【音楽】アリス コンサート2024「最後の言葉だ ありがとう!」
『谷村新司追悼特別企画 アリス コンサート2024 ALICE FOREVER ~アリガトウ~』に参加した。
※ネタバレにご注意ください! #ネタバレ
わが青春のアリス
アリスは、谷村新司(愛称:チンペイ、ボーカル・ギター担当)、堀内孝雄(愛称:ベーヤン、ボーカル・ギター担当)、矢沢透(愛称:キンちゃん、ドラムス・パーカッション担当)の3人で、1972年に結成されたバンドである。
最大の特徴は、ツイン・ボーカルにツイン・ソングライター、つまり歌い手が2人いて、曲の作り手も2人いる点だ。
野球で言えば、ダブルエース、二枚看板なのだ。
歌詞作りは谷村新司が担当し、曲作りは谷村新司と堀内孝雄が交互に担当し、競い合うようにして音楽性の高見に登って行った。
2人は時にライバルであり時に仲間であった。そんな特異な2つの才能をつなぎ留めるかすがい役は、ステージ後方に座りドラムスでリズムを刻む矢沢透であった。
矢沢透は楽曲のリズムを刻むと同時に、アリスというバンドのリズムも同時に刻む大切な存在だった。
昔は、ドラムス叩いて「You're King of Kings」(『チャンピオン』)のフレーズを叫ぶだけの人かと思っていたが、大変な重責を担っていたのが今なら理解できる。
アコースティック・ギターを持つスタイルはフォークであったが、そこにドラムスが加わることによって、フォークでもロックでもない独特の色合いのバンドが誕生した。
今回コンサートに初参戦するにあたり、「そう言えば…」と探し当てたのが昔買ったCDアルバム『アリス ツインベスト30』だ。発売は1986年なので、もうかれこれ38年前の作品になる。
今から考えると、その時にはアリスは既に活動休止し、谷村新司も堀内孝雄もソロ活動を開始していたのだが、1986年はCDというメディアが世の中に登場してから僅か4年後のことで記念に購入したのだろう。アルバムには既に谷村新司のソロ作品である『昴』も収録されている。
新鮮な驚きであったが、38年振りに聴くCDから流れてくる『冬の稲妻』『チャンピオン』は「とてつもなく、カッコいい!」のだ。少しも色褪せていない!
自分の中ではとうに忘れ去られていたアリスが流れていた頃の「青春時代の匂い」(『青春時代』)が、一瞬で呼び覚まされてしまった。
時を巻き戻してみると、『冬の稲妻』はリアルタイムで聴いた記憶がないが、『チャンピオン』は確かに同時代に聴いていた。
それは、人気歌番組『ザ・ベストテン』(TBS)が1978年にスタートしたのも影響しているだろう。他のニューミュージックにカテゴライズされるアーティストとは違い、アリスはTV番組に積極的に露出することで一気にメジャーになったバンドである。
思えば、これは彼らの下積みの長さも関係しているのかもしれない。プロモーションのため全国をツアーで周り、1974年には年間303ステージをこなした破天荒な逸話も残っているようだ。
1977年の『冬の稲妻』の後、1978年には『涙の誓い』『ジョニーの子守唄』『君のひとみは10000ボルト』『チャンピオン』と矢継ぎ早にヒット曲を放ち、『君のひとみは10000ボルト』と『チャンピオン』の2曲は連続してチャート1位を獲得している。
アリスの絶頂期である。
『君のひとみは10000ボルト』はリーダーである谷村新司が病気入院したため、堀内孝雄がソロで歌ったアリスの曲だ。
「俺がチンペイさんの留守を守る!」と『ザ・ベストテン』で歌うときに堀内孝雄が宣言していたのが印象深い。谷村新司は昔から体が少し弱かったようだ。
1979年に『夢去りし街角』『終止符』、1980年には『狂った果実』で息を吐いたが、路線の違いからか1981年に活動停止に至る。
『秋止符』は大ヒットドラマ『3年B組金八先生』の劇中歌として使われた曲でもある。中学生の妊娠という衝撃的な内容の話を鶴見慎吾、杉田かおるが演じた放送回で流れた『秋止符』のメロディーと歌詞は自分にとっても印象的で忘れられない。
自分が知っているアリスはここまでである。
28年の時を経て2009年に完全に再始動したアリスが、ライブツアーを敢行したりしていたのはニュースなどで知っていた。
それが、2023年10月8日、谷村新司永眠のニュースが突然駆け巡ったのだった。
まさに『冬の稲妻』のような出来事であった。
頭が真っ白になった…。いつでも会えると思っていた…。いろんなことを言い訳にして、一度も会いに行かずに生きてきた自分の人生を悔いた…。
それから早1年が過ぎ、追悼コンサートの情報を聞き及んで真っ先に申し込み、その日を迎えたのだった。
気になる歌詞の言葉
アリスの楽曲は、一部の提供曲を除いてすべて谷村新司の手による歌詞がついている。
つまりアリスの楽曲は谷村新司の世界観で出来ているのだ。
歌詞の中で何度も繰り返し出てくる気になる言葉について触れておきたい。
燃えながら暮らすこと
谷村新司の歌詞には「燃える」という言葉がよく出てくる
谷村新司にとって、「生きてるとは燃えながら暮らすこと」なのだ。
若かりし頃の自分はこの言葉を信じて、「燃えながら生きているか?」と自問自答しながら、もがき苦しんでいたように思う。
歳を重ねると若い頃ほどの情熱は失せてしまったが、人生を終える時には、概ねそのような生き方ができたか答え合わせをしなければと考えている。
汽笛を聞きながら
あと印象的な言葉が、「汽笛(きてき)」だ。
「汽笛」は何かの象徴なのだろうか?
それとも谷村新司の何か原体験に根差すものなのだろうか?
感情を揺さぶられる場面で現れる「汽笛」は、とても印象的な言葉だ。
運命に立ち向かう
「さだめ(運命、宿命)」もよく出てくるワードだ。
谷村新司は、歌の作り手として、そして歌い手として自分の「さだめ(運命、宿命)」を感じていたのだろうか?
コンサート感想
自分の世代だと、武道館に向かうと条件反射的に頭の中をこの曲が流れてくる。
ピンとこない世代のために一応書いておくと、「大きな玉ねぎ」とは日本武道館の屋根の上の特徴的な飾りのことを指している。
過日、ミュージッシャンの聖地にしてアリス思い出の地・日本武道館で『谷村新司追悼特別企画 アリス コンサート2024 ALICE FOREVER ~アリガトウ~』の東京公演は行われた。
1曲目の『冬の稲妻』の歌の入りにやや不安を感じたが、さすが長いキャリアだけあって、ベーヤンの修正力は凄い。どんどん喉の調子を上げていく。
所々で語られるベーヤンやキンちゃんのチンペイさんへの思いで、目が潤んでしまったが涙腺崩壊することなく最後までいけた。
活動再開後のアリスは詳しくないので、正直、中盤までは知らない曲も多かった。
しかし、キンちゃんが歌うのを初めて聴けたのはよかった。
中盤の『秋止符』以降は懐かしい曲のオンパレードで、しかもスクリーンに映し出されたチンペイさんの映像・声と融合していて、本当に3人が揃ったコンサートを観てるようだった。
チンペイさんはスクリーンの中でもよく喋っていた。本当にお喋りな人だ 笑
締めはベーヤンが恐らく一番気に入ってそうな『遠くで汽笛を聞きながら』。自分も大好きな曲だ。
しかし、最高潮に盛り上がったのは、やっぱりアンコールの『チャンピオン』だろう。
チンペイさんとベーヤンが交互に歌う曲構成とノリの良い曲調で会場は総立ちになった。アリーナ席では、たくさんの赤いペンライトが赤いバラのように揺れていた。
自分は、立ち上がって手拍子で曲に乗りながらも、3人の演奏はこれが最後かもしれないという思いが去来し、涙を浮かべながら笑顔になる不思議な心地だった。
ステージの上には確かに3人が揃っていた!
やっぱりアリスは3人でアリスなのだ!
余韻の中で『夢去りし街角』の歌詞が浮かんできた。
本来の歌詞の趣旨ではないが、今読み返すとチンペイさんがこの時のために作っていたとも思える歌詞だ。
最後はこの歌詞で締めたい。
ベーヤンとキンちゃんのチンペイさんへの想いがなければ、この夜はなかったと思う。
2人に感謝する。いや3人に感謝する。
「アリガトウ! アリス!」
セットリスト
正直、知らない曲もあったので自分には正確にリストアップすることができない。
ここでは、ニュース記事の記載を引用させていただく。
※故・谷村新司さんのご冥福をお祈りします
※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
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