締切を守れない
「今どきの大学生は締切が守れない」と言ったとしても、今どきの大学生は怒りもしないし、皆もそうだと言わんばかりにどこ吹く風となる。裏口入学する人間であっても何らかの試験を受験するはずだから、受験するために願書を提出締切までに提出した経験はあっただろう。が、その経験で学ぶことをしなかったのだろうか。
提出締切の意味
〇月〇日までに提出してくださいとアナウンスされた経験は、大学生に限ったことでもない。遡れば、小学校や幼稚園、保育園でも経験する。仮にそこで提出を忘れた場合、どんな目にあったのかを思い出して欲しいと、ある未提出の学生に語ってみたところ、彼の答えは「締切を伸ばしてくれたので問題なかったです」であった。
そうではないだろう。締切は伸ばせるものではない。
提示された締切に間に合わせるように努力した学生もいたはずだし、一人ひとりの都合に合わせて締切を変更できるのであれば、締切の意味がない。提出締切の意味は、前者のシーンに求められる必要がある。ちなみに、後者のシーンを「優しい先生」というのも間違っていることは強調しておきたい。なぜなら、この「優しい先生」は締切を守れなかった学生を優遇し、締切を守れた学生のやる気を削いでいるからである。
提出締切の意味は、その提出期限に間に合うように、自分の都合を調整して取り組む学修を積ませるところにある。少なくとも、この学修の中で自分の処理能力を把握して計画を立てざるを得ないし、その計画どおりに遂行するために自律した行動を意識せざるを得なくなる。この2つの課題に取り組むことが基礎学力を向上させることを期待できる。
もちろん、提出締切に間に合わない事態が襲ってくることも当然想定される。それが予想外のものであれば、予想外の事情が発生したために締切に間に合わないことを教員へ説明できるはずである。最初は伝え方が下手であったとしても、繰り返し練習すれば提出締切が困難であった「正当な理由」を十分に説明できるようになる。
厳しい言い方になるかもしれないが、提出締切が守れずかつ救済されない学生は、教員の依怙贔屓によって救済されないのではない。提出締切が困難であったことについての正当な理由を説明できない本人の責任である。
願書締切の表記に注意
これから願書を作成して郵送するという作業を複数回経験することになるだろう受験生の諸君は、おそらく進路指導の先生から次のことは既に聞いていると思う。
〇月〇日必着:「必着」とある場合は、その期日に必ず相手の手元になければならないことを意味する。そのため余裕をもって郵送すること。
〇月〇日消印有効:「消印有効」は、郵便局で押印される日付がその期日であれば期日後に到着しても受け取ることを意味する。そのため最寄りの郵便局で最も遅くまで対応してくれる場所を確認しておくこと。
ちなみに、Webから提出する場合、自分の使用している端末の時刻を信用しないことである。基本的に時刻の不一致はないと思われるが、提出先の端末の状況によっては未達となってしまう場合がある。そのため、今日できることは今日のうちにやるという気持ちで、締切の前々日を自分の中の締切日として取り組むことをお勧めする。
もちろん、当然のことであるが、ネット回線の調子が急に悪くなってしまって締切を守れなかったと弁明しても、それは正当な理由にならない。(了)