はない。YOASOBIや最近の乃木坂46のライブでもそういうスタッフはいた。
YOASOBIのライブでは「スマホで静止画撮影OK」「動画はNG」だったため、動画撮影している者に注意する、という意味はわかる。
乃木坂46のときはマスク着用が義務付けられており、「マスクを外す人を監視するため」という理由も理解はできる。
今回のバンプは何なんだ?
「おかしなことをしない人間がいないか見張る」ことなのか?
定期テストの不正を見張るように、歩いて監視しなければならないほど低い民度なのか?
端の席だったこともあり、通路側に席から少しはみ出ていることを巡回スタッフに注意されたりもした。
自分の他にも注意されている人がいて、胸が痛んだ。ノリにノッているところに水を差されているのを見ると、関係ないこちらまで悲しくなる。
この通路、ライブ中あなたたち以外に誰が通るんですか?
注意して誰かの気分を下げることのほうがよほど迷惑行為じゃないんですか?
巡回や注意は聴衆にとっての「不利益」である。
「歩き回って監視される」って嫌なものですよ?
注意されたら気持ちを立て直すのに時間かかるものですよ?
なんでそんなに見張られなきゃいけないんですか?
なんでそんな注意されなきゃならないんですか?
スタッフと大声で揉めて問題起こしてやろうとさえ思った。
仕事がクビになったら困るからやめたけど、そんなことを考えるくらいには腹が立っていた。「前から7列目」という大当たりの席だったから、大声で叫んだら藤くんならわかってくれないかな、なんて思ってみたり。
ライブ中にそんなことを考えている時点で「楽しんでいない」よね。
「人生楽しんだもの勝ち」というなら、完全に負けていた。
最近は相手の気持ちを想像できない人間が本当に増えたと思う。何をしたら誰がどう嫌な思いをするのかに思いが至らない。
ルールばかり見てないで、もっと人間を見ろ。
そしてその奥にある、見えないものを感じ取れ。
……悪いね、藤くん。
せっかく一生懸命歌ってくれたのに、申し訳ない。
幸せな気持ちで帰ることができなかったよ。
いい歌を聴かせてくれて、どうもありがとう。