現役医師がふりかえる「解剖実習」のキオク【ドクターエッグス2巻特別企画】
現役医師が、2年生の山場「解剖実習」を語る!
世間では知られていない医学部生のリアルな生活を描いていると話題の『Dr.Eggs ドクターエッグス』。
9月16日に3巻が発売され、医学部生の生活をより深く描かれるようになってきました。
円たちが奮闘する「解剖」とは、医学部生にとってはどんな存在なのか?医学部時代に解剖実習の班を同じくして学び、現在はそれぞれ医師として活躍する方々にお話を聞いてきました!
「解剖」の実態と医師の仕事への影響って、実際どうなのでしょうか!?
現役医師による本音の座談会、ぜひご覧ください!
医学部生だって案外フツウの学生だ
Az:僕ら3人は、東京の私立医大で学んだ同級生です。僕は医師になって13年目、消化器系外科が専⾨です。
学生時代は水泳部に所属していて、自分としてはすごくフツウな大学生活を送っていた気がするんですけど、医大生以外との比較ができないからちょっとわからないところもある。どうなんでしょうね。
Ak:僕のほうの専門は呼吸器内科。専門の関係上、コロナ禍以来なかなか落ち着けない日々を送っています。
学生時代はラグビー部で、家庭教師や居酒屋店員のアルバイトもしたりと、たしかにそれなりにフツウの学生生活を楽しんでいた印象はあるよね。
本編に出てくるように、たしかに勉強は他学部に比べると覚えることも多くてハードかもしれないけど、実際は勉強漬けというほどじゃない。
Am:僕はいま耳鼻科を専門にしています。学生時代は競馬にハマったりサッカー部で活動したり、解剖学の時間によくこのメンバーで恋愛話をしていたのが楽しい思い出です。
Az:そう僕らは、解剖実習や病理学実習などでいっしょに時間を過ごした仲間。同じ班になったのは五十音順の出席番号が並びだったから。それでイニシャルがみんな同じになってしまう。
Am:もうひとりを加えた解剖学の班4人は、当時もいまも仲がよくて。最近は時世柄難しいけれど、それまでは定期的に集まって飲みに⾏ってました。
Ak:職場もみんなバラバラなのにね。これは珍しいパターンかも。他の班でいまだに集まっているなんて聞いたことないから。
Az:バランスがよかったのかもしれないね。性格的なタイプがうまくバラけていたというか。
Am:そう、だから居心地はよかった。ただし、それが肝心の解剖の進捗に活かされていたかといえば……。
解剖の最初の難関は「におい」
Ak たしかあまり優秀なほうじゃなかった。解剖の進度だと、中の下くらいかな。
Az でも、「あれ、これはどうなってるんだろう?」とみんなであれこれ調べて、話し合って……ということはよくしていた気がする。
Ak ちゃんと疑問と問題意識を持ちながらやってはいたはず。班によって学び方に違いが出てくるから、班の雰囲気ってなかなか重要ではあるね。
Az いっしょにいる時間も相当に長いからね。
Am それでたまに痴情のもつれなんかも起きたりするんだよ。ウチらは無縁だったけど、5班の男子が6班の女子にハマっちゃって、6班の他のメンバーに嫉妬したりとかしてたよね。
Az あったね、そんなことも。漫画の本編では、最初にメスを入れるときにけっこう戸惑ったりしていたけど、解剖を始めたころのことは覚えてる?
Ak いちばん覚えてるのは、においだよね。慣れるまではなかなかつらい。
Az:⿐について消えないからね。だから解剖のときは一切の私物を室内に持ち込まないようにしてたな。
Am:あとは、献体への黙祷だったりといった一連の儀礼と作法は、しっかりしなさいと言われたし、やっていたのを覚えてる。
Az:作中で円くんたちは、焼肉を食べたくなるぞという話をしていたけど、まあ焼肉も食べられるとはいえ、食べたくなるというところまではなかったかな。
Ak:献体にメスを入れられないという人は、ウチの班にはいなかったね。
Az ただ僕の知り合いで、まったく人体に触れられなくて、危うく留年しかけた人はいた。その後に乗り越えて、いまは消化器内科医として活躍しているけれど。
Am メスの扱いの得意・不得意は人によってあるけどね。僕らもなんとなく役割分担ができていったじゃない? Azくんと僕がメスを持って⼿を動かして、Akくんともうひとりが本で調べて「これはこうなってるはずだ」と指示したりすることが多かった。
そういえば、手を動かしていたふたりが外科系の仕事していて、後方支援のふたりは内科医になってるな。
解剖実習ではチーム内のふるまいを学べ
Az:解剖のときのふるまいが、将来像とどこかでつながってるのかもしれないね。あと、解剖学は班というチームでやるわけだけど、チームでうまく仕事ができるかどうかは医師になってからも重要だから、その最初の練習みたいな側面もあるかな。
Ak:この3⼈は病院勤めなのでとくにそうだけど、医療は基本的にチームでやるものだし、現場ではたくさんのメディカルスタッフと接するから、チーム内でうまくふるまう能力はすごく大事。というか、そこで評価が決まると言ってもいい。
Az:協調性の有無は問われますね。これは解剖実習でも臨床でも同じだけど、医療の現場では視認しただけでは判断がつきかねることが多いものです。処置すべきなのがこの血管や神経でいいのかどうかというのを、100%オーケーと言い切るのは難しかったりする。そんなときはチームで話し合う。「みんな、これアグリーか?」と。それでみんなが同意すれば、先へ進みます。
チームとうまく連携できなければ、医師として仕事を完遂できないんですよ。
Ak:たしかにコミュニケーションを円滑にすることは、チーム医療の質に大きく関わってくる。そういう意味では、医学部時代の解剖実習は大切な時間だったのかもしれないと改めて思うね。手を動かしながら、班の中でずいぶんいろんな話をしたからなあ。
Am:そう、それに解剖というのはやっぱり医学の基本だということは、いまもよく感じる。医療に関する知見や技術は日進月歩で、10年前の常識がもう通用しないような世界だけど、解剖で学んだことだけはまったく変わらず使えるし、古びたりはしない。それはそうだよね、人体の機能や構造はよほどのことがなければ変わらない。だから解剖の手順や覚えるべきことも、いくら時代を経たって変わらない。
Az:解剖は医療の、そして医師の基盤になってるってことだね。本編の円くんたちも、楽しみながらしっかり学んでいってください。
『Dr.Eggs ドクターエッグス』第3巻が発売!
ジャンプ+で特別読切も公開!!!
ついに解剖実習も佳境に。
主人公・円(まどか)は、ついに神秘的な臓器・脳の解剖を行うことに!
しかし、脳の解剖は円が想像していたより…?
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第3巻は本日発売です!!
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