大学受験地理(カフカス3国)
今回の授業はカフカス3国についてです。写真は必ず覚えておきたいバクー油田です。
この地域の地政学的な緊張には注目しておくべきです。ジョージアは早くから脱ロシアに動きました。残るアゼルバイジャンとアルメニアは依然としてロシアの影響力下にありますが、近年ロシアの影響力は低下傾向にあります。ロシアはアゼルバイジャンとアルメニアの紛争解決を適切に仲介できていません。
バクー油田などアゼルバイジャンからの石油パイプラインはアゼルバイジャンからジョージアを経由してトルコにつながっていますが、ジョージアがロシアの影響下から離脱したためジョージアを通らない経路が計画されています。それがアルメニアとイランの国境地帯を通るサンゲズル回廊です。トリコやイランをふくめた複雑な利害関係の調整が必要なため、新たな火種になる可能性があります。
カフカス3国の、国名、場所、首都名、おもな産業、言語民族、宗教、GNI(国民総所得)などについて学びます。今回の授業の中で覚えてしまいましょう。ただ単に力ずくで覚えようとしても、なかなか覚えられないですし、すぐに忘れてしまうでしょうから、どうしたら確実に覚えられるか、そして入試問題が正解できるようになるか、そのコツも解説します。
1.国名
カフカスは反時計回りにア・ジ・ア!
位置は反時計回りで、
アゼルバイジャン ア
ジョージア ジ
アルメニア ア
カフカス地方は、「西の黒海」と「東のカスピ海」に挟まれた地域。
1820年頃に「イラン(ペルシア)」から「ロシア」の支配に。
アゼルバイジャン カスピ海に面する
ジョージア 黒海に面する
アルメニア 内陸国
2.首都名
アゼル バクー アるゼ バクー油田
ジョー トビリシ ジョージはトビ石(連休中)
アルメ エレバン アル? エレキバン
3.言語民族系統
アゼルバイジャン トルコ系
ジョージア カフカス系
アルメニア イラン系
これでは一つの国にはなれないね。
4.宗教
アゼルバイジャン イスラム(シーア派)
ジョージア 正教会
アルメニア 正教会
5.GNI(国民総所得)と一人当たりGNI 単位:米億ドル、米ドル
アゼルバイジャン 572、 5,630
ジョージア 209、 5,620
アルメニア 166、 5,960
6.人口 単位:万人
アゼルバイジャン 1,015
ジョージア 368
アルメニア 296
国の規模(GNIや人口)としてはアゼルバイジャンが断トツで大きい。一人あたりGNIはほぼ均衡していますが、ICT産業があるアルメニアが少し高い。
7.産業
アゼルバイジャン 原油、天然ガス、小麦、綿花
ジョージア 紅茶、かんきつ、たばこ、ぶどう、ワイン
アルメニア ぶどう、野菜、宝石加工業、ICT産業
アゼルバイジャンはトルコ系なのにイランとおなじイスラム教シーア派で、アルメニアはイラン系なのに正教会と実にややこしい。背景にオスマン帝国やペルシアやロシアに圧迫されてきた複雑な長い歴史がある。
アルメニアはオスマン帝国時代に虐殺をふくむ迫害を受けた経緯からトルコとの関係はよくない。
アゼルバイジャン領でありながらアルメニア人が多く住む「ナゴルノ=カラバフ自治州」があり、アゼルバイジャンとアルメニアの間には長く武力衝突が続いた。2023年にロシアの仲介で停戦となったが、アゼルバイジャンに有利な仲介内容であったため、アルメニアのロシアへの信頼は大きく失墜し不満を抱えるようになった。
ジョージア領内の南オセチアとアブハジアは、ロシア系住人が多いことを理由に、ロシアが南オセチアとアブハジアの独立の動きを一方的に承認し軍事支援をしたことから、実質的にロシアに支配されることとなった。もともとこれらの地域に住んでいたジョージア人は移住を余儀なくされた。ジョージアは2008年にロシアと断交し、2009年にはCISからも離脱した。2015年にグルジアからジョージアに改称した。
オセチア(ジョージア領の南オセチア、ロシア領の北オセチア)にはオセット人(イラン系正教徒)が多く住む。ジョージア人(カフカス系正教徒)とは異なる。アブハジアはアブハズ人が多く、ジョージア人とおなじカフカス系正教徒ではあるが、ジョージア人ではないため複雑である。南オセチアもアブハジアもロシア人比率はさほど高くはない。
ジョージアの北辺に隣接するロシア領内のチェチェン共和国には北カフカス系イスラム教徒のチェチェン人が住み、スラブ系正教徒と折り合いがよくなかったが、チェチェン共和国がロシア連邦から独立する動きを見せたことでロシアとの間で本格的な軍事衝突となった(チェチェン紛争)。背景には石油パイプラインの確保を目指すロシアの思惑があったと考えられている。
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