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どの区がベスト?東京23区でFIREするための資産計画

近年話題のFIRE(Financial Independence, Retire Early)。働かなくても十分な資産を築き、自由な生活を楽しむこのライフスタイルは、多くの人々の憧れです。しかし、東京のような生活費が高く、家賃や物価が他の地域に比べて突出している都市でFIREを目指すことは、決して簡単ではありません。

実際、FIREを実現するためには大きな資産が必要であり、生活スタイルや家族構成によっても条件は大きく異なります。特に東京23区では、区ごとの生活費や環境の違いが大きく、どのエリアを選ぶかによって必要な資産額や生活の質が変わってきます。

この記事では、東京23区の中から注目のエリアをピックアップし、それぞれの特徴やFIRE達成に必要な資産額を現実的に解説します。また、各エリアでの具体的なライフスタイルモデルを紹介し、FIRE後の生活の可能性と課題を考察します。


FIREとは

FIREとは、経済的自立と早期退職を目指すライフスタイルです。FIREにおいて最も重要なのは、資産からの所得のみによって、労働に頼らず生活費を賄える経済的自立を達成することです。これにより、仕事の制約から解放され、自分の価値観や目標に沿った自由な生活が可能になります。

主なFIREの種類

1. Lean FIRE
節約志向で、最低限の生活費で経済的自立を目指す。

2. Fat FIRE
高い生活水準を維持しながら、十分な資産を基に自由な生活を送る。

3. Barista FIRE
資産運用益に加え、副業やパート収入を組み合わせた柔軟なスタイル。

4. Coast FIRE
資産を運用し、将来的な経済的自立を見据えながら現時点では働き続ける。

バリスタFIREとコーストFIREはFI(経済的自立)でもRE(早期退職)でもないのでFIREかどうかは微妙ですが。
コーストFIREについては概念が難しいので例を示して説明します。
例えばFIREするのに2億円必要だったとしましょう。定年時点で2億円の資産を有している為には

引退時の資産 = 現在資産 × (1+運用利回り%)^運用年数

となりますので、運用利回り年利5%、65歳定年で現在30歳と仮定して

2億円=現在資産 × 1.05 ^ (65-35)
現在資産=4625万円

つまり35歳時点で4625万円の資産を持っていれば追加の投資なして定年時には2億円に増えているはず→それを超えた収入分は好きにつかってよいということになります。

FIREに必要な金額を計算する

FIRE達成に必要な金額は以下の式によって計算できます。

必要資産額 = 年間必要支出額 / 100 × 年間運用利回り(%)

一般的にはS&P500と債券を半分ずつ持っていた場合の平均利回りから物価上昇率を差し引いて4%という利回りを想定しておけば原資を取り崩すことなく安定的な収入を得られると言われ「4%ルール」と言われています。
つまり年間必要支出額を25倍すればFIREに必要な金額が計算できます。

東京23区において年間生活するのに必要な金額を計算し、FIREに必要な金額を計算してみました。
この記事で想定している家庭は
独り暮らし、夫婦二人暮らし、子供2人の4人暮らしの3パターンです。
それぞれの家庭によって支出は大きく異なります。
総務省や東京都の調査から家賃以外の支出について下の表のように計算しました。

雑費には被服、娯楽、交際、美容費などを含む

これに月々の家賃を足して12倍すれば年間支出を計算できます。

住居費について独り暮らし世帯:1K、二人暮らし:1LDK、4人家族:3LDKと想定して、23区それぞれの家賃相場をホームズのウェブサイトから引用します。

https://www.homes.co.jp/chintai/tokyo/23ku/city/price/

1Kの平均家賃


1LDKの平均家賃
3LDKの平均家賃

またこのほか、4人暮らし世帯では子供の教育費が必要ですが、それについては後述します。

FIREに必要な資産額

平均年収と住居費がバラバラな5区についてピックアップして必要額を計算していきます。その他の区については上の表を参考に近しい家賃の区で推定してください。

港区

メリット

  1. 六本木や青山などのエリアがあり、ショッピングやレジャーが充実。

  2. 都内主要エリアへのアクセスが良く、交通インフラが整っている。

デメリット

  1. 家賃や生活費が非常に高額(1Kで13万円以上、3LDKは50万円以上)。

  2. 高コストゆえに支出が増えやすい。

  3. 高級エリアのため、広さに制限がある。

必要な資産額:
単身者:
年間支出 310万円 必要資産額 7800万円
2人暮らし:
年間支出 600万円 必要資産額 1億5000万円
4人暮らし:
年間支出 1000万円 必要資産額 2億5000万円

想定されるライフスタイル

  • 都会派の単身者: 家賃15万円のマンションに住み、仕事帰りに六本木のジムやレストランを利用する洗練された生活。ただし通常の単身者と比較して生活費が高額になる可能性あり。1億円は欲しい。

杉並区

メリット

  1. 緑豊かで落ち着いた住宅街が多く、住環境が良い。

  2. 家賃が比較的手頃(1Kで9万円前後、3LDKで25万円以下も可能)。

  3. 都心へのアクセスが便利(新宿まで電車で10~15分)。

デメリット

  1. 商業施設が少なく、買い物や娯楽に若干の不便さがある。

  2. エリアによっては駅までの距離が長いことも。

  3. 外食やカフェの選択肢が少ない。

必要な資産額:
単身者:
年間支出 250万円 必要資産額 6300万円
2人暮らし:
年間支出 440万円 必要資産額 1億1000万円
4人暮らし:
年間支出 720万円 必要資産額 1億8000万円

想定されるライフスタイル

  • 子供2人の4人家族: 家賃20万円の戸建てやマンションに住み、休日は公園や地元のイベントで過ごす、ゆったりとした生活。

葛飾区

メリット

  1. 家賃が非常に手頃(1Kで7万円前後、3LDKでも20万円以下が多い)。

  2. 下町情緒あふれる地域で、地域コミュニティが強い。

  3. 公園や河川敷が多く、子育て環境や自然に恵まれている。

デメリット

  1. 都心へのアクセスに時間がかかるエリアがある。

  2. 商業施設が少なく、買い物の選択肢が限られる場合がある。

  3. 全体的に物件が古いことが多い。

必要な資産額:
単身者:
年間支出 230万円 必要資産額 6000万円
2人暮らし:
年間支出 400万円 必要資産額 1億円
4人暮らし:
年間支出 630万円 必要資産額 1億6000万円

想定されるライフスタイル

  • 地域密着型の4人家族: 家賃15万円の戸建てで暮らし、近隣の公園や商店街を利用したアットホームな生活。

文京区

メリット

  1. 教育環境が充実しており、学校や図書館が多い。

  2. 医療施設が豊富で、生活インフラが整っている。

  3. 落ち着いた住宅街が広がり、治安が良い。

デメリット

  1. 家賃がやや高め(1Kで11万円前後、3LDKで30万円以上)。

  2. 商業施設や娯楽施設が少なく、外出時に周辺エリアに頼ることが多い。

  3. 都内主要区と比べると住宅の選択肢が限られる。

必要な資産額:
単身者:
年間支出 280万円 必要資産額 7000万円
2人暮らし:
年間支出 500万円 必要資産額 1億2000万円
4人暮らし:
年間支出 780万円 必要資産額 2億円

想定されるライフスタイル

  • 知的な夫婦二人暮らし: 家賃20万円の1LDKに住み、休日は図書館や歴史ある名所を巡りながら静かに過ごす。

練馬区

メリット

  1. 家賃が安くコストパフォーマンスが高い(1Kで8万円前後、3LDKで20万円以下)。

  2. 公園や農地が多く、自然豊かな環境で子育てに適している。

  3. 都心に比べて広めの住居が確保しやすい。

デメリット

  1. 都心へのアクセスに時間がかかる場合がある(エリアによる)。

  2. 商業施設が少なく、買い物や娯楽の選択肢が限られる。

  3. 一部エリアでは交通の便が悪い。

必要な資産額:
単身者:
年間支出 240万円 必要資産額 6000万円
2人暮らし:
年間支出 420万円 必要資産額 1億円
4人暮らし:
年間支出 670万円 必要資産額 1億7000万円

想定されるライフスタイル

  • 自然派の4人家族: 家賃15万円の一戸建てで暮らし、休日は近隣の公園や練馬区特有の農業体験イベントを楽しむ生活。

教育費について

4人家族の場合には子供二人分の教育費がかかります。

もしも子供が2人いて2人とも私立の場合には
単純計算でそれぞれの額に48000万円程度が足されるとお考え下さい。なお区によっては教育費の補助や奨学金がある場合もありますし、子供がアルバイトをする可能性がありますので相当な幅を以て考える必要がありそうです。

終わりに

FIREは多くの人にとって魅力的なライフスタイルですが、特に東京23区のようなコストの高い都市では、現実的な計画と綿密な資産設計が必要です。各区ごとの生活費や環境の違いを理解し、自分の生活スタイルに合った選択をすることで、無理のないFIREの実現が見えてきます。

本記事では、さまざまな区のメリットやデメリット、必要資産額を具体的に紹介しました。これを参考に、あなた自身のFIREプランを立ててみてください。夢の実現に向けた第一歩は、現実を知ることから始まります。

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