パラリンピックの価値。

先日は陸上競技女子400メートルのメダリストの皆様にブーケのプレゼンターを務める、貴重な機会を頂きました。また、本日はパラリンピック大会担当の政務官として、先程まで東京パラリンピックの男子車いすバスケの決勝「日本対アメリカ」の試合会場にいる機会を頂きました。試合も終わって、今は帰路にあります。

この後閉会式に出席する予定はありませんので、僕の中でのパラリンピックは一足先にこれでおしまいです。とにかく最後までやり遂げられたという安堵の思いとともに、今胸の中を様々な想いが去来していますので、今のうちに残しておきたいと思って書かせて頂きます。

今日の試合は残念な結果ではあったけど白熱してとても面白かったし、パラリンピックの選手は普通にかっこよかったと思います。また、たとえ試合に負けてもなお相手のチームを称えたりするところなどは多分同じ苦しみを味わったもの同士だから余計に互いをレスペクトしあえる関係なんだろうし、本当に清々しく、スポーツの良さを改めて感じました。

が、僕が言いたいのはここからです。

パラリンピックの選手は、例えば病気や事故などで手とか足とかを失った時点で自分の人生に絶望するんだろうと思います。生まれつきの人は、小さい時、あるいは物心ついたときに自分が友達と違うなって気づくタイミングがあるだろうし、気づいたときにはひどく落ち込んだり、自分の人生や、場合によっては自分の親を恨んだりするところから人生が始まるんだろうとも思います。

きっと一旦はどん底まで落ち込むし、それまで思い描いていたような人生を送れないことが確定して文字通り人生絶望とかするわけですが、それでも諦めないで、もう一度前を向いて頑張ろうって思えるのは本当にすごいこと。
でも、それだけじゃなくて、そういう方が、どん底まで落ち込んだところから、練習して練習して、それでアスリートとして人を楽しませたりするところまで登りつめるって、どれだけすごいことなのかと思います。

僕自身アスリートとして活躍するだけの才能もなければ、努力を積み重ねてきたわけでもありません。だから、オリンピックのアスリートについては僕にできないことができるとてもすごい方々です。
でも、パラリンピックのアスリートは、普通に生きている我々が普通にできることができなくなって、一度どん底まで精神的に落ち込んだところからスタートして、その上で普通に生きている我々の上を遥かに超えていくわけです。

この大会の中で見たアスリートの方々は、その笑顔の裏でどれだけ多くの苦労や絶望を乗り越えてきたのだろうか。それは想像するに余りあります。

でも、それだけじゃありません。

たとえパラリンピックに出ていなくても、障害を抱えて生活をされている方々に目を向けて頂きたいんです。そして、ぜひそういう方が我々の周りで笑顔を見せているところを想像してください。
もしそういう方が笑顔を見せているとしたら、その笑顔は決して当たり前のものじゃありません。その障害が後天的なものであれ、生まれつきのものであれ、そういう方々が一度どん底まで落ちた上で勝ち得たものだということに改めて気付かされた気がします。

そういう意味では、周りで生活している障害者の方々が、人としてすごく強い心を持っていらっしゃることに改めて気付かされましたし、正直、障害をお持ちの方を見る目が変わったような気がしています。 様々な困難を乗り越えてきているからこそ、障害をお持ちの方々には笑っていて頂きたいと心から思うようにもなりました。

遅いかもしれませんが、ようやくパラリンピックの価値に気付かされたような気がしています。

パラリンピックは、障害をお持ちのすべての方に夢や希望を与えるだけじゃなく、周りで生活をしている障害者の方々への認識をも変えることができるという意味でも本当に素晴らしい、素晴らしい大会でした。

こういう大会を東京で開催できて本当に良かったと思っています。またこの大会の開催に関して貢献できたことは自分の人生の中でも本当に良かったことと思っています。

今回こういう仕事をさせて頂いたのは、パラリンピック大会担当の政務官に任命された菅総理のおかげもありますが、それ以上に大きかったのは前回の総選挙にて国会議員へと応援してくださった地元の有権者の皆様の力です。その後押しがなければ今回のような気づきを得ることはなかったと思います。

このような貴重な経験をさせて頂いたことに改めて心から感謝申し上げたいと思います。そして、これを気付きで終わらせることなく、必ずこれからの活動に活かして参ります。

本当にありがとうございました。 

【追記】
写真は、オリパラのホストタウンイベントにてお会いした車椅子インフルエンサーの中嶋涼子さんと。今日の閉会式での活躍も素晴らしかったです！

【追記2】
ブーケのプレゼンターの様子は以下のリンクからぜひご覧ください。※ ちょうど3:00:00辺り（残り時間で言えば、-0:49:14辺り）からご覧頂けます。
https://sports.nhk.or.jp/paralympic/highlights/content/5da29d45-7ce5-4d31-b021-dda8ff9a6ac5/