尿素大乱の現実

 実は中国は既に価格競争力が無く、製造コストはロシアや産油国より高い。ハーバーボッシュ法では水素が一番製造コストが高く。現状一番安く作れるのは天然ガス田の側と言う事情がある。そして産油国に最新プラントが集中しているので更にスケール差もでやすい。

 で、不足している要因は、石炭の高騰、天然ガスの高騰で、ヨーロッパの肥料工場が停止していること、中国が石炭不足で製造出来ないこと、アメリカが寒波とハリケーンの被害で一部工場停止していることが原因なので、余裕があるのは産油国ぐらいだろう。

 それはともかく面白いレポートみつけた

ここで注意すべきことは、中国向けに輸出された尿素の大部分がインドと東南アジアに再輸出され、中国国内に入っていない。例えば、イラン税関の統計データでは 2018 年中国向けに 80 万トン尿素を輸出したとされたが、中国税関の統計データでは尿素輸入量が 16.3万トンしかなかった。

 中国から輸出している尿素の中身は実はイラン産らしい。なおこの迂回輸出は2020年に中止されているが、肥料をイランから輸入しないと中国内の肥料供給すらままならない状況と言うことになりそう。

インド尿素は主に中国、イラン、中東諸国から輸入される。ほかにマレーシアとインドネシア、エジプトからも少量の大粒尿素を輸入している。最大の輸入元は中国で、そのシェアが 21~40%もある。2020 年 1~9 月の中国尿素輸出量 293.06 万トン、そのうちインド向けの輸出が 128.63 万トン、全体の 43.9%を占める。また、今年 9 月 30 日までの 8 回尿素国際入札で、インドが契約した 779 万トン尿素のうち、中国産尿素が 273.6 万トン、35%
以上も占める。次いでの輸入元はイランであるが、2018 年アメリカからイランへの経済制裁が再開されてから、イランからの直輸入が途絶えたが、その代わりに 2019 年に中国を経由したイラン尿素の迂回輸入が目立ってきた。ただし、アメリカの強い姿勢と圧力により、中国経由の迂回貿易は 2020 年に中止された。
中東産尿素は主にバーレーン、カタールとサウジアラビアからの輸入である。2020 年に限って、そのシェアが 50%を超えた。なお、そのうちの一部は国際入札を経由せず、合弁企業が生産したものを直輸入したものである。


 中国産尿素は、産油国産の倍の生産コストが掛かる。そのため輸送コストとの競争になる。

中国
天然ガス 255~270(1700~1800 人民元)
無煙炭 225~240(1500~1600 人民元)
亜瀝青炭と褐炭 195~210(1300~1400 人民元)

ウクライナ― 天然ガス 190~200(ロシアの天然ガス)
ロシア 天然ガス 150
中東湾岸諸国、イラン 天然ガスと油田ガス 80~120
マレーシア、インドネシア 天然ガス 180~200

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