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ソ連にマトリョミン持ち込んだらテロリスト扱いされた話し
タイトルからしてヤバそうだと思ったであろう。
安心していただきたい、もちろん私がテロリストだったわけではない。
テロリストだったとしても間抜けすぎて任務を遂行できやしない。
これは某所のロシア雑貨屋の店主から聞いた話しだ。
こんなご時世(2024/1月現在)なので言いづらいが私はロシアや旧ソ連が好きだ。
文化や歴史は詳しくないが、西洋ともアジアとも違うなんとも言えない独自性。
とてもミステリアスで興味深い国だと思う。
特に雑貨なんかは可愛らしい。
私はロシア雑貨が好きなので街中を散策していた時に
偶然目に入ったロシア雑貨屋に入った。
店主はロシアと日本を行き来する日本人。
ロシアが好きで日本との架け橋をしたいと言っていた。
そこの店主も客が私だけだからと色々とロシアについて教えてくれた。
「マトリョミンを持ち込んだらテロリスト扱いされた話し」
は、そのうちの1つである。
そもそも、マトリョミンとはなんなのか。
この楽器が世間一般に浸透しているとはあまり思えない。
四半世紀以上、半世紀未満生きている中年の私ですら
メディアで見たのはたったの1回だ。
今しがたGoogleで検索したが、Wikipediaですら上がってこない。
世間的にマイナーな楽器だと思って間違い無いだろう。
マトリョミンとはマトリョーシカの中に
電子楽器テルミンを組み込んだ演奏と可愛らしさを両立させた
画期的な日本発祥の楽器である。
マトリョーシカとテルミンはロシア発祥のものなのだが
意外なことにそのハイブリットであるマトリョミンは日本発祥なのだ。
マトリョーシカ
![](https://assets.st-note.com/img/1735733449-BOnZ3XSkqim49cxo0MIfUQdA.png?width=1200)
マトリョーシカは、ロシアの伝統的な入れ子式の人形で、木製で彩色され、大小さまざまな人形が重なっています。通常、女性の姿を模しており、文化や家族の象徴とされています。by ChatGPT
テルミン
![](https://assets.st-note.com/img/1735733631-ePBAQFxEG85sljWo0mnNhqt1.png?width=1200)
1920年ロシアのテルミンが発明した楽器。電子楽器の一種で、手の動きによって音程と音量を制御します。空中のアンテナに触れずに演奏でき、独特の音色が特徴で、サウンドトラックや現代音楽に多く使用されます。by ChatGPT
このテルミンをマトリョーシカに内蔵するという魔改造を行ったのが日本人(テルミン奏者:竹内正実氏)だ。
と、文字と写真だけではイメージもしづらいと思われるので
YouTubeを検索してみた
どうだろう。まるでマトリョーシカが生き生きと話しかけてくるようではないだろうか。マトリョーシカの可愛さも倍増だ。
さて、前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。
時代は、当時ゴリゴリの米ソ冷戦時代。
世界の東西が別れお互いに核兵器で威嚇し合うそんな時代である。
日本はアメリカに負けたので
必然的にアメリカ側の資本主義国家になったわけだ。
そんな中、日本のマトリョミンを演奏する団体がソ連を訪問することになった。
私は楽器を演奏することが今までなかったが、楽器を運ぶときは特殊なケースに入れると言う事は知っている。
当然マトリョミンも楽器である。
まして、マトリョミンの中身はテルミンと言う電子機器。
飛行機で運ぶ時は、手荷物で持って運ぶに限るのは想像にしがたい。
アタッシュケースのような特殊な鞄にテルミンを大事に入れて運んだ演奏団。
長いフライトの時間を経て
ようやくソ連への入国管理へと進み、荷物検査を受けることに。
マトリョミンが入ったカバンは、空港職員によってX線にかけられた。
X線検査にかけられたマトリョミンのカバンを見た空港職員の目つきが変わる。
頑丈で特殊なカバンに詰められた
マトリョーシカ型した物体の中に電子機器が詰められている…
これは…爆弾に違いない
![](https://assets.st-note.com/img/1735734370-d1iIQgKDYJBMoe3OGtr0vaFS.png?width=1200)
空港内に走る緊張。
空港職員は演奏団に詰め寄る。
「さては、おまえたちはテロリストだな!?」
焦る演奏団。
「いいえ、違います!私たちはマトリョーシカの中にテルミンを内蔵したマトリョミンと言う楽器を弾く演奏団です」
空港職員
「ウソをつけ。そんなマトリョーシカがあるか」
![](https://assets.st-note.com/img/1737428084-ftbJpmjC9E43PSegyvXKMow5.png?width=1200)
演奏団は、必死に弁明する。
マトリョーシカの中にテルミンを内蔵してそれを楽器にしているのだと言う。
なかなか信じてくれない空港職員。
マトリョミンは日本発祥の楽器なので
当時ソ連ではそこまで知れ渡っていなかった。
このままでは拘束されて、一生日本に帰れないかもしれない!
そして、演奏団は、とある決断をした。
演奏団は全員、ケースからマトリョミンを取り出し、その場で演奏したのである。
※動画はイメージです
響き渡るテルミンの音色。
圧巻、感動、そして困惑。
空港職員は一通りの演奏を聞いて、マトリョミンが楽器であることを理解した。
「お前たちがテロリストでないことは分かった」
「あと、日本人は頭がおかしいってこともな(なんでマトリョーシカのなかにテルミンぶち込むんだよ)」
そして、全員をソ連へ入国することを許可したのである。
もちろん無事日本にも帰国することができた。
以上が、私がロシア雑貨店の店主から聞いた話です。
店主も人から聞いた話で、又聞きの又聞き話なので、どこまでが本当どこまでが盛った話しなのかそれはわかりませんが、おおよそ、そんなことがあったのかもなぁと思っていただければ幸いです。
みすあき
旅行エッセイスト/手芸家/話し描いてる人(フリーランス漫画家)
手芸と漫画がメイン活動の元気な独身。自称永遠の38歳。
旅行が好きでnoteでは今までの旅行の記録をまとめている
医療機関診断済みアスペルガー症候群(ASD)
うつ病経験済み現在寛解。※肩書きは全部自称、誰からも呼ばれていない。
X(旧Twitter):https://x.com/misuakinagoya