本質的な説明をする方法(その1)
分かりやすい解説・説明をするためには、その用語や概念の本質を見極めることが重要となってきます。今回はその方法を伝授しましょう。
方法その1:その用語・概念がなんで生まれたかを考える。
僕の専攻は建築です。一級建築士の学科試験も合格しました。(製図は落ちました。泣)せっかくなので皆さんが知らないであろう建築の用語を解説してみましょう。
建築基準法を勉強していると「特定行政庁」という言葉が頻繁に出てきます。
何かしらの届出の時に「特定行政庁」に、報告だの申請だのしなければならないのですが、この「特定行政庁」とは何か?
ざっと調べるとこんな説明が出てきます。
いまいち要領を得ないですね。少なくとも、建築法規の初学者にはちんぷんかんだと思います。
私ならこのように説明します。
『まず最初に特定行政庁って「庁」って入っているけど実は人のことだから勘違いしないでね。』
『特定行政庁は平たくいうと県知事のことで、、、定期報告とかは県に報告してねということなんだけど』
『県だけじゃなくてある程度、大きい市とかでもOKで、市の場合は市長になるんだけど』
『県とかおっきい市とかをひっくるめて「特定行政庁」と言う、ってことです。』
『たとえば、愛知県の場合だと、愛知県庁に加えて、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊田市が含まれる訳です。』
要するに「特定行政庁」という言葉は、県知事だけでは不十分、市長では多すぎるため、「県知事+大きい市の市長」という概念を表すために生まれた用語と言えるでしょう。(史実でそうなのかは置いといて)
この用語がないと、いちいち「県知事、または人口25万人以上の市町村〜」の説明が必要になってしまいますからね。
その上で、もう一回説明を見てみましょう
『人口25万人以上(ある程度でかい都市)には建築主事がいなきゃいけなくて、建築主事がいる地方公共団体は特定行政庁になる、それ以外のところは県庁』って感じで『県庁+でかい市町村』の説明になってます。
辞書的な説明に加え、その用語がなぜ生まれたかを意識するとその本質が掴めるでしょう。そもそも用語というのは、何かを説明するために生まれたものなのでその用語がないとどう困るかを考えれば、わかってくると思います。
また、この「なんで生まれたかを考える。」というのは用語だけでなく概念にも用いることができます。
ケース1:「割合」を教える
数学が苦手な人の99%は小学校で習う「割合」で躓いて、そのまま中学生になったりしています。ですので、中学生、場合によっては高校生相手でも割合を教えることがあります。
数学全般に言えることですが、いきなり公式を教えてしまうのは悪手です。(球の体積など一部の例外はありますが…。)
私は割合はいつもこう教えています。
『たとえば、部活5日行っています。とするじゃん?』
『でもさ、これ1週間(7日)のうち5日行っています!と1カ月(30日)のうち5日行っています!とじゃ話変わってくるでしょ?』
『こういう風に、世の中には何日中何日なのかを知りたい時あるよね』
的な感じで導入をしてから、5÷7、5÷30するんだよ、みたいな流れに持って行きます。もちろん、割合に関してはもっと教えないことはあるんですが、割合という概念の導入には最適です。
割合という概念がなぜ生まれたか、割合によって何がわかるのか、このような説明から入ると、これから勉強する意味も見えてきやすいです。
ま、これが簡単にできたら苦労しないんですけどね!!!!