前立腺がん治療の実況中継#03 生体検査の止血手術と精巣摘出
生体検査の止血手術と精巣摘出
というわけで生体検査は終わったのですが、私の場合は続きがあります。むしろここからが大変でした。退院して帰宅したものの、夜になっておしっこが出なくなってしまったのです。自分ではおしっこをしているつもりなのに、現実には出てこない。それどころかどろっとした血が出てくるようになりました。さすがに「これはまずい」と思い、退院する時に看護師さんから聞いていた電話番号に電話したところ、再入院ということになりました。
病室に案内され病衣に着替え、尿道カテーテルを再装着。検査の後に尿道カテーテルを入れた時には麻酔がかかっていたので何も感じませんでしたが、この時は「うっ」と声が出てしまいました。痛みというよりも違和感でしょうかね。例によって看護師さんが定期的に尿の状態を見に来てくれるのですが、あまり良い状況ではなかったようです。膀胱洗浄もしてくれました(一晩に複数回だったような気がします)。「膀胱をず~っと洗い続ける『カンリュー』にした方がいいかも知れませんね。明日、先生と相談してみます」という話でした。さて、翌朝、主治医のM先生とは違う先生が回診に来て何か話をして(どんな話だったかまったく覚えていないのですが)去って行ったのですが、しばらくすると戻ってきて「『カンリュー』にしましょう。ちょっと太いので痛いですよ」なんて言いながら、それまでの尿道カテーテルを抜いて新しい「カンリュー」用のカテーテルを入れてくれました。この時は「ぐっ!!」と声が出てしまいました。背に腹は替えられません。俎板の上の鯉、言われるがまま。ところで、「カンリュー」というのは、どうやら「灌流」という漢字のようですね。「環流」だと思っていました。
その後も出血が止まらず、止血のための手術をするという話になりました。今度は全身麻酔だそうです。こんな大事になるとは思ってもいませんでした。主治医のM先生が説明に来て「ついでに精巣も取ってしまったどう? その方が楽だと思いますよ」なんて話で、あまりの急展開に思考がついていきません。「生体検査の結果も出ていませんが、がんであることは確定なんですか?」「がんであることを疑ってはいません」「精巣を取ったらどんなことが起こりますか?」「いわゆる更年期障害と同じような状態になります。でも、ホルモン注射を使っても同じです。精巣を取ってしまった方がコストパフォーマンスは全然いいです」なんて会話があって、結局は精巣を摘出するような方向になりました。不安でしたが仕方ありません。その後、麻酔科の先生も来てちょっと話をしていきましたが、「何かわからないことはありますか?」「いえ、何がわからないのかもわかりません」「そうですよね。ま、大船に乗った気持ちで手術に臨んでください」なんて感じでした。
病室からストレッチャーで手術室に運ばれ、手術台に移って麻酔。あとは何の記憶もありません。名前を呼ばれているのが聞こえて目が覚めました。どうやら手術は終わったようです。独特の臭いが鼻について離れなかったのですが、あとで消毒用のアルコールの匂いだと気が付きました。ストレッチャーに横たわったまま病室に戻りました。
病室に戻ってからは強烈な尿意を感じて、でも実際は尿道カテーテルでおしっこは出ていっているわけで、どうにもならなくてのたうち回っていました。そのうち一眠りして目覚めたときにはだいぶ落ち着いていました。
でも、生体検査後のどたばたは、これでは終わりませんでした。