実際に医療ベンチャーは、どのくらいの資金が必要か?
未踏事業で、近年医療システムのプロジェクトの採択が目立ちます。
これらのプロジェクトを実際に開発・運用するためには、様々な経費がかかり、必要なエンジニアの人数もプロジェクトの規模や技術的な複雑さに依存します。以下に、各プロジェクトに必要な主な経費と、想定されるエンジニアの人数について具体的に説明します。
1. 術具トラッキングを用いた医療手技の動作評価システムの開発
主な経費項目:
ソフトウェア開発費: トラッキングデータ解析、評価アルゴリズムの開発など。
開発エンジニア3〜5名(約1,200万円〜1,800万円/年)
ハードウェア費用: トラッキングシステム、センサー機器の調達。
センサー機器や専用トラッキングシステム(約500万円〜700万円)
評価・テスト費用: システムの実地評価、医療現場でのテスト。
実地テストや臨床評価のための費用(約300万円〜500万円)
サポート費用: 医師や研修生への導入サポート、マニュアル作成。
導入サポートや教育費用(約200万円〜300万円)
必要なエンジニア人数:
ソフトウェアエンジニア: 3〜5名
データサイエンティスト: 1〜2名(アルゴリズム設計、データ解析)
ハードウェアエンジニア: 1名(センサーやトラッキングシステムの調整)
合計費用見積もり: 約2,200万円〜3,300万円
2. 救急外傷全身CT診断における「重症度評価装置」の開発
主な経費項目:
AIモデル開発費用: AIアルゴリズム開発、CT画像のデータラベリングなど。
AIエンジニアとデータサイエンティスト5〜8名(約2,500万円〜4,000万円/年)
データ取得・管理費用: 大量のCT画像データの収集と管理。
データ管理システム、クラウドストレージ(約800万円〜1,000万円)
ハードウェア費用: 高性能GPUサーバー、評価機材。
GPUサーバーや評価装置(約1,000万円〜1,500万円)
現場テスト・導入費用: 実際の救急現場でのテスト、装置の導入。
医療機関との協力費、テスト運用費用(約500万円〜700万円)
必要なエンジニア人数:
AIエンジニア: 3〜5名
データサイエンティスト: 2〜3名
ソフトウェアエンジニア: 2名(システム統合、フロントエンド開発)
合計費用見積もり: 約4,800万円〜7,200万円
3. 日本の医療を救う電子カルテ検索システムの開発(中野哲平)
主な経費項目:
ソフトウェア開発費: 検索エンジン、GUIの開発、システム統合。
開発エンジニア3〜4名(約1,200万円〜1,600万円/年)
サーバー・インフラ費用: システム稼働用のサーバー、クラウドインフラ。
サーバーインフラやクラウド利用費(約400万円〜600万円)
データ処理費用: 機械学習モデルの訓練、データクレンジング。
データサイエンス関連費用(約300万円〜500万円)
医療従事者向けトレーニング費用: システム導入後のトレーニング。
医療従事者向けトレーニング、マニュアル作成(約200万円〜300万円)
必要なエンジニア人数:
ソフトウェアエンジニア: 3〜4名
データサイエンティスト: 1〜2名
インフラエンジニア: 1名(クラウドインフラ構築)
合計費用見積もり: 約2,100万円〜3,000万円
全体のまとめ
3つのプロジェクトを合わせると、総経費は約9,100万円〜13,500万円ほどとなります。必要なエンジニアの総数は、10名から20名程度が目安となり、それぞれのプロジェクトに特化したスキルを持つエンジニアやデータサイエンティストが必要です。これらのプロジェクトの成功には、適切な人材と十分な資金を確保し、医療現場のニーズに合わせた柔軟な対応が求められます。