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卒業しても先生になれない!? 東大教育学部の意外な中身を紹介!


皆さんこんにちは!
ドラゴン桜塾塾長の永田耕作です。 

今回は、久々の「大学講義体感シリーズ」です!
 
これまで色々な人に、自身が通っている学部の授業内容やその魅力を紹介してもらってきました。
 
そして今回は「教育学部編」ということで、ついに塾長である僕が通っている、東京大学の教育学部についての話をしようと思います。
 
本当は第1弾がこれであるはずなんですけど、忘れちゃっていましたね。
 
さて、この教育学部、皆さんはおそらく「先生になりたい人が行くところ」というイメージがあるのではないでしょうか。
 
しかし、東京大学の教育学部を卒業して、実際に学校の先生になる人はごくわずか。
 
割合でいえば、ほんの約3%ほどなのです。
 
では、先生にならない人はどんな進路を歩むのか。そして、そもそもなぜ先生になる人の割合がそこまで少ないのか。
 
今回の記事では、そんな教育学部に関する「ナゾ」について解き明かしていこうと思います!
 
僕が実際に受けて面白いと思った授業の紹介も行いますので、ぜひお読みください!

 

①「教育学部」は何を学ぶのか 

さて、講義の話に入る前に、まずは「教育学部」で行われる学びについて説明しましょう。
 
皆さんは教育学部と聞くと、どんなことを勉強すると思いますか?
 
このドラゴン桜note編集長の青戸さんもそうでしたが、ざっくりと「教育を学ぶ」というイメージしか湧かない人も多いのではないでしょうか。
 
実際、教育学部は何を学んでいるのか一言で説明することが難しい学部です。
 
これは、僕も理系から教育学部に進学した際に強く感じました。
 
冒頭でも述べた通り、東京大学の教育学部を出て教員の道に進む人は約3%しかいません。
 
これはなぜなのか。実は、東京大学の教育学部のコース編成にその原因があるのです。


②「教員養成」と「教育哲学」

東京大学の教育学部は、次の5つのコースで構成されています。

〇 基礎教育学
〇 比較教育社会学
〇 教育実践・政策学
〇 教育心理学
〇 身体教育学
 

この中から自分の興味・関心に合わせて、様々な角度から「教育」を学ぶことができます。
 
そして、ここで気づいた人もいるかもしれませんが、この中に「教員になるためのコース」は存在しないのです。
 
教育学部のコースには、「教員養成」系のものと「教育哲学」を学ぶものの2種類があります。
 
東京大学は後者のみであり、教員養成用の学科はないのです。
 
そのため、もちろん教員免許を取ることは可能ですが、カリキュラムに組み込まれてはいないのです。
 
これは僕も教育学部への進学を志したタイミングではじめて知った事実なのですが、教育学部で開講されている授業をすべて履修しても、「社会科」と「体育科」の教員にしかなることができません。
 
数学や英語などの教科の教員免許を取得するためには、教育学部開講で行われる教職単位のほかに、それぞれの学部(例えば数学であれば理学部)で開講されている専門的な科目ごとの授業を複数単位履修する必要があるのです。
 
自分の学部の授業だけでは教員になることができないのであれば、教員率が3%程度なのも頷けますよね。
 
では、次にどんな授業が行われているのかということで、僕が実際に受けて面白いと思ったものについて紹介していきます。

 

③人の行動をどのように変えるか 

教育哲学の授業で「人の行動変容」、すなわち人の行動をどのように変えるか、というテーマでディスカッションをしたことがありました。
 
皆さんにこのテーマを身近に感じてもらうために、日常生活での例を一つ挙げて紹介しようと思います。
 
まず、日常的に使うような電車の座席を思い浮かべてください。
 
もちろん地域にもよりますが、多くの場合「この座席は7人掛けです」という張り紙があるような、横並びの座席があると思います。
 
当たり前ですが、この座席に乗客が座る上で一番望ましいのは、「一人一人がマナー良く自分の席のスペースを使用し、7人座ることができる」という状態です。
 
しかしながら、一人で1.5席ほどのスペースを使って座っている人や、隣の席に荷物を置く人などがおり、実際には5人くらいしか座れていない状態になっていることがあります。
 
そのような光景を、おそらく皆さんも一度は見たことがあるでしょう。
 
それで、僕が受けた教育哲学の授業では「この状態を解消するためにどうする?」という議論が行われました。これはとても興味深いですよね。
 
この記事を読んでいる方も、ぜひ一度考えてみてください。
 
ここでは、「乗客として」「駅員として」「法律を作る人として」など、自分がどんな立場にも立てると仮定して、様々なアプローチを模索してみてください。
 
いかがでしょうか。実際に教育学部での授業でも、この問題に対しては様々なアプローチが出ました。
 
いくつか例を挙げると、
 
・座席の利用に関してのアナウンスをする
・座席を一つ一つ独立させる
・座席と座席の間に仕切りを作る
・マナーを守らずに座席を利用している人に対して罰則を設ける
 
このように、現実的なものからちょっと難しそうなものまで、いろいろな意見が出ました。

どれも効果がないわけではないのですが、この中でより実践的な案を決めるためには一つポイントがあります。
 
それは、「人の行動をどのように変えるか」なのです。
 
教育学部に来て僕が一番学んだのは、「人は、自分が不快と感じることをしないように行動する」ということです。
 
世の中で行われているさまざまなアプローチは、この行動原理を前提にして考えられているのです。
 
今回の場合であれば、一番効果的な案は「座席を凸凹にすること」だと言われています。
 
そして、実際に新しい電車、車両の多くでその方策が取り入れられています。
 
7人掛けの座席であれば、横並びになった長いクッションに等間隔に7つの窪みを作り、そこに利用者が腰をかけられるようにするのです。
 
これはなぜかというと答えはシンプルで、「マナーを守らずに座席を使うことが不快になるから」です。
 
フラットな横長の座席であれば、当然ですが自分一人で広いスペースを使える方が快適です。
 
おそらく皆さんだって、座席が全然混雑していなかったり、周りに人の目がなかったりする状態であれば、一人分以上のスペースを広々と使いたいでしょう。
 
しかし、座席に窪みを作ることで、そこに自分の体が収まるようにしないと座り心地が悪くなります。
 
つまり、一人で1.5人分の座席を使うことが快適ではなく、逆に不快な状態になるのです。
 
そうすると、人間は自然とその行動を避けるようになります。
 
マナーやモラルに訴えかけるのではなく、人間の行動原理を考えてそれを変容させるアプローチを行う。
 
とてもスマートな問題解決方法だと思いませんか?
 
この「快・不快」の原理に基づいたアプローチは社会の色々な場面で応用されているので、他にどんな事例があるか、また他にどんな活用の仕方があるか、ぜひ皆さんも調べたり考えたりしてみてください! 

 

おわりに

今回は「東大教育学部の意外な中身を紹介!」ということで、僕が実際に東京大学で学んでいる教育についての話をご紹介しました。
 
僕が塾長を務めるYouTubeチャンネル「ドラゴン桜塾」では、他の授業例も含めてより詳しく「教育学部」のリアルについて紹介しておりますので、ぜひこちらもご覧ください! 

今回の記事は、ここまでとなります。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!

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