【家計簿アプリ】マネーフォワードと三井住友カードの業務提携について思うこと
一通のメール
今朝、下記のメールを受け取った。
前に記事で書いたことがあるが、自分は家計管理ツールとしてマネーフォワード社のマネーフォワードMEを使っている。
その運営会社であるマネーフォワード社が三井住友カードと資本業務提携をおこない、11月1日に、マネーフォワードMEサービスを会社分割により設立した新会社に移管するというお知らせだ。
会社は変わるが、サービスは今までどおりとのことだ、
報道発表自体は、2024.7におこなわれていたようだ。
マネーフォワードMEは、利用者数は1,610万人、口座連携金融資産額は25兆円を誇るNo.1 家計簿・資産管理アプリとして知られている。
資産形成にはお金の見える化が欠かせないが、マネーフォワードMEはその強力な武器となるサービスと言える。
何しろ、銀行やクレジットカード、証券、ポイントなど、2,460以上の金融関連サービスを連携でき、入出金履歴や残高、購入履歴などの情報を取得して家計簿を自動で作成することができるのだ。
無料会員の場合は提携できるサービス数に制約があるが、自分の場合は無料会員でも十分に活用できている。
提携の理由
報道発表
報道発表によると、提携の理由は以下のとおりだ。
フムフムなるほどと読んでみたが、ちょっと腑に落ちない点もある。
それは、マネーフォワードMEが多数の金融機関との繋がりを目指すオープンなサービスであるのに対して、三井住友カードはクローズドな世界で顧客の囲い込みを目指すビジネスプレイヤーであり、両社の目指す方向性が真逆であるためかもしれない。
報道発表資料を読んで「本当に業務提携のシナジー効果が出せるのだろうか?」という疑問が浮かんだというのが率直なところである。
それでは、なぜ両社が資本業務提携をおこなったのだろうか?本当の理由をちょっと考えてみたい。
自分の考える本当の理由①
業務提携の真の理由の1つとして考えられるのは、三井住友カードによるマネーフォワード社の資金的な救済だ。
最近のマネーフォワード社の事業状況を確認してみると、売上は順調に伸びているが、営業利益が赤字体質から脱却しきれていないことがわかる。
IT関連企業では、事業の立ち上げ時には固定費がかさみ赤字体質であることが多いが、ある程度成長したらいつまでも赤字を続けているわけにもいかない。
ましてや上場していれば、株主からのプレッシャーは相当なものだろう。
我がnote株式会社も事業の黒字化には苦労してるが、マネーフォワード社も同様の事業状況に置かれているようだ。
自分「なぜ自分の好きなサービスは儲かっていないのだろうか…」
神「それは汝が課金していないからじゃ」
自分「すみません…」
それはともかくとして、資金の出し手として三井住友カードが現れてくれたのは率直に嬉しい。
そのバックに二大財閥が合体した三井住友フィナンシャルグループが付いていると考えると、何とも心強い。
ありがとう!三井住友カードさん!
自分の考える本当の理由②
マネーフォワード社からみた業務提携のメリットは資金提供であるが、それでは三井住友カードからみたメリットは何だろうか?
企業なのであるから、自社にメリットなく資金提供をおこなったら株主に訴えられてしまう。
やはり三井住友カードが欲しいのは、マネーフォワードMEサービスの顧客情報であろう。
マネーフォワードMEは、利用者数1,610万人、口座連携金融資産額25兆円を誇るNo.1 家計簿・資産管理アプリなのだ。
顧客の銀行口座やクレジット決済の情報を含むお金の入金・出金の流れ全ての情報がビッグデータとして保管されているのだ。
これらのデータは、金融事業を営む事業体としては、喉から手が出るくらい欲しいデータであろう。
このデータさえあれば、どのような属性の人間がどのような消費行動を取るかなど手に取るようにわかってしまう。ライバル金融機関も脅威に感じているのは間違いない。
懸念点
上記のように本当の理由を考えたら、今回の資本業務提携はWin-Winの関係であり、大成功のように思える。
ただ懸念点がないわけではない。
それは、他社が今回の業務提携をどのように捉えるかという点である。
顧客のビッグデータを三井住友カードが手中に収めるのは、三井住友カードにとってアドバンテージであると同時に、ライバル金融機関にとってはとてつもない脅威である。
もしライバル金融機関の多くが、マネーフォワードMEサービスとの口座連携を今後認めない選択をしたらどうだろうか?
マネーフォワードMEの魅力が一気に失われてしまうかもしれない。そうなった場合、サービスの実質的終了に陥ってしまう可能性もあり得ると思っている。
これは単なる自分の妄想だろうか?
自社の顧客情報がライバル社に筒抜けになる事態を避けたいと考えるのは、ある意味自然な流れのように思える。
そのため今後、顧客情報の取り扱いに関する取り決め内容が重要になってくると予想される。
全部の情報が三井住友カードに筒抜けではライバル社が納得しないだろうし、かと言って情報を完全に遮断してしまったら、そもそも三井住友カードにとってのメリットが失われて業務提携が破綻してしまうだろう。
いちファンとしては、うまい落としどころを探って、マネーフォワードMEサービスが今までと同じように存続して続けてくれることを願っている。
※この記事では「株式会社マネーフォワードと三井住友カード株式会社との資本業務提携」について考察していますが、記事内容はあくまでも筆者の個人的な見解です。両社の見解とは何ら関係はなく、真実性も保証されていません。
※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
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