グリム童話本当に怖いのか(3)―― Table, Donkey, and Stick
マイナーなお話。
邦訳は、「テーブルよ、ご飯の用意と」金貨を生むロバと、「棍棒、袋から」とか、「おぜんよおぜんのしたく」と金貨を出すろばと袋の棍棒の話など。
ATU563 Three Magic Gifts (三つの魔法の贈り物)
食事を出す魔法のテーブルクロスと金貨を出す驢馬と棍棒を出す袋の話。
アラジンの魔法のランプ系の話で、日本では「北風のくれたテーブルかけ」と言うノルウェー童話の方が有名らしい。「北風のくれたテーブルかけ」では驢馬の部分が羊に、棍棒が杖に変わっている。
三つめの贈り物が鈍器なのが特徴。大まかなプロットは、貰った二つの魔法の贈り物を誰かに奪われて、三つ目の贈り物を使って物理で取り返すお話。
この話は、アラジンの魔法のランプの亜種で、原型は千夜一夜物語にある。それも複数。
「ジュダルとその兄」もしくは「商人ウマルと三人の息子、サーリムとサリームとジャウダルの物語」が恐らくこの物語の原型だと思われる。この話は、エジプト起源だと考えられているが、話があまりに長すぎ、童話の範疇を超えているので、大元の話はそれ以前に存在すると考えられる。
食べ物が出てくる魔法のクロスは、あまりに大量に出てくるので原型がどこにあるか分からない。人間の食に対する願望の投影だから原型は無さそう。ケルト神話のダグザの鍋、「魔法の臼」、グリム童話の「おいしいおかゆ」、「俵藤太物語」の龍女の俵や赤銅の鍋、「聖書」など例を挙げれば切りが無い。
金貨を出す奴も「打ち出の小槌」とかいろいろある。
やはりこの話のキモは、魔法の道具を魔法の鈍器(物理)で取り戻す事だと思う。