【つぶやき#2】 好き、憧れ、流行の分類
私は大学生になるまで、SNSを使ったことがなかった。
インスタグラムやツイッター(現「X」…)はもちろん、LINEすら使ったことがなかった。というよりも、やってはいけなかった。
理由は簡単で、部活の規則で禁止されていたからだ。
私は高校時代、吹奏楽部に所属していたのだが、部活に集中するために「SNS禁止」というルールがあった。このことに関して賛否両論あるとは思うが、良い悪いとはっきり決めつけられるようなコトではない気がする。
ただそのおかげで、自分の「好きなこと」が本当にオリジナルで、人から文句を言われることもなく、良い意味での影響を受けることも少なかった。
クラシック音楽が好きだった私は吹奏楽部でオーボエを吹いていて、ローター・コッホ、インゴ・ゴリツキ、ハインツ・ホリガー、モーリス・ブルグ、フランソワ・ルルー…名だたるオーボエ奏者の演奏をYouTubeで漁っては聴き、聴いては真似し続けた。
今ではTikTokなんかも出てきて、「オーボエ 演奏」と検索すると、音大生や天才キッズ、地域のイベントや練習風景、「演奏してみた」系の動画がぶわわわわあーーーーーっと出てくる。
巨匠の演奏よりも先に。
「プロの演奏家だけが音楽家なわけじゃない。誰でも自由に発信して良いんだよ!もともと特別なオンリーワンなんだよ!」という現代の良い風潮ならではの事象だと思う。が、その「オンリーワン」を摂取し過ぎると、自分の求めているコト、つまり「好きなこと」が見えてこないのではないかと思う。
23歳の私は今まさに「好きなこと」がわからずに放浪している。SNSが解禁されて、ああ、韓国が流行ってるんだ、みんなおしゃれな部屋に住んでるんだ、かわいい子の友達もかわいいな。
見続けていると自分の「好き」が溜まりに溜まる。
溜まりに溜まって「好き」がわからなくなる。
大学1年生に始めたインスタを使ってみて5年が経ち、ようやくわかったことがある。
「好き」と「憧れ」と「流行」は、分類するのが難しいのだ。
・音楽が好き。特にクラシック音楽と、オーボエ。
・フランソワ・ルルーの音色が好き。
・TikTokで見たオーボエ3重奏のジブリメドレーが好き。
全て「好き」なことは間違いないのだが、種類が違う。
オーボエは好き、ルルーは憧れ、ジブリメドレーは流行。
本当に好きなことの主軸になるのは「オーボエ」だけだ。
SNSを摂取し続け、「好き」が溜まれば溜まるほど「好き」が埋もれていく。埋もれてしまわないように必要なことは、多分SNSを制限するのではなく、「好き」と「憧れ」と「流行」を分類しながら、SNSと向き合うことだ。
そんな気がしているのに、暇があればまたインスタをタップしてしまう私の右親指よ。
脳のキャパを超えないようにね。