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2024年11月

『syrup16g/遅死 11.02』

 まあ、荒天であった。
 数日前までのインターネットも、そして明日の天気など知らない俺の内心でも「雨の中で聴けるsyrup16gなんてオツですわねえ」みたいなムードがあったが、朝起きた時には荒天につき新幹線が止まってどうこうというニュースが流れていた。
 傘が無くたって死ぬわけじゃない、などと歌ってる場合ではない。

 初めての日比谷野音であり、野外ライブの経験にも乏しい。
 前日にポンチョを用意してはいたが、もっと周到に準備しておくべきだった。末端を覆う手袋とかブーツとか重厚なレインコートとか。
 幸いにしてそこまで寒い日ではなかったが、とは言え降り頻る雨粒はいと冷たく、開演に際して指定席でまんじりと座していると、無理せずお家でゲームしてた方が良かったんじゃねえかなという後悔の念が脳裏をチラついていた。結果的にそれを吹き飛ばすくらいのライブであったので行って良かったんだけど。マジで。

 前半は雨と風と時々の稲光で記憶が飛び飛びになっているが、アンコール以後、風雨が和らいで視界も音も晴れてからのいつもの曲ラッシュは最高そのものだった。
 とりわけ『落堕』のイントロが叩かれる最中、がっちゃんがハンドマイクに切り替わった瞬間の熱狂は凄かった。

 全員の胸中にこの映像が去来したことだと思う。
 そんでもって屋根がないステージ前方まで歩いてきて座り込み、雨に濡れながら「結構降ってんなぁ。みんなゴメンね」などと言うものだから、あの一言で脳を焼かれた人は結構いるんじゃないか(もっとも、その頃にはもうほとんど雨は止んでいたけど)

 最後は『Reborn』。
 思えば、初めてsyrup16gのLIVEを見たのは『COPY』リリース16周年記念ツアーだった。当時は本当に暗澹とした気持ちで生活をしていて、金もないくせに愛知まで行って参加したライブだった。
 「時間は流れて 僕らは歳を取り」の一節で、あれから7年が経っていることに思いを馳せた。質の悪い冗談のような、何やかんや生活できていることは喜ばしいような。複雑な心境だけど、あの頃からsyrup16gのことが好きでよかったな~とか考えている内に幕は下りた。
 結局、最後まで小雨は降り続いていた。

 andymoriは解散し、ハヌマーンは形を変え、変わらぬ形で愛顧しているのはこのバンドくらい。今後もそうあって欲しいと思う。


高い服

 これ、魔が差して8月頃に買った服なんですけど。
 ストレスを浪費で発散する典型的な悪い買い物だったため、いざ袖を通してガチで似合わなかったり期待に沿わないものだったりしたらどうしようと思いつつ機を伺っていましたモノであります
 いよいよ寒くなって来たのでつい先日初陣を飾ったのですが、似合うかはともかく非常に精神的満足度の高い代物でした。大事に着よう。
 本当は黒が欲しかったところ、瞬殺で完売していたのでグレーで妥協したのはここだけの話。

 ところで、我々の消費行動は全て広告やマーケティングで決まっているんじゃないかと思う時は結構ある。ツイッターでも週に一回はそういう趣旨の主義主張を見かけますが、皆さんのタイムラインはいかがでしょうか。
 つい最近も同様のツイートを見かけたんだけど、それの言語化が上手くて得心するところがあったのでちょっと気をつけようと思った次第です。
 上記の服も、ツイッターでオススメされていているのを見て棚から牡丹餅的に買ったものだった。SNSに買わされて、SNSに戒められている……!

 完読してないんでアレだけど、少し前にたまたま手に取った本。
 表紙をめくって間もなく「我々の『本当に好きなもの』とは何か?『やりたいこと』とは何か?」「現代人における『自分がやりたいこと』とは広告やセールスマンによって構築・提示されたものではないのか」とかそんな感じの文章がある。
 これはまあ結構な確度で刺さるテキストだと思う。僕らの娯楽が、インターネットないし現実に掲載されている広告か、そうでなければSNSやYoutubeにおける”正直系”のレビューか、それらに構築された択から「選ばされている」確率は結構あると思う。
 真に内発的な娯楽って今日日得難いものだと思います。

 僕はオタクであるが故に逆張り、様々な機会を損失してきた人生であったので、世の中の「踊らにゃ損」みたいな一面も感じている。つまりミーハーであることもひとつ優れた能力で、ぱっと見では辟易する娯楽や飲食に乗っかってみるのも大切なことだと思う。
 でも勢いで食ったり買ったり行ったりする際に「これって本当に俺の意志で選択したんだっけ?」みたいなことは考えてもよいのかもしれない。意図しない出費くらいは減らせそうなので。
 これって物欲が薄い人からするとピンと来ない話かもしれないけど、少なくとも僕みたいにストレスを購買で発散するような、『理由』が付くと自分を抑制できないタイプの人には結構分かってもらえるんじゃないか。

 これはただ単に格好いい曲です。


バンドが完全体になった話と諸々

 時たまツイートしていますが、友人とゆる~くバンドをやっています。

 今回、欠けていたボーカルの枠が埋まり完全体が爆誕しました。キーボードいてくれるのがデカい。フジファブリックとかやりたくなるわね。

 選曲はメンバー間で順繰りに回しており、今回の課題はこちら。

 俺たちアラサーだけど、桜高軽音部に憧れたっていいよな……?
 ちなみにけいおん!は未履修です。俺が選曲したわけじゃないから!

 ところでこの集団には「全員同じ小学校出身」という類稀なバックグラウンドがあります。バンプやフラカンもかくやと評したくなるけど、我々地方の人間が東京で集結していることを加味すると、もしかしたら超えてしまっているかもしれない。
 うち一名とは昔から忌憚なく会話をする友人で、ぼちぼち定期的に会う信頼のおける間柄なんだけど、他の皆とは中学卒業の頃から疎遠になり、成人式あたりが思い出の終端になっていた。そんな状態から上述の友人の顔の広さによって終結し、色々あってこのバンドが結成された。これが今年の三月くらいのことでした。で、ボーカル不在で半年以上やっていたのだけど、メンバーの一名から「実は〇〇さんも東京にいて、私たちのバンドに興味があるらしい。空いているボーカル枠で一回混ぜてみてもよいか」という打診があり、それが今回相成った次第。
 ボーカルの人は中学校から違ったのでとんでもなく久々の再会だったのだけど、記憶にある十二歳当時の人となりと変わってなくて何か普通に盛り上がった。すんなり打ち解けて加入確定でした。
 ちなみに僕は見た目も性格も変わっていないそうです。悪口?

 各々掛け持ちだったり仕事があったりで頻度は限られているけど、楽しい上に僕自身のベースのモチベにも直結しており非常に助かっている。それにこんな数奇な集まりが実現していることが文字通り有り難いことなんで、続けられている内に満喫しつくしたいという想いもひとしお。
 目標は色々あるが、メインディッシュは「小学校の校歌をバンド形態でアレンジしてようつべにアップロードすること」。
 既に閑散とした我らが学び舎の、廃校までに間に合うかしら。

 ところで、歌って難しくね?

 このような経緯により。
 おそらく自分は正しく音痴であり音程が分からない。例えば歌を聴いてそれを真似て発声した時、その音程があっているかあっていないのか分からない(より正確には「分かっていないことも分かっていない」けど、カラオケで採点機能をオンにするとズレていることがぼちぼちあるので、そうなのだろうと勝手に思っている)。
 素の帯域に収まる曲だったら人並みに歌えていると思うのだけど、そうでない時に「歌の方にあわせる」能力がたぶん低い。これは自己分析なので正確性には欠けるかもしれませんが。初期のバンプとかブルーハーツあたりが歌いやすく、人前での歌唱に駆り出される時はいつもご厚意にさせていただいております。

 ちなみにこれが次の課題曲。懐かしすぎかよ。
 先の嘆きの呟きの後、音程を計るアプリで自分の歌声を計りつつこれを歌ってみたところ、概ね半音ずれててワロタ。
 ヒトカラとかいう奴を500年ぶりにかますか、という姿勢。

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