25歳のフリーター、専門学校へ
ライターの技術や知識を学ぶべく、僕は2007年にバンタン電脳ゲーム学院(現在のバンタンゲームアカデミー)のゲームライター科へ入学します。
25歳まで定職にも付かずフラフラしてた僕ですが、ここに来て、いよいよ人生の目標を見つけるわけです。だいぶ遠回りしましたが。
実は最初、25で専門学校に入ることに対して迷いもありました。高校卒業後に入ってくる人が大半なので、同級生のほとんどが年下ということになります。しかも、7つも年下。結構年下。面接の時に年齢のことが気になっていると話したら、スタッフさんが「ぼくは年齢はハンデになるとは思わない。結局はどこまで情熱があるかです」と言った。それはもうハッキリと。その一言で、ぼくは吹っ切れた気がしました。そうか。年齢は関係ないんだ。堂々としてればいい。堂々と学べばいい。
実際,在学中はあまり年齢のことは気になりませんでした。年齢が近い人も何人かいましたし,年長だからこそ知ってるゲームの知識もあったりしたので,そこが強みになることもあった。
なので,専門学校での生活はとても楽しかったです。何しろ義務教育とは違い、自分が本当に好きなこと、とことんまで燃えられること、没入できることを学ぶのです。楽しくないわけがない。
でもだからこそ、甘えられない。言い訳ができない厳しさも感じていました。その当時のぼくは、これすら挫折してしまったら、もう後はないなと,そこまで思っていました。いま思えば常にアンテナを立てていればやりたいことなんていくらでも出てくるはずなのですが、当時の僕はそれほど崖っぷちだった……のかもしれません。高校卒業後、短大に行き、別の専門学校に行き、そのたびに挫折してきた過去があるからこそ。
専門学校では、主にライターの基礎を学びました。文章の基本的な書き方、紙面の設計図とも言えるラフの書き方、さらにはインタビューの授業などもあり、すべてが実践的。そりゃそうですよね。だって、現場で通用する人材を育てるための学校ですから。講師が現役のライターというのも刺激的でした。業界のあんなことやこんなこと、良い噂、悪い噂。様々な話を聞くことができて、「おれもこれでライターの仲間入りだぜ!」ってな感じで調子に乗ってましたね。
そんな感じで、僕は日々充実した学校生活を送るわけですが、クラスメートの中には、途中で辞めてしまう人もちょいちょい出てきます。業界がうっすらと見えてきたことで現実的になったのか、それとも、単純に自分とは合わないと感じたのか。
最終的に、クラスメートの2割位くらいはドロップアウト。2018年の現在でライターや編集者を含めゲーム関係の仕事をしている人は,同期では半分に満たないのではないでしょうか。
同期が去っていく寂しさはありますが,でもそれって、ライターに限らず、どんな仕事でも同じですよね。むしろ、合わないと思いながら続けるのは苦痛でしかない。たまたまライターが自分には合わなかった、それだけのことなんだと思います。もしくは,ライター以上の仕事を見つけたのか。それはそれで全然ありだと思います。
逆に、僕は文章を通じて自分の考えを主張したり、ゲームクリエイターに会って直接取材できるライターという仕事にとてもハマったので、今でも続けている。よく、好きなことは仕事にするなという人がいますが、僕は、好きなことじゃないと仕事にできない性格なので、ライターは天職だと思います。取材が好き、ゲームが好き、文章が好き。もうこれだけ条件が揃えば十分でしょう。やるしかない。
専門学校では二年目から就職活動が解禁されます。ほとんどの人は在学中の段階でライターデビューするのですが、僕も幸運なことに二年目の夏頃に仕事をいただくことができました。なので僕の専門学校の生活は実質一年です。
学校である程度の基礎さえ積んでしまえば、あとはその基礎を武器にさっさと現場に飛び込んでしまったほうが、絶対にいい。とはいえ,学校に行ってよかったことも,もちろんあります。まず1つは,学校がパイプ役として生徒とメディアを繋いでくれることが挙げられます。講師が全員現役なので,見込みのある生徒には率先して仕事を紹介してくれたりもします。ここでチャンスを活かすことができれば,その後のキャリアにも繋がる。
僕のライターとしてのデビューも,講師の紹介がきっかけでした。ちなみに,今現在もお世話になっている4Gamerの仕事は先輩ライターの紹介です。その先輩がいなかったら,現在の僕はいなかったかもしれない。今でも,とても感謝しています。先輩や講師,尽力してくれたスタッフたちに。
専門学校で得た一番の財産は,やっぱり人との繋がりだと思います。人間関係の大切さ。コミュニケーションの大切さ。ライターの技術はもちろん大切なんですが,それ以上に,「こいつと一緒に仕事したいな」と思われる人間になれるかどうか。社会人としての根本の部分をがっしりと植え付けてくれたことが,今でも生きている。
僕のライターとしての成り立ちはここまで。次回からは,僕の経験を元に,ライターとしての初歩的な技術や心がけていることをお話します。ライターを目指している方はお楽しみに。