見出し画像

「茶の花を摘んだ1日」 花、暮らし、私 vol.06

年も明け、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
昨年の慌ただしさもひと段落、と、年末にうかうかしている内にすぐにまたいつもの慌ただしさに身を投げ込んでいる。毎年毎年、そんな風にあっという間に一年が過ぎています。

冬も本格的になってきましたが、少し前、昨年のまだ暖かさが残る秋の1日に、忘れられない体験をしてきたので、ここにまとめたいと思います。

訪れたのは、岐阜県 伊吹山の東の山間に位置する揖斐郡揖斐川町・春日地区。
ここは「天空の茶畑」「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれる地区で、この茶畑の中に目的地である「たねのしずく研究所」があります。

たねのしずく研究所って?
日本各地の休耕茶園で収穫する「茶の実」から採る茶実油(ティーシードオイル)と関連商品を製造販売し、高齢化で放置された茶園の再利用、地域活性と農産物の復活を通じたサスティナブルなものづくりをしている。
スキンケアオイル「SOL.」の茶実から採れるティーシードオイルはオレイン酸・ビタミンEが豊富な為、保湿性が高く抗炎症・抗酸化作用も期待でき、低温圧搾で2回ろ過しただけの純度100%クラフトオイル。安心でヘルシーなスキンケアオイルです。

紅葉が始まり秋めく頃。山道を進むにつれ変わる景色にドキドキしながら、目的地を目指します。水筒にお茶を、カバンには軍手を、動きやすい作業着で。この日はここに、お茶の花摘みをしに行ったのです。


お茶の花って、そもそも何?


ところで「お茶の花」って、皆さん見たことはありますか?
私はこの日まで、見たこともなければ、聞いたこともありませんでした。
お茶畑のイメージといえば、お茶の葉っぱの綺麗なグリーンが並ぶ畑。

そう、こんな感じです。

お茶の栽培では、もちろん「葉」が一番の重要な農産物となります。茶栽培において「花」を咲かせてしまうことは、茶園の手入れ不足の証拠で、茶園にとっては恥ずかしいこととされているケースが多いそうです。そのため、私たちが花や実を見ることはほとんどないのですね。

揖斐川町 春日地区では、40年も前からお茶の無農薬栽培が行われてきました。その素晴らしい茶園も、高齢化や後継者不足のために人の手が入らず放置される畑が増えてきています。そんな休耕茶園に着目し、手入れをしてティーシードオイルをつくっているのが、たねのしずく研究所さんという訳です。

その畑の恵みを余すことなく使いきろう、ということで、これからお茶の花を使ったスキンケアアイテムを開発されるというお話を聞き、今回私はそのための花摘みのお手伝いに行ってきました。

花のことなら何でも知りたい私。お茶の花なんて珍しい花を摘むなんて、何とも贅沢なお手伝いです!


いざ、茶花摘み!

揖斐川町 春日地区に着くと、そこはすでに絶景。小高い丘から見下ろす景色は本当に美しく、ここから眺める四季は素晴らしいだろうなと早くも気分が高まってきました。

畑に着くと、お茶畑のイメージそのままのかまぼこ状が連なった畑の一角に、枝が自由奔放に気持ちよさそうに伸びている、背の高い木が立ち並ぶ畑がありました。

ここが、今回のお目当の畑です。

茶花摘みの簡単なレクチャーを受け、早速花を摘み始めます。

白く小さくて薄い花びらの中から現れる、鮮やかな黄色が何とも可愛いらしい。黙々と作業するふりをして、一人テンション高めにはしゃぎながら、しっかりと花を摘ませていただきました。茶の花は葉っぱの裏側にひっそりと咲いていることが多いので、葉を裏返しながら丁寧に探していきます。この、花を探しては摘む、探しては摘む、という作業が本当に楽しく、まるで宝物を見つけたて集めていくようなワクワク感がありました。

そして、このお茶の花。とってもいい香りなんです!

ネロリのようなしっかりとした香りの中にもみずみずしさがあり、いい香りに包まれながらの作業は何とも幸せな時間でした。

お茶に限らず、畑に入るといつも思うことがあります。

そこには作物だけでなく、無数の生き物が存在していて、そのおかげで私たちが作物を戴くことができるのです。その循環や自然のシステムに思いを馳せながら、すぐ近くにブンブンと飛んでいる蜂に「お邪魔します」と声をかける。普段なら怖い蜂も、畑で会うと見方が変わります。

お茶は、葉も、花も、実も全て活用できる

茶花摘みもひと段落し、たねのしずく研究所さんの工房で一休み。採れたての花の香りを存分に楽しめる花茶をいただきました。奥は乾燥させたもの。より香りが強く、青臭さも飛んでいてとても美味しいお茶でした。

こちらの花は無農薬栽培なので、花をそのままいただだく、という体験もさせていただきました。

お茶の花も初めて見ることができましたが、実はお茶の実も初めて。
通常の樹と違い、お茶の樹は昨年つけた実と今年咲く花が共存するという、珍しい現象が見られるのだとか。確かに、一本の樹に、花も実もたわわに付いていました。

みつまたになった殻がはぜて、中からころんとしたタネが出てきます。これが美容成分の高いスキンケアアイテムになるなんて驚きです。そういえば抹茶も昔は薬として服用されていたそうですし、緑茶の健康成分も注目されています。葉・花・実まで、全て活用できるのも嬉しいですね!

お茶の実や花には洗浄成分であるサポニンが含まれているそう。抗菌作用や消炎作用があり、たねのしずく研究所でも、絞った種の粕を利用して洗剤として使っているんだとか。
さらには、種の殻を使った草木染め商品もつくられています。自然の恵みを余すところなく使い切る。その姿勢に感動です。

摘み取った花で試作品のフローラルウォーターを作られたということで、シュッとひと吹きしていただきました。あの畑で感じた香りやみずみずしさが蘇った瞬間でした。いい香り…!

茶花の持っている水分、精油分、オイル分などの液体成分を直接茶花から取り出すことで、茶花そのものの香りを得ることができるそうです。

まだ試作段階とのことですが、販売開始が楽しみですね!

高齢化で畑を管理することができなくなってしまった不耕作茶園を新しい形で活用し、余すことなくその恵みを届ける。そんな活動を続ける たねのしずく研究所さん。草木染め体験や種を絞って保湿クリームを作るワークショップなども不定期で開催されています。また、各地の百貨店などでポップアップショップを出店されることもあるそうです。詳しくはホームページでご確認いただければと思います。

さらに、研究所の周辺には「天空の茶園」を散策する遊歩道やレンタサイクルなどが設置されているそうなので、お出かけにもぴったりですね。ただ閉鎖している期間もありますので、ご確認の上お出かけいただくのがいいかと思います。

私もまた、何度も行きたい場所です!

初めての茶花摘み。
普段扱う切り花とはまた違う魅力を堪能でき、貴重な経験をさせていただきました。
普段の生活から少し距離を置いて、美しい景色の中で黙々と花を摘む作業は本当に気持ちがよく、いいリフレッシュにもなりました。
またこのような貴重な体験ができましたら、こちらでレポートしていきたいと思います。

たねのしずく研究所 HP
https://seedoillab.com/