見出し画像

【note】「応援サポーター」からの提言


応援サポーターになる

noteは、優しい人たちが集う場所だ。

そんな居心地のいい場所であるnoteが大好きだ。そんな記事を前に書いた。

そんな自分には、1つだけ心配事がある。

それは、そんな居心地のいい場所であるnoteが無くなってしまわないかという心配だ。

noteの運営会社は、note株式会社である。note株式会社の経営が傾いてしまったら、そのサービスとしてのnoteも継続が難しくなってしまうだろう。

そのため、noteに強い愛着を覚える1ユーザーとしては、note株式会社の事業状況に無関心ではいられない。

note株式会社の事業状況は前期営業赤字で、決して楽観視できるわけではないという話も漏れ聞く。そんな話を聞くと、noteサービスの永続を願う1ユーザーとしては、居ても立ってもいられない気持ちになる。

この記事では、同社の決算資料を紐解いて、勝手に名乗っているnote応援サポーターとしてできることは何かないかを考えてみたい。


note株式会社の事業状況

早速事業状況をみてみよう。

※念のため付記しておくが、筆者はnote株式会社の社員や関係者ではない。

本記事は、同社のnoteサービスの1ユーザーという立場からの提言である。


売上・営業利益の推移

売上高と営業利益の四半期推移のグラフによると、売上高は順調に伸びていて直近の'24-1Qで8.04億円となっている。

それに対して、営業利益は赤字続きであり、'23-1Qにはその額は▲2.21億円に達している。スタートアップ企業であるため事業初期の赤字は仕方ない部分があるにせよ、安定的に利益を出せなければ事業継続は難しくなってしまうのもまた事実である。

その赤字額も直近の'24-1Qでは▲0.07億円まで縮小し、赤字脱却が見えるところまで改善しているのは安心材料ではある。

危機は脱したということだろうか?

2024年11月期第1四半期
 
決算説明資料, 
2024.4.10, note株式会社


リストラによるコストダウン

しかし、赤字縮小の要因を見てみると、決して楽観視できる状況ではないようだ。

企業の支出に相当する売上原価+販管費のグラフによれば、直近の'24-1Qで8.11億円となっている。同四半期の売上高8.04億円との差額がマイナスであり、この額がそのまま営業赤字となっている計算になる。

2024年11月期第1四半期
 
決算説明資料, 
2024.4.10, note株式会社

売上原価+販管費の内訳を見てみると、人件費が大きなウェイトを占めていることがわかる。

コストが嵩んでいる主要因は人件費なのだ。

その人件費も、売上高人件費率を見ると、直近では減少してきている。

'24-1Qと1年前の'23-1Qとで比較すると、以下のような変化だ。

  • 人員数:184人→154人 (▲30人)

  • 人件費:3.98億円→3.24億円 (▲0.74億円)

  • 売上高人件費率:60.9%→40.4% (▲20.5ポイント)

要するに、人員整理をおこない固定費としての人件費を削減することで収益を改善したのだ。

いわゆるリストラという手法である。

人員を減らした分は開発をアウトソーシングして対応しているようだ。そのぶん外注費は増加してしまうが、アウトソーシングは人員を雇うのとは異なり、状況に応じてフレキシブルに増減させることができるためコスト管理しやすいメリットがあるのだ。

反面、IT企業にとって生命線とも言うべきIT技術の多くを外部に依存してしまっては競争力を失うリスクが高まるため、この手法は両刃の剣とも言える。

いずれにしても、少数精鋭の環境の下でnoteサービスが運営されているのは事実で、noteの中の人々には本当に頭の下がる思いだ。

その他、効果は限定的であるが、本社を移転しオフィス賃料負担の削減にも努めているようである。

赤字額の改善には、むろん有料記事の購入数増加による売り上げ増も一定の寄与はあったが、赤字脱却の主要因がリストラによるコスト圧縮効果であったとするならば、事業状況はまだまだ予断を許さないのではないかと考えられる。


noteのビジネスモデル

改善策を考える前に、note株式会社の事業構造を確認しておこう。

note株式会社の売り上げの80%以上は、noteサービスからの収益で成り立っている。残りが法人向けサービスのnote proの収益だ。

現状では、note株式会社の事業状況は、noteサービスの成功如何にかかっているのだ。

noteサービスからの売上は、'24-1Qの実績から計算すると以下のようになる。

  • 流通総額(GMV):41.98億円

  • テイクレート:17.7%

  • 売上:GMV×テイクレート=7.43億円(計算値)

流通総額(GMV)とは有料記事の売り上げ総額を意味し、テイクレートは有料記事販売の手数料率である。いわゆるショバ代というやつだ。

流通総額(GMV)テイクレートを掛け合わせた金額がnote株式会社売上となる仕組みだ。残りは、有料記事を販売したクリエイターに還元される。

従って、noteサービスでの流通総額(GMV)が増えるほど、note株式会社売上も増えるため、いかに流通総額(GMV)を増やすかがnote株式会社の業績改善の肝となっているのだ。

流通総額(GMV)が増えれば、それに伴う経費も増加するが、それ以上に固定費が薄まる効果が大きく、利益率の改善が期待できるというわけだ。


noteのユーザー数

では、流通総額(GMV)を決める要因は何だろうか?

流通総額(GMV)
を支えているのは、購入者たる累計会員登録者数、有料記事の元となる公開コンテンツ数、その記事を供給する累計ユニーククリエイター数などの数値だ。

これらの数値が増えなければ、流通総額(GMV)も増えないのだ。

実際には、有料コンテンツの数1記事あたりの購入率購入金額も関わってくるはずであるが、それらについては残念ながら公表されていない。

しかし、上記数値のトレンドデータを見ると、順調に増加してきているのがわかる。

2024年11月期第1四半期
 
決算説明資料, 
2024.4.10, note株式会社

直近の'24-1Qで以下の数値となっている。

  • 累計会員登録者数:777万人

  • 公開コンテンツ数:4259万件

  • 累計ユニーククリエイター数:134万人

単純計算すると、777万人の登録者のうち、記事を書いている会員すなわちクリエイターが6人に1人の割合で存在していることになる。

また、クリエイター1人あたりの平均記事数は32記事であり、自分の記事数は平均値をやや超えているレベルのようだ。

有料記事の購入動向は、以下の数値となっている。

  • 月間購読者数:50.4万人

  • ARPPU(平均月間購入額):2,779円

ARPPU(平均月間購入額)が2,779円というのは、意外と購入額が大きく正直びっくりする数値だ。

「皆そんなに購入しているのか?」

月間購読者数も50.4万人いるが、この数値を前提にしてもnoteサービスは儲かっていないのだ。まだまだユーザー数が不足しているということなのだろう。

もっと爆発的にユーザー数を増やさなければ、noteサービスの永続は危うくなってしまうのだ。


noteの広告塔になる

ここまで書いてきて、やや後ろめたい気持ちになっている。
なぜならば、自分は有料記事を書いていないからだ。有料記事の購入もプレゼントされた100ポイントを使っただけだ。

自分は、noteサービスの収益には1円も貢献していないのだ。これでは、フリーライダーと揶揄されても反論のしようがない。

「こんな自分はnote応援サポーターを名乗る資格がないのではないか」

しかし、その懸念は杞憂のようである。
決算説明資料にその理由がちゃんと書かれていた。

noteのグロースモデル
クリエイター・読者・コンテンツの相互作用によるネットワーク効果がはたらき、広告宣伝費をかけずに自律的に拡大するグロースモデルによって競争優位を実現。noteの公開記事のうち有料コンテンツの比率は24.4%(2024年2月末時点)。無料記事は多くの読者をnoteに惹きつける広告宣伝的な役割を果たしており、サービス運営上重要な位置付けとなっている。

2024年11月期第1四半期
 
決算説明資料, 
2024.4.10, note株式会社

noteの公開記事のうち有料コンテンツの比率は24.4%でしかない。残りの無料記事は売り上げに貢献しないが、無駄かというと必ずしもそうではないようだ。

『無料記事は多くの読者をnoteに惹きつける広告宣伝的な役割を果たしており、サービス運営上重要な位置付けとなっている』

noteでは広告宣伝費に多くを割いていないが、そうできる理由は無料記事が広告宣伝的な役割を果たしているからなのだ。

「自分の無料記事も無駄ではなかったんだ。よかったぁ笑。」

有料記事を書けるほどの文才もなく、かと言って有料記事を買う資金力もない自分のnote支援策は、以下に尽きる。

「できるだけクオリティの高い無料記事をたくさん書く」

これで、note株式会社と安心してWin-Winの関係を築けそうだ笑。


応援サポーターからの提言

自分ができるnote支援策は上記だけだ。自分は自分にできることをやっていきたい。

一方で、noteサービスの抜本的な収益改善には、新しい視点での取り組みが必要であろう。

行き詰まった場合は、ルールの変更、すなわちゲームチェンジが必要だ。

当然、収益改善については、noteの中の人たちも日夜懸命に考えていることだろうし、実態を知らない自分のような部外者が口を挟むのは僭越ではある。

しかし、noteサービスの永続を願う応援サポーターとしての立場から、ぜひ提言をさせていただきたい。

提言は、以下の2点である。

  1. サブスクの導入

  2. 海外進出


サブスクの導入

現在のシステムでは、記事毎に購読することになっている。これをサブスクに変更するのだ。

有料記事を購読するのはなかなかハードルが高いと考えられる。サブスクを導入することで、有料記事が読まれる頻度が向上するだろう。

購読頻度が向上することでクリエイターのモチベーションが高まり、有料記事の供給が増加する。そのことにより更に購入頻度が高まる正のスパイラル効果が期待できる。

今でも有料マガジンのサブスクが提供されているようであるが、マガジン毎のサブスクではなく、サブスク会員になれば全ての有料記事を追加料金なしに読める仕組みとするのだ。

クリエイターには、読まれた回数に応じて報酬が分配される。原資はサブスク会員の会費でトータル金額は決まっているため、実態に応じてダイナミックに報酬単価を決定すればよい。

簡単に言うと、Kindle unlimitednoteバージョンである。

サブスク会員としては気軽に有料記事を読めるメリットがあり、クリエイターとしても気軽に有料記事が読まれるメリットがあるため、受け入れられる余地は十分にあると思うのだ。

Kindle unlimitedの場合と同様に、現行の有料記事を個別に購読するシステムに、サブスクとして読めるシステムを追加で導入すれば、導入時の混乱も少なくできるだろう。

自分の記事に自信のあるクリエイターは従来どおり個別での販売を選択し、そうでないクリエイターサブスクを選択することになる。


海外進出

noteサービスは現在、日本語圏向けを中心に運用されているようであるが、本格的に海外向けにサービスを展開するのだ。

それには、まず英語圏向けに英語のUIを実装する必要がある。

対象を日本語圏の限ると市場が狭いが、英語圏まで広げると市場規模が広がることだろう。

ただし欧米では日本のように書籍が売れないという話も聞くし、どれだけnoteサービスが受け入れられるか未知数ではあるが、検討には値するのではないだろうか?


以上応援サポーターとして、2点を提案させていただく。

もしnote株式会社の中の人の目に留まる幸運があったなら、ブレイン・ストーミングの題材にでもしていただければ幸いだ。

この記事を読んだnoteを愛するクリエイターの皆さん、一緒にnote応援サポーターとなって、noteに対する提案記事をUPされては如何だろうか?


※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
また本記事は、特定の商品、サービス、手法を推奨しているわけではありません。特定の個人、団体を誹謗中傷する意図もありません。
本記事を参考にして損害が生じても、一切の責任は負いかねます。すべて自己責任でお願い致します。


お知らせ

資産運用に興味のある方は、拙著『資産運用の新常識』をご覧ください。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集