#4 2021-5-27
1.CRISPR-Casとは
キッカケはコチラ
"PCRおよびRealTime-PCR検査の世界市場は、2020年の225.3億ドルから2021年には99.8億ドルに、年平均成長率(CAGR)-55.7%で減少すると予測されます"
PCRおよびRealtime-PCR検査の世界市場は、
2020年の225.3億ドルから
2021年には99.8億ドルに、
年平均成長率(CAGR)-55.7%で減少すると予測されます。
この成長傾向の変化は、2020年のCOVID-19パンデミック時に急激に増加した需要に対応した後、企業が生産量を安定させたことが主な要因です。
この市場は、年率8.5%で2025年に138.2億ドルに達すると予想されています。
(中略)
代替技術の開発は、PCRおよびリアルタイムPCR検査市場の成長を妨げると予想されます。迅速な検査が可能なCRISPRなどの新技術が間もなく登場すると予想されています。
2020年2月、シャーロック・バイオサイエンシズ社とマンモス・バイオサイエンシズ社は、CRISPRを用いた技術で改良された診断法を発売しようとしています。この技術は、コロナウイルスの検出率を高めて加速させ、患者をより良く治療するとともに、ウイルスのさらなる拡散を抑制することができます。このような代替検査法の開発は、PCRおよびリアルタイムPCR検査市場の妨げになると予想されます。
どうやらPCR市場が飽和して、もう荒稼ぎできなくなりそうよという話らしい。で、そろそろ代替検査が登場してきますよと
東京大学もこのCRISPRを使用した新検査法を開発したと発表している
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大や重症化を防止するためには、医療現場で迅速かつ簡単に利用できる新しいCOVID-19迅速診断法が求められています。
今回、東京大学医科学研究所先進動物ゲノム研究分野の吉見一人講師、真下知士教授らは、国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3により、サンプル中の微量なウイルスRNAを正確に検出する手法(CONAN法)を開発し、COVID-19迅速診断法として確立しました。
この新しいCRISPR検査法を用いて、最短40分で数十個(数十コピー)のウイルスRNAの有無を試験紙で検出することに成功しました。COVID-19患者由来サンプルを用いた結果、陽性一致率(PPA)は90%(9例 / 10例)、陰性一致率(NPA)は95.3%(20/21例)を示し、PCR検査法とほぼ同等の検出感度、検出特異度であることを確認しました。
このCRISPR検査法は、一般的な試薬と試験紙、保温装置があれば実施できるため、安価で素早くだれでも簡単に診断できるPOCTになると考えられます。今後、野外や医療現場、空港など様々な場所で使用できるCOVID-19診断薬として実用化することで、新型コロナウイルスの更なる感染拡大や重症化の防止に大きく貢献することが期待されます。
どうやら抗原・抗体検査とPCRの良い所取りをした検査と推しに来ているようだ
用語解説
CRISPR-Cas3
多くの細菌は、獲得性免疫に似た「CRISPR-Cas(クリスパー-キャス)システム」と呼ばれる防御システムを備えています。CRISPR-Cas3は、 細菌、古細菌が持つCRISPRシステムの中でClass1に属するCRISPRシステムのことです。複数タンパク質の複合体でDNAを人工的に切断する国産ゲノム編集ツールとして、2019年に開発されました。
CONAN法
今回開発した微量な核酸の検出法で、CONAN(Cas3 Operated Nucleic Acid detectioN)法と名付けました。狙った配列を認識するCRISPR-Cas3タンパク質と検出用DNAプローブの混合液をバイオセンサーとして利用することで、サンプル中の標的配列が有るか無いかを、正確かつ迅速に検出することができます。
POCT(臨床現場即時検査)
Point Of Care Testingの略。簡易機器や迅速診断キットを用いて、野外や医療現場でリアルタイムに行う迅速検査のことです。検査機関で行われるPCR検査などに比べて検査時間の短縮が見込まれ、その場で罹患者への対応ができる利点があります。
保温装置
温度を一定に保つ装置。アルミブロックを用いた恒温槽やウォーターバスなどが知られており、省電力で、使い方も非常に簡単で誰にでも扱うことができる装置です。本CRISPR検査法では37℃もしくは62℃の設定で利用しています。
そんな流れなので、どこかのタイミングでPCR検査がCRISPR検査に代替される未来が予想される
ということで今のうちにCRISPRを復習がてら。
参考にさせていただいたのがコチラの論文
"CRISPR-Casシステムの構造と機能"
生物物理 54(5),247-252(2014) DOI: 10.2142/biophys.54.247
はじめに
獲得免疫はウィルスなどの異物が体内へ侵入した際に獲得される免疫である。同じ異物が体内に再び侵入した際には前回の'記憶'に基づいてこの免疫機構が働き、その異物が除去される。この獲得免疫システム を利用したのがワクチンの接種である.興味深いこと に,ヒトを含む高等生物だけでなく,生命の起源に近い,より下等な単細胞生物である細菌までもが獲得免 疫システムを持っていることがここ数年間で明らかになってきた.それが CRISPR-Cas システムである.
(中略)
しかし,この獲得免疫システムは高等生物の場合とは大きく異なる.
高等生物ではウイルスそのものが標的となるが,CRISPR-Casシステムで標的となるのは細菌に感染するウイルスであるファージそのものではなく,そのDNAやRNAである.
CRISPR-Casシステムの主な構成要素はCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)と呼ばれる特徴的な塩基配列を持つDNAとCas(CRISPR-associated)タンパク質群である
"CRISPR"とは、一度遭遇したDNAに対する細菌の防御機構を備えた、これまた特殊な塩基配列を持った遺伝子配列らしい
Casとはその周辺にいる蛋白質群
3や9の数字から見るに部類分けされているようだ
2.CONAN法
別記事も見つけた
ゲノム編集などの国産技術を用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を、PCR法と同等の高感度・高特異性で試験紙にて迅速に検出できる微量核酸検出法が開発された。
東京大学医科学研究所(東大医科研)先進動物ゲノム研究分野の吉見一人講師と真下知士教授らが論文発表した。
「早ければ冬場の第2波、第3波の流行期までに、遅くとも2021年の東京オリンピック・パラリンピックの水際対策までに実用化したい」と論文の責任著者である真下教授はコメントした。
真下教授と吉見講師が科学技術顧問を務める大阪大学発ベンチャーのC4U(大阪府吹田市、魚谷晃代表取締役)がこの方法をキット化し、医療現場で簡易的に使用できる臨床現場即時検査(POCT)迅速診断薬として実用化を進める。野外や空港などにおける迅速検査にも利用しやすい
この方法は、真下教授らが開発した国産ゲノム編集ツールであるCRISPR/Cas3システムを用いて、ウイルスなどの核酸を短時間で正確に検出できる技術。
CONAN(Cas3-Operated Nucleic Acid detectioN)法と名付けられた。論文は、医学系の論文プレプリントサーバーであるmedRχivにて2020年6月2日(米国時間)にて公表された。東大医科研の四柳宏教授(感染症分野)や河岡義裕教授(ウイルス感染分野)、理化学研究所(理研)放射光科学研究センターやC4Uの研究者らも共著者だ
今の流れを見るとオリンピックは強行されるのだろう
そして、どうもこのオリンピックを転換点に検査方法自体を切り替えしようとしている流れに思えてならない
PCR自体の検査としての信憑性は他に譲るとして、その感度で迅速に、となると、これまで以上に感染拡大を煽ることが可能になりそうだ
そのmedRxivの論文がこちらのようだ
"Rapid and accurate detection of novel coronavirus SARS-CoV-2 using CRISPR-Cas3"
medRxiv 2020.06.02.20119875; DOI: https://doi.org/10.1101/2020.06.02.20119875
新型コロナウイルスSARS-CoV-2の発生は、複数の国で急速に拡大しており、ウイルス監視のための高速、高感度、特異的な診断ツールの必要性が緊急に高まっている。
ここで、タイプIのCRISPR-Cas3を用いて観察した、これまで知られていなかった付随的な一本鎖DNAの切断は、Cas3を介したSARS-CoV-2の迅速(40分以内)、低コスト、機器不要の検出法として開発する可能性を強調している。
このCas3を用いたアッセイは、Cas12やリアルタイム逆転写酵素PCRを用いたアッセイと比較して、その速度と感度は同等であるが、高度な訓練を受けたオペレーターの必要性を排除しつつ、単一塩基対の識別においてより高い特異性を実現している。これらの知見は、SARS-CoV-2感染が疑われる患者のポイントオブケアテストにCRISPR診断法を用いることを支持するものである。
つまり専門的な技師さんが不要で、どこでもできてしまう
サポートで生き長らえます。。。!!