宣材写真を撮ってきた
宣材写真の撮影が今年もやってきてしまった。
この記事を読んでいただいた方は、今私に向かい両手で手を合わせ南無と言っているに違いない。
(あとこれを読んでからの方が今日の記事は色々とわかりやすい)
宣材写真の撮影というのは、私のファッションセンスの無さと化粧っけの無さと、根暗っぷりと姿勢の悪さと大したことない顔面レベルをありありと実感する日になるので非常に逃げ出したい。
去年は本当に逃げた。
マネージャーにひとしきり駄々をこねたところ、関わってるだけ時間の無駄だというような呆れたため息をされてなんとか撮影を免除してもらえた。
しかし今回は事務所の大事な周年になるらしく強制的に撮影の日程を組まれ絶望の他ない。
ただ、今年の私は一味違う。
まず採用された服は私の私物だ。
これは大いなる快挙であり、私の歴史が大きく動いた瞬間でもある。
毎年のあの、3着ほどの勝負服を持っていくがマネージャーに苦い顔をされ一蹴された挙句マネージャーの服を着る情けない私ではない。
正真正銘の纏うものさえも小林美鈴としていられるので堂々としたものだ。
前回大恥をかいたセルフビューラーだったが、今年はビューラーの横にマスカラも置かれていた。セルフマスカラが加わっていた。
メイクさんが作業をしている隙にビューラーはすっ飛ばしマスカラだけを塗って、さっきビューラーもしましたけど?という雰囲気を出すことに成功。
これでメイクさんに苦笑いされることもない。
こうして一度も心を抉られることなく準備が完了した。
さらに私はこの日のために図々しくもカメラマンさんを指名していた。
なぜなら彼は撮影中に「可愛い」を言わない。これが何よりも私にとって重要!
気を遣った「可愛い」は嘘だとバレるから寧ろ言われると恥と申し訳無さで余計と顔が歪んでいく。
でも彼は基本的に無言で撮影をし、時折「うん、いいね」とだけぽそりと置くその言葉こそ信頼できるというもの。
メンタルも上々、「可愛い」の集中業火も免れたこの環境…いける!いい写真が撮れる!!よろしくお願いします!!
ドッキリしてんのってくらい撮り直した。
いつも「可愛い!」て言いまくるマネージャーが首を傾げ続けて一向に頭がまっすぐにならない。
私も撮った写真を見たけどこれ銃口向けられて撮ってる?
何度撮り直してもとにかく笑顔がみっともない。
基本的に陽キャに悪がらみされた陰キャの笑顔をしている。「小林おもろい話してよ」「えへへ…ちょっと難しいかなぁ…」的な顔である。
そして撮り直すほど睨みがきいてきて真顔さえもどうするのかわからなくなってきていた。
何度も撮り直すも納得の写真が撮れず、写真を見ながら打つ手なしといったように私もマネージャーも沈黙してしまう。
静まり返ってしまった空気の中、カメラマンさんが言った。
「うん、可愛い」
カメラマンさん、あんた、お世辞言い慣れてなさすぎて声が震えてるよ。
もう解放されたいよね。ごめんね。
私はこれ以上撮ったところで期待しているほどのものは撮れないと察した。
心の底から自分の辛気臭さを呪って帰った。
先日、撮影した200枚の写真を送ってもらった。
どの写真が宣材として選ばれるかはまだ未定だけど、どれもこれも陰湿な笑顔と眩しいくらいの黄色い服とのコントラストが笑えた。
宣材写真の更新は多分年末年始あたりです。