コンテンツの寿命を決めるのは誰か #ドラゴン桜メルマガ 109号
学び方を学べ!ドラゴン桜公式メルマガ
2019年4月29日(月)
【Vol.109 取材記事・コラム版】
月曜日7時・木曜日0時の週2回配信
★最新刊『ドラゴン桜2』5巻、4月23日(火)発売!
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こんにちは!担当編集まほぴです。
今週も #ドラゴン桜メルマガ をお楽しみください!
1.【連載】
みずから学ぶ姿勢を身につける!
学習塾「PlusT」清水章弘さんインタビュー
桜木建二が教える 大人にも子供にも役立つ
2020年教育改革・キソ学力のひみつ
桜木建二がインタビュアーとなって
さまざまな分野の「学びのプロ」に話を聞く本連載。
4月は勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を東京と京都で運営する、清水章弘さんのインタビュー!
■子どもの「わかった」を疑え
自学力を養うためのプロセスを、うまくつくってやるのは大人の役目だ。そう清水さんから教わったのだが、そうなると親も意識を変える必要がありそうだ。
忍耐力をもって子に接しなければいけないし、声かけのテクニックもいるだろう。
「そうですね、たとえば『勉強どう? だいじょうぶ? この問題わかった?』などと、つい子には聞いてしまいがちですが、そう聞かれれば子どもはたいてい『だいじょうぶだよ!』と答えます。
これは反射のようなものなので、本当にだいじょうぶなのか、学習内容を理解しているかどうかはほとんどわかりません。
そういうときは、『覚えたこと、お母さんに教えてくれる? 説明してみてくれない?』と尋ねたり、同じ内容だけど角度の違う問題を『じゃあこれも解ける?』と出してみたりしましょう。
大人が子のふるまいを評価するときは、アウトプットを評価すべきなのです。『だいじょうぶだよ』『わかったよ』という言葉は、アウトプットではありませんからね」
■「教科横断」に対応するには、中学の勉強を大事にして
ここでひとつ気になるのは、2020年教育・受験改革以降のことだ。
学ぶ目的や内容が変わるとなれば、親が果たすふるまいも変えねばならないのか。また、特別な対策は必要じゃないのだろうか。
「焦る必要はありません。たとえばいま中学受験の勉強をしている家庭は、そのままのやり方を継続して問題ないでしょう。
学ぶことに対して真摯に努力をしてきたのなら、それは制度が変わったってゼロになどなりませんから。
ひとつ心がまえがあるとすれば、中学時代の勉強を、ぜひ大切にしていただきたい。というのは、中学校の勉強が最も網羅的であり、かつ学問の基礎でもあるからです。
教育改革後の大学受験は、教科横断型のものになっていきます。たとえ文系に進むと決めた人でも、数学や理科の基礎的学力がどうしても必要になってきます。
中学校では、だれもが全教科の基礎をまんべんなく学びますね。そこをしっかり勉強しておかないと、大学受験期になってから取り返そうと思っても大変なのです。
もうひとつ、中学・高校時代に、自分で掘り下げたいプロジェクトを持つこともおすすめしたいところです。これは日々の学びを深くすることとともに、教育改革で強化される記述問題対策としても力を発揮しますので。
記述式の問題がこれからぐんと増えていくといいますが、むやみに怖がることはありません。記述式の答え方にはちゃんと型があり、そのフォーマットを覚えてしまえばだれだって解答はつくれます。
問題はむしろ、そのフォーマットに流し込むべき自分の体験、考え、主張があるかどうかです。
試験に臨んでその場で絞り出すわけにもいかないので、これも前もって準備しておく必要があります。そのときに『自分プロジェクト』を活用すればいいのです」
次回で「自分プロジェクト」の進め方、清水さんにしかと教えてもらうぞ。
***
清水章弘
1987年、千葉県生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院(教育学研究科)修了。勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を東京と京都で運営。著書は『東大生が知っている 努力を結果に結びつける17のルール』(幻冬舎)など多数。最近は、TBS系「教えてもらう前と後」(火曜よる8時~)に出演し、次回は4月9日(火)。1児のお父さん。
☆この連載はLINE NEWS「朝日こども新聞」(月、水、金 8:30配信)でも配信されています。LINEアプリ(news.line.me/about)をインストールして「朝日こども新聞」を検索!
https://www.asagaku.com/
2.【連載】
たらればさん、教えてください!
古典が好きになる話
「来ぬ人を まつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ」(権中納言定家)
(夕暮れ時に松帆の浦で焼いている藻塩のように、恋しいあなたが来るのを待ち続けているわたしの心も焼き焦がれているようです)
このGW、なんだか謎のワクワク感があるなと思っているんですが、これたぶん「大晦日」感なんですよね。もうすぐ平成が終わるわけですが、「令和」はどんな時代になるんでしょうか。推し元号は「長徳」のたらればです。
さてこの連載もいよいよ大詰めとなってまいりました。
今回ご紹介するのは小倉百人一首第九十七番、権中納言定家、つまりこの百人一首の選者である藤原定家(1162~1241年)が詠んだ「来ぬ人を…」。
■藤原定家が詠んだ恋の歌
まずざっくり作品紹介をすると、この歌はバリバリの恋歌です。この時代の和歌で「待つ」という言葉が出てきたら、それはもう「女が男を待つ」という意味であり、つまりこれは定家が女性に擬して詠んだ歌となります。
「藻塩」とは海水からとる塩のことで、精製する過程で(海水を多く含ませた)海藻を焼きます。「松帆の浦」とは淡路島の北岸にある浜辺で、流れのはやい明石海峡を眼前に臨むこの浜では、かつて多くの舟が潮の流れを「(帆を畳んで)待つ」光景が見られました。
歌の中での女性は、遠くに見える松帆浦から立ち上る煙を眺めながら、今夜、男は自分のもとに来るだろうか、と思いを馳せている…という情景と心境を詠んだ歌となります。
「松(帆)」と「待つ」、「(藻が焼き)焦がれる」と「(恋心に身が)焦がれる」というダブルミーイングを組み込んだ、技巧的な恋歌といえるでしょう。
■和歌の世界のスーパースター
さてではこの美しい歌を詠んだ藤原定家とはどんな人物だったのか。
スター揃いの百人一首歌人のなかでも定家は別格といえます。
それはこの小倉百人一首の選者だからというだけでなく、『新古今和歌集』と『新勅撰和歌集』というふたつの勅撰集をまとめ、多くの歌学書・注釈書を執筆し、またかなり原典に近いとされる『伊勢物語』、『源氏物語』、『枕草子』の写本をつくり、長年『明月記』という詳細な日記を残したことで、天文学にも寄与(超新星やオーロラについての記述が日時付きで記されている)、『松浦宮物語』という物語も創作しています。
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