3度目の失恋

昨日の夜に彼と電話をした。
私が卒業したことを報告した時に、また会えないだろうか?と彼を誘った。彼は唐揚げを揚げていた。

誘った文章が、まるでパワーポイントで私が彼に会いたい理由をプレゼンしてるみたいで、カチカチな誘い方やなあ、となんだか笑えた。
誘いの文章のなかに、私とあなたの関係が友人でも恋人でもないからどんな立場で誘えばいいのか分からないけど、という文章を打っていた。すると、彼は、私について話し出した。

彼にとって私は、友人でも恋人でもないけど、一言では表せないくらい特別な存在だと言った。だから、これからも迷惑じゃなければ、歳を重ねても他愛も無い話をしたいと思ってる。と言った

私は最近、振られる前によく話してた、私たちの関係性が持ちつ持たれつという関係性だった事について考えていた。今思えば、その関係は私にとってしっくりくるし、心地よかったのかもしれないなと思った。それを伝えるとLINEじゃ手間になり、電話することになった。

彼からまず、報告しなきゃいけないことがあると言われ、あー、彼女でも出来たんかなあ。と思ってたら、「実はね、お付き合いしている方ができました」と言って、やっぱりなあ。と思いつつも心拍数だけ上がるのを感じた。
「わあー、おめでとうございます。そうかあ、良かったなあ。なんだか嬉しいです」 と答える。多分必死に、自分の心に嘘ついた気がする。本当は、胸がチクッとした。だけど、彼が自分の幸せに目を向けるようになったんだと思うと、なんだか感慨深かった。

私は、4年彼を追い続けたけれど彼の心を掴むことは出来なかった。けれど、今お付き合いしている彼女は、数ヶ月で掴むことが出来たのか。と思うと、やり切れない気持ちがあった事には変わりない。
だけど、彼女のことを聞いた時に彼女の話をする彼の声が、あまりにも暖かくて優しくて、好きな気持ちや、大切に思う気持ちが私の中に流れ込んできて、私はなにか役目を終えたような気分になった。

私は伝えた。
私はあなたを守りたかったんだと思う、と。
あなたはどこか不安定で、危なくて、ほっとけなかった、と。いつの間にか、あなたを好きだと思う気持ちは、意地や情になってた。だから、あなたのことは本当に大好きで愛しているけれど、恋心が戻ることは無いよ。と

そして普段通りお互いに音楽を聴いては、その曲について語った。いつも通りの、電話だ。

私は彼をズルいなと思った。
私を振って、彼女が出来て、私がもうこれで最後になると思うからと言うと、私は特別な存在で彼女が出来たからと言ってそれが急に終わるのは、違う気がする。これからも、他愛も無い話をしたいと言った。

振った相手にそれを言うのはアンタじゃないでしょ。って言ってやればよかったのに、私は言えなかった。失いたくないと思う気持ちがまだどこかにあるからなんだと思う。

彼の優しい言葉一つ一つが、嫌にさせる。
だから、離れなきゃな。とふと思った。私が幸せにならない恋をするくらいなら、私を幸せにしてくれる人を選びたい。そう、強く思った昨日の夜だった。

ただひたすら彼が好きだった。自分と似ているかれに惹かれ、彼みたいになりたいとすら思えた。今でも、ずっとそれは変わらない。
彼を好きだった自分も好きだった。次また出会う人も、そう思える人だったらいいなと思いながら、4時間も電話していることに気づき、電話を終えた。

彼に対する気持ちはもうない。
私も新しい恋して、彼よりも幸せになって自慢出来たらいいなと思う。本当に、頑張ったな4年間。
彼を好きだった私を、私が1番愛してあげようと思う。

おわり

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