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結核菌の酸素吸収へのサリチル酸塩の作用

Bernheim, F. (1940). THE EFFECT OF SALICYLATE ON THE OXYGEN UPTAKE OF THE TUBERCLE BACILLUS. Science (New York, N.Y.), 92(2383), 204. https://doi.org/10.1126/science.92.2383.204


結核菌は他の多くの細菌と異なり、炭水化物、アミノ酸、ヒドロキシ酸などをワールブルグ装置内の懸濁液に添加しても、容易に酸化しない。図1に示すように、2.0ccのM/20リン酸緩衝液pH6.7に懸濁した細菌に1.0mgのサリチル酸ナトリウム(o-ヒドロキシ安息香酸塩)を加えると、酸素摂取量は2倍以上になる。

それに伴ってCO2生産量も増加する。ウシ型結核菌B1株を使用した。牛グリセリン注入ブロスで増殖させ、浮遊塊をループで取り除き、ホプキンスチューブの滅菌生理食塩水に懸濁した。このチューブを2,000 r.p.m. rotations per minute(※1分間の回転数)で15分間遠心分離し、生理食塩水を滅菌バッファーで置換して、0.1~0.2 ccの菌体を1.0 ccのバッファーに懸濁させた。 直径がホプキンス・チューブの細い部分よりわずかに小さいガラス棒で細胞塊を破砕し、均一な懸濁液を得た。 図1は、安息香酸塩も酸素の取り込みに効果があることを示している。一方、p-およびm-ヒドロキシ安息香酸塩とサリチル酸メチルには作用がなく、アセチルサリチル酸塩もアセチル基が加水分解されるまで作用がない。p-アミノ安息香酸塩には作用がなく、o-アミノ安息香酸塩にはわずかな作用しかないが、後者をサリチル酸塩と一緒に加えると、サリチル酸塩の作用を阻害する。0.1-0.2mgのサリチル酸塩を用いると、酸素摂取量は濃度に比例し、サリチル酸塩が基質として酸化されていることがわかる。明確なエンドポイントは得られなかった。 この結果は、サリチル酸塩が結核菌の正常な代謝産物であることを証明するものではないが、サリチル酸塩または類似の構成の化合物が重要である可能性を示唆している。 p-アミノ安息香酸塩がある種の連鎖球菌の代謝産物であることが示されていることから1、置換安息香酸塩が細菌の代謝に関与している可能性がある。

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