東大生と、「努力できる脳」「努力できない脳」
偏差値35から東大に合格し、現在『ドラゴン桜2』の編集チームの一員として活躍している、現役東大生の西岡壱誠くん。
西岡くんは「東大生の中にも半分程度、「努力できない脳」の持ち主がいる」と言います。
一体彼らはどのようにして東大に合格したのでしょうか?
東大生と「努力」の関係について、ご紹介します!
東大に合格した人たちは、努力するのが得意な人たちだ。
これは正しいでしょうか? それとも、間違っているでしょうか?
東大生は努力できる才能を持ってる人が多そう……そんな風に思う方が多いのではないでしょうか。
しかし、東大生の全員が努力するのが得意かというと、実はそうではありません。
マンガ『ドラゴン桜2』では、脳科学的な説明を交えながら「努力できる脳」と「努力できない脳」の違いについて紹介しています。
まずはそのマンガ本編をご覧ください!
努力できる脳かどうかを把握する実験
(『ドラゴン桜2』6巻47話、7巻48話より)
さて、「努力できる脳」と「努力できない脳」の違いについて理解していただけたでしょうか?
ドラゴン桜の全編を見返しても、ここまで脳科学的な内容というのはなかったと思います。
みなさんが楽しんで頂けたなら、幸いです。
努力できない≠ダメ人間!
さきほどの漫画を読んで、早瀬のように「頑張れる人と頑張れない人は生まれつき別れるんだ!」「じゃあ、努力できない脳の持ち主はどう頑張ったって成功しないってことなんだな」と思った人もいるかもしれません。
しかし僕は、それは違うと声を大にしてお話ししたいです。
実は今回、この漫画のために東大生に漫画の中で紹介されていた実験をやってもらいました。他にも個別でヒアリングして、東大生の中にはどれくらい努力できる脳の人間がいて、どれくらい努力できない脳の人間がいるのかを調べてみました。
その中でわかったのが、東大生の中にも半分程度、「努力できない脳」の持ち主がいる可能性があるということです。
例えば工学部に通っているとある東大生の友達は、「自分は努力が長続きしないタイプだ」と語っていました。「長時間勉強したり、無駄な努力をするのは自分は大嫌いだ。受験勉強も、いかに効率的にやるかを追求して合格した」と。当然、彼は先ほどの実験も最後まで作業を続けませんでした。
また、法学部の友達も同じことを言っていました。「自分は集中力が長続きしないので、みんなよりも勉強時間が少なくなりがち。だから、短い時間でいかに効率的に勉強するかをしっかり考えたんだ」と。この他にも、先ほどの実験で作業を最後まで継続しない東大生というのも多かったです。集中力が持続しないとか努力するのが苦手な、言ってしまえば「努力できない脳の東大生」もちゃんといるというわけです。
しかし一体なぜ、そんな「努力できない脳」の持ち主である彼ら彼女らは、それでも結果を出すことができるたのでしょうか?
それは、彼ら彼女らが「努力しない努力」をすることに対して非常に強い集中力を発揮できるからだと考えられます。
一般的に、集中力が続く人というのは「努力できる人」だというイメージがありますよね。早瀬のように「努力できない」というのをマイナスに捉えている人は多いでしょう。というか、大半の人が「お前は努力できない脳だ!」なんて言われたら凹みますよね。努力家の方が優秀で集中力がある人、逆に「努力できない人」は結果も出せず、集中に向いていない……そう考えがちです。
しかし、実は「努力できない脳」の持ち主の方が、集中力があるのです。
「努力できない」というのは、「無駄なことをせずに効率的に行動できる」という能力があるということも示しています。努力できない人の方が、無駄な努力をせず、必要最低限の努力量で目的を達成することができるかもしれないのです。
東大生の中には、無駄な勉強はしないと決めて、必要最低限の勉強時間で合格した学生も実は結構います。例えばとある東大生は、1日1時間の勉強しかしないで東大に合格したと僕に語ってくれました。勉強時間を1日1時間と決めて、その1時間の効率をいかに上げるかを考え続けることによって結果をだすのだそうです。
「努力できない脳」の持ち主は、努力をするのが嫌いだからこそ、このようにして「最低限の努力量で、最大の結果を掴む」ということのために非常に優れた才能を発揮します。努力すると決めた1時間は誰にも負けないくらい集中することができ、それは「努力できる脳の持ち主」や「努力家」の1時間を軽く凌駕し得るのです。
自分はどちらの脳なのか、考えてみよう。
オススメなのは、早瀬や水野のように、自分がどちらの脳の持ち主なのかを自覚し、それを自分の次の行動に活かそうと努力することです。
効率的に努力する方が合っているのか、しっかりと努力する方が合っているのか、早瀬なのか天野なのかをしっかり把握する。
そしてどちらのタイプなのかをしっかり認識できるようになれば、自分に合った頑張りの手段をすることができます。「頑張らない」という桜木の言葉に則って努力をすることができるわけです。
(『ドラゴン桜2』1巻、7話より)
逆に、自分がどちらなのかを理解していないと、努力するのが難しいタイプなのに無理をして努力をしようとしたり、逆に効率的にやるのは性に合っていないのに効率的にやろうとしたり、自分に合っていない無駄な行動をしてしまうかもしれません。これこそ、頑張ってしまっている状態です。
もちろん、「努力できる脳」か「努力できない脳」かなんてはっきりと分けられるものではないかもしれません。しかしそれでも、どちらかというとどちらなのかをしっかり認識し、自分なりの努力の仕方を見つけられるようになれば、きっと結果を出すことができます。
大切なのは、「努力できない脳だからといって、自分のことをダメ人間だと思わないこと」です。長時間集中することができないタイプだったとしても、1時間集中することで結果を出そうと考えればいい。東大生だって半分は努力できない脳なのですから、落ち込むことはありません。
実は、努力が難しいタイプの脳の持ち主だったのではないかと考えられる歴史上の偉人は数多く存在しています。また、多くの発明品は「より楽をしたいから」「無駄な努力をしたくないから」という理由で作られた物が多いです。
火を起こすのが面倒だから白熱電球やコンロができて、郵便が面倒だから電話やメールができて、運転が面倒だから自動運転の技術が進む。努力したくないからという理由で人類の進歩は進んでいったと言っても過言ではないでしょう。無駄を省き、効率的に結果を出そうとすることに心血を注ぐのも人間として必要なこと。恥じる必要はありませんし、むしろだからこそ、できる戦い方があるのだと思います。
いかがでしょうか?
努力できるかできないか、きちんと自分がどういうタイプなのかを自覚すれば、より良い結果を出すことができるようになるはずです。みなさんぜひ頑張ってみてください!
(ライター:西岡壱誠)
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