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血液凝固現象解明~微小発酵体理論による説明~

画像:Thrombocyte-10 Essentials About Fibrin

来る日も来る日もアントワーヌ・ベシャン(1816~1908)のThe blood and its third anatomical element(血液とその第三の解剖学元素:以下括弧付きで「血液」、1911年出版)の読解に励む日々だ。本人の言葉を直接見れば巷の動画が曲解と省略に塗れた侮辱の産物だとわかる。150年間誤解され続けた人物といえよう。そろそろ真に蘇らせてあげたい。…のだが、100年前の英語が冗長だからなのかレバーソンの(仏語→)英訳が下手糞だからなのかわからないが、少なくとも誤字脱字は多く(+論文引用に誤植まで見られる)、様々な要因でクソほど時間がかかっている。ただ、私の最重要の目標が解説付きで本書を復刻させることにあるので諦めるわけにはいかない。もうフランス語原文読んだ方が早いんじゃないかとすら思えてきたが、¥10,000は中々手が出せずにいる。対照的に英語版はKindle版ならワンコインだ(った)。

さて、本書のテーマはタイトルの通り血液研究である。現代が人類史上最も発展した文明・科学技術を享受していると信じて止まない現代人はわざわざ100年前の文献に学ぼうなど、無駄に膨れ上がったプライドが邪魔して微塵も考えないのだろうが、私からすれば現代科学の方が矛盾に溢れている。「未知の分類系統に属す新規の生命体の発見」に依存する生物学理論(=マイクロザイマス(微小発酵体、以下MZ)理論)の方が余程筋が通っている。

本稿では彼流の血液凝固現象の説明を要約する。アリストテレスの時代から数千年続き名立たる科学者が解明できなかった生物学上の最大の謎に人類史上初めてファイナルアンサーを提出した科学者、それがアントワーヌ・ベシャンだ。血液凝固はCOVID-19でもmRNAワクチン接種後にも観測される有害事象である。私がこの文献に当たったのも、現代科学がクソ過ぎて話にならないので、だったら専門家(※120年前)に訊けばいいという発想からである。

1.血液凝固現象:現代の説明

1-1.血管"内"凝固と血管"外"凝固

まず現代の説明である。現代の矛盾が明らかでなければ新理論など誰も耳を傾けない。私が参考にしたのは図書館で偶然発見したこちらの書籍である。

平井久丸, 押味和夫, & 坂田洋一. (2004). 血液の事典. 朝倉書店.

「血液凝固のメカニズムなんてググればすぐ見つかる」と思ったそこの貴方。ググって見つかるそのメカニズムは「血管"内"の凝固現象」である。例えばこちらのサイトを引用しよう。

はじめに
血管が傷つき出血した場合、傷口が小さければ、血液は間もなくゼリー状に固まり(血餅・けっぺい)、傷口をふさぐ。この現象を血液凝固という。血液凝固は永久血栓ともよばれるように、血小板凝集による剥がれやすい血栓をより強固なものにする、止 血 作 用のなかで最も重要な過程である。

内因系:血管のコラーゲン表面に凝固因子が結合することにより始まる系
外因系:血小板や傷ついた組織からトロンボプラスチンが放出されることにより始まる系

創傷を機に血管に傷がつき、その部位に血小板が殺到し(内因系:一次止血)、血小板が更に凝固因子を招集してフィブリンを形成(外因系:二次止血)する。これにより血液の漏出が止まり、確かに結果的に「止血」をしている。

この引用文にある通り、現代科学は血液凝固を当然の如く「止血作用」と解釈している。私が気に食わないのはまさにこの解釈である。発酵と腐敗の違いが「人間にとって有益か否か」で区別されるように、科学の解釈には人間の独善的側面が頻出する。その最たるものがこの「止血」という解釈だが、科学にそんな価値観を持ち込むべきではない。それに血液凝固は動脈と静脈で区別される。動脈血栓は血小板が主体の白色血栓、静脈血栓はフィブリンが主体の赤色血栓と呼ばれるが、この説明では血小板とフィブリンが同時に登場し、矛盾が生じている。どうせ「動脈は静脈に比較して血流が早いから凝固因子が押し流される」とかいうBullshit デタラメな説明をするのだろうが、だったらベシャンの記述、「静脈の凝固でも採血部位によってフィブリンの組成が異なる」をどう説明するのか?

そしてここに私のミーム、「起源となる実験も、その発見者たる科学者も追跡できぬ概念は例外なく"Bullshit デタラメ"か、或いは"それを解明した(支配層に都合が悪いせいで消された)天才"が存在する」が該当する。血液凝固を最初に「止血機構」と解釈した科学者は誰か不明ということだ。即ち、ポエマーことルイ・パスツールの名言

"Toutes les fois qu'on le peut faire, il est utile de montrer la liaison des faits nouveaux avec les faits antérieurs de même ordre. Rien de plus satisfaisant pour l'esprit que de pouvoir suivre une découverte dès son origine jusqu'à ses derniers développements."
「可能な限りに、新たな事実が、同一線上にある過去の事実と如何に関連するかを指摘する行為は有益である。ある発見の、その起源から最新の発展に至るまでの追跡が可能なことほど、心を満たすものはない。

Pasteur, L. (1860). MEMOIRE SUR LA FERMENTATION ALCOOLIQUE;
(アルコール発酵についての覚書)
Annales de chimie et de physique, 3(58), 323–426, p371 note

の通り、「止血」の解釈は「心が満たせない」のである。恐らく血小板の存在を最初に報告したマックス・シュルツ辺りなのだろうが、だったらそう記述しろと言いたい。

何より、私が知りたかったのは「血管"外"へ漏出した血液が自然凝固する理由」である。瀉血が医療行為として日常的に行われていた昔は血管外での血液の放置で自然凝固する様が何度も目撃されていた筈だ。また、どうしても(異種・同種問わず)輸血がしたい血液カルト連中が流体のまま輸血する方法を模索する過程で抗凝固因子が発見された筈である。血液科学の歴史上、その関心領域は常に血管外凝固の原因であり、採血後に血液を流体のまま保存する方法である。

画像:「医療の挑戦者たち 11 血液の保存 血液がすぐ固まってしまう…。 輸血の難問を解決したのは、逆転の発想だった。」- TERUMO Japanより
ちなみにこの血管外凝固問題はワクチンの歴史にも関わる。何故なら昔のワクチン接種法は輸血と同じくArm to Arm(腕から腕へ)方式だったからだ。輸血法の改善はワクチンの「改善」であり、換言すれば輸血の事故はワクチンの「事故」に直結する。

ここで疑問が生じる。「血管外の血液が何を"止血"するのか?」と。塞がねばならない血管の存在しない体外環境で最初の血小板凝集やフィブリン形成を刺激するシグナルはどこから来るのか?明らかに「止血」の解釈は、瀉血が廃れ、かつ抗凝固因子の発見で血管外凝固が"克服"され、その目撃する機会が減り、血管内凝固しか議論の対象とならない現代特有の解釈である。WHOや日本血栓止血学会などを巡っても満足のいく回答は得られなかった。現代科学はメカニズム、つまりHow どのようにの説明は無駄に詳しいが、その生理学的理由や意味、つまりWhy 何故は一切答えない。

上述の「血液の事典」は漸く出会えた血管外凝固を章として記述していた文献だった。私はここで血液凝固のデタラメを確信することになる

1-2.「血液の事典」より:血液凝固はオカルト科学

「血液の事典」p29に、第14章「血液は血管の外ではなぜ固まるのか」という私の疑問に直球で解答しそうな章がある。

血液は生命にとり不可欠なものであるので、ヒトのように閉鎖血管系をもつ生物は血液が血管外へ失われるのを防ぐ強力な止血機構をもつ。止血は侵襲に対する重要な生体防衛反応の一つで、血管壁と血液成分(血小板、血液凝固因子、線溶因子)の複雑な相互作用により血管傷害部位で止血血栓が形成されることによる。一方、止血栓は局所にとどまり際限なく全身の血管内に拡大することはない。つまり血管傷害の起こった場所と時間にのみ止血反応が起こるように巧妙に調節されている。「血液は血管の外では何故固まるのか」という問いは、裏返せば「血液は血管の中ではどのように流動性を維持しているのか」となる

この「血液は血管の中ではどのように流動性を維持しているのか」という問い自体は、後述のベシャンによる説明でも重要な点ではある。ではこの点を現代はどう説明するか?

生体内における凝固の引き金は、血液が血管外に出て組織液中の組織因子(組織トロンボプラスチン)と混ざることである。組織因子は血液が直接に接する組織や細胞(血管内皮、心内膜、血球)には存在せず、血管外膜、心筋、表皮、大脳皮質、消化管粘膜などには豊富にある。組織因子が凝固第VII因子と複合体をつくると、第VII因子は活性化されてVIIaとなる。次いでVIIa-組織因子複合体は第X因子および第IX因子を活性化して、XaおよびIXaとする。この際、VIIa単独では基質(第X因子や第IX因子)の活性化作用が弱く、組織因子との複合体として働くことが必須である。

どうやら組織因子との混合がこの凝固カスケードの引き金らしい。本題は流動性の維持の筈だが何故か凝固の原因の説明をし始めることに違和感はあるが、この流れで著者は以下のように総括する。

血液が正常な血管内では固まらないのは、一つには引き金(組織因子)が血中に露出していないからである。また、血流があるために少量の活性化凝固因子は押し流されて希釈される。さらに血液が接する血管内皮細胞は強力な抗血栓性をもつ。内皮細胞は血小板凝集を抑制するプロスタサイクリンという物質を産生・分泌する。内皮細胞表面にはヘパラン硫酸やトロンボモジュリンが存在し、それぞれ血中のアンチトロンビンやプロテインCという凝固インヒビターと結合して凝固を抑制する。遺伝的にアンチトロンビンやプロテインCを欠乏しているヒトは凝固制御ができないために血栓症、特に下肢の深部静脈血栓症になりやすい。血液は固まらないと出血が起こり、固まりすぎると血栓症となる。適度なバランスが重要である。

-「血液の事典」p31

「適度なバランス」というあまりにも曖昧な言葉に突っ込みたいが、つまりこの説明では、血液凝固の全ての引き金である組織因子が血管内に存在しない恩恵と、凝固を制御する血管内皮細胞の機能によって流動性が保たれていることになる。これが一応の解答らしい。そうすると、これを血管外凝固に敷衍すると「その漏出時点で瞬間的に組織因子と接触しており、血管外ではその残骸の作用で時間差で凝固する」という仮説が生まれる。だがその仮説は以下の記述で裏切られることになる。

一方、血液をガラス試験管などに入れても凝固するが、このときの引き金は組織因子ではなく異 物 面 (ガ ラ ス) と の 接 触である。血中の凝固因子のうち接触因子と呼ばれる一群のタンパク(XII、プレカリクレイン、高分子キニノゲン)が異物面に吸着して活性化され、第XI因子をXIaとする。いったんXIaが生成すると、XIaはIXを活性化し、後の反応は上記と同様に進み、フィブリンができる。

-「血液の事典」p30-31

BULLSHIT デタラメだ!!!

「異物面との接触」でここではガラスを挙げているが、ではその「異物」とはガラス特異的だろうか?アスファルトなら凝固しないのか?ビニール袋なら凝固しないのか?そんなわけはない。この「異物」は非特異的である。だが非特異的に異物との接触で凝固因子が活性化するのであれば、まさに「異物の血管内への挿入」であるワクチン接種は破綻している。また、献血で長時間注射針を血管に挿入状態にしたままでも平気でいられる理由も不明だ。その全てをプロスタサイクリン一つで説明するつもりなのか?

以上、現代科学による「血管内で血液が固まらない理由」は以下のように要約可能である。

1)組織因子が血中に露出していない
2)少量の活性化凝固因子は血流のせいで押し流される
3)血管内皮細胞が
 -1)プロスタサイクリン:血小板抑制作用
 -2-1)ヘパラン硫酸
 -2-2)トロンボモジュリン
  :アンチトロンビン/プロテインC等の凝固抑制因子と結合して作用
等の抗血栓性成分を分泌している為

当然ながらこの解答が気に食わない。何故ならこれでは、「血液は凝固状態が本来の形態」であり、「内皮細胞の分泌成分によりそれが抑制状態にある為」ということになるからだ。即ち、「凝固したい血液と、それを制御する内皮細胞の機能との均衡」によって流動性が保たれていることになる。一言でいえば、「我々はプロスタサイクリンに守られている」ことになるが、一方でこの均衡は「異 物 面 と の 接 触」で簡単に破れてしまう。

ふざけた説明だが、恐らくこれらの凝固抑制因子は、著者が冒頭で述べた「血管傷害の起こった場所と時間にのみ止血反応が起こるように巧妙に調節」する為に瞬間的に放出されるだけの因子であり、従って本来の問である「血液は血管の中ではどのように流動性を維持しているのか」の解答は何も得られていない。要するに現代科学は、「血管損傷」という危機的状況で緊急的に分泌される抗凝固因子が、恰も「健康な血管内の流動性維持の為に常に分泌され続けている」と飛躍させている。まさにこれは論理飛躍における「傾向の永続化」である。

こんな血液観を断じて私は認めないし、そしてこれは現代特有のものではなく、まさにベシャンがオカルトと批判した見解そのものである。

 It is, therefore, a legitimate conclusion that after a century of hypothesis on hypothesis, we have gotten back to the point where Haller had left the question. Having neglected the conception of Milne-Edwards and of Dumas, as well as some researches which seemed to be approximately a verification thereof, it is not a matter for surprise that scientists who understand neither the real nature of fibrin nor its origin, had recourse to occult causes for the explanation of the phenomenon of coagulation.
 The celebrated English Surgeon, Hunter, thought that: "blood coagulated by virtue of an impression, that is to say, that its fluidity being inopportune or no longer necessary in its state of rest after issuing from the vessels, it coagulates in reply to the indispensable customs of solidity"; also he said that "the blood possesses in itself the force, by virtue whereof it acts in conformity with the stimulus of necessity, a necessity which is derived from the position in which it finds itself."
 仮説に仮説が蓄積する一世紀の後に、ハラーが遺した問題に我々が回帰したのは、従って当然の帰結である。ミルン・エドワードやデュマの構想、凡そその検証と思しき研究は等閑視され、フィブリンの本質も起源も解せぬ科学が、凝血現象の解釈をオカルトに求め始めても驚くに値しない
 著明な英国の外科医ハンター(Hunter)は以下のように考想した。「血液は印象で凝固する。即ち、血管外への漏出後の静止状態ではその流動性は状況にそぐわず、また最早必要性もなく固形性という不可欠の習慣に応じて凝固する。」また、こう述べている。「血液は自身の内なる力を秘めており要求の刺激に応える形で作用する。その要求とは、自身の置かれた状況から生じるのである。」

「血液」-Introductory and Historical p95-96

「固形性という不可欠の習慣」の表現の通り、ハンターは血液は固体状態が本来の形態と捉えている。この点において、現代の血液凝固の解釈は、("オカルトの極致"ことエドワード・ジェンナーの外科医時代の師である)ジョン・ハンター(1728-1793)のオカルト的解釈に完全に一致している。私は断言しよう。「現代血液科学は300年間一切進歩のないオカルト科学」だと。この現状を科学の祖たるアイザック・ニュートンならこう批判することだろう。

And what is the value of explanations by occult causes? Here is the answer given to this question by Newton: "To say that each species of things is endowed with a specific occult quality, by means whereof it has a certain power of action, and can produce sensible effects, is to say nothing at all."
そしてオカルト原因で現象を説明する価値とは何か?ニュートン(Newton)の回答はこうだ。「諸々の事物が特定のオカルト的性質を備え、一定の作用力で以て感覚的効果を生み出し得るというのは、全く以て何も説明していないも同義である。

「血液」p98-99
ニュートンの言葉:Newton; “Opticks :or a treatise of the reflections, refractions, inflections & colours of light”(1952);p401

私が100年前の専門家に解答を求めたくなる気持ちが(一部の現代科学狂信者や真偽を権威でしか判断できない脳死連中を除き)理解して頂けたかと思う。それではMZ理論による血液凝固現象の説明に移ろうではないか。

2.血液凝固解明:前提知識

2-1.

3.血液凝固現象解明:MZ理論

3-1.


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