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拡張少女系トライナリー備忘録(1/3)

○はじめに

2021年12月14日。コーエーテクモゲームス、ガストブランドのオンラインショップ「ガストショップ」にて、「拡張少女系トライナリー」の5周年ページが公開された。
トライナリーは、2018年8月31日にサービスを終了したアプリである。
5周年ページのトップにあるのは、そのアプリ内世界にある企業からの、
次元間転送サービス事業縮小のお知らせだった。

アプリとしてのサービスが終了してからも、東京ゲームショウなどが開催されるタイミングで、向こう側の世界にいる彼女たちのその後の様子を描いた手紙やグッズなどが販売されていた。向こう側の世界および彼女たちは実際に存在していて今も普通に生活していることになっているため、彼女たちからの手紙や贈り物は、次元間転送サービスによってこちら側の世界に転送されているということになっている。

つまりその事業が縮小してしまうということは、今後は彼女たちの手紙や贈り物を受け取ることができなくなってしまう、ということなのだ。
5周年ページは、「最後になるから、彼女たちに指輪とメッセージを送りましょう」というものだった。

※ご存じのない方はまず値段を聞いて驚いてほしい。
ウェディングドレス姿のタペストリー、新規収録のボイスCD、彼女へ送る指輪とペアのプラチナリング、それと、送ったメッセージへの返信メッセージのセットだ。これで197,001円になる。コピーして貼り付けているので、桁を間違えているのではない。十九万七千一円だ。誰かがつぶやいていたが、「行くな、おーい」なのだろうか?これがヒロイン6人分用意されている。高過ぎて買う人がいるのか?と思う所だが、購入画面のスクリーンショットを貼り付けたツイートを2,3人は観測している。
(さすがに複数のヒロイン分買っている人は見たことがない)
わたしにはそんな勇気はないので、タペストリーとボイスCD、空っぽのリングケース(中身は彼女に送った、ということになる)という一番廉価なセットを、お気に入りのヒロインひとり分だけ購入した。
(それでも15,900円である…高い)

このサービス終了のお知らせは、
わたしにとってとてもショックなものだった。
その他の関係のない色んなことまで意気消沈してしまうような始末だった。
(呑気にも彼女がお風呂入ってるイラストなんか描いちゃおっかなー!とか
 思っていたところだったのだが、そんな気力は霧散してしまった)

どうしてこんなにもココロを奪われているのか、
一度整理してみたく、このテキストを書いた。
一応は知らない人でもわかるようには意識して書いていく。
むろん、ネタバレも含んでいるので注意されたし。
(今からトライナリーを追うのは難しいと思っているが…
 アプリ終了後の令和になってから追いかけた、
 トライナリー令和勢なるものも観測されている)

○どんなゲームだったっけ?

一言でいえば、
「魔法少女との恋愛ゲームという皮をかぶった別の何か」だ。
あまり調べたりせず、なるべく自分の記憶に頼って紹介していく。
記憶違いがある場合もあると思うのでご了承していただきたい。

・アニメとゲームの融合


トライナリーの物語は、5分ぐらいのアニメとアプリ上で描かれるエピソードで展開していた。アニメ中の出来事に対して、その合間や裏で起きていたこと、内心の葛藤がアプリ(背景と3Dモデルのキャラクターと、そのメッセージが表示される形。LINEによくにたウィンドウでやりとりすることもある)で描かれていた。基本的な流れは、前置き→アニメ視聴→アニメ中の出来事やこれからやるべきことの説明→各ヒロインのエピソード→通常のRPGなどでもあるような戦闘→各ヒロインのエピソードという風になっていたと思う。それとは別に、アニメとは関係ないサブエピソードや、単にプレイヤーとやり取りするだけのラブトーク(好感度により解放)なんてのもあった。
それらがヒロイン4人分、週1ペースで更新されていた。
(5人目のヒロインについては、いったんアニメが最終話まで公開されてから始まった。内容は4人とは少し違い、位置づけとしては2週目・裏編的なものだったと思っている。新規アニメパートはない)
アニメパートは全ヒロイン共通で固定の物語となっているが、アプリパートは各ヒロイン中心の物語となっており、プレイヤーの選択肢によって展開が変わった。当時はチェックしていなかったが、「他のプレイヤーがTwitterに上げたスクリーンショットが、全然知らない場面だった」ということがあったりしたらしい。つまり結構な分量があったのは、間違いない。
それを週1ペースでやっていたのだ。恐ろしい。狂気を感じる。
ある程度は書き溜めていた部分もあるだろうが、
プレイヤーの投票による多数決で展開が決まった部分などもあったため、
結構リアルタイムで書いていた部分も多いのではないかと思う。

他に変わった機能と言えば、アニメパートをヒロインたちと一緒に鑑賞することができた。映画館のスクリーンのような背景にアニメが再生され、要所要所で停止、3Dモデルのキャラが前景に出てきてコメントする、という形だ。例えば、アニメのお風呂シーンが映るとそこで映像が止まり、キャラが出てきて「ここは見ちゃダメです!」と言ったりしていた。しょーもないツッコミや、割とシリアスなやり取りもあったと思う。この機能中は特に選択や分岐などはなく、本編に影響したりはなかった。

アニメパートは配信サイト等で今でも視聴できる。
だが、それで理解できる部分および楽しめる部分は、
トライナリー全体の半分どころか4分の1にも満たないと思う。
例えば、5人目の黄色い子の裏切りにすごく動揺していたり、終盤に車で突撃する直前までめちゃくちゃ怯えていたりなどは、アニメでは描かれていない。なにより、アニメにプレイヤーは一切登場せず、関与しているような描写すら一切ない。
(どうかアニメだけ見てわけわからんから低評価とかはつけないでほしい…)

・世界観

トライナリーは簡単に言えば魔法少女であるが、正体は隠していないし、公的機関の特殊部隊という形になっている。情報管理庁管轄ナントカカントカ特殊攻撃隊という長い正式名称がある。
トライナリーが戦う相手は、フェノメノンと呼ばれる異空間だ。
精神的に追い詰められたなどの理由で限界に達した一般の人が、無意識にその異空間を発生させてしまい、巻き込まれた人は洗脳されてしまう現象が度々発生しており、これを解消するのがトライナリーの任務だ。
(ご存じであれば、魔法少女まどか☆マギカで例えるとわかりやすいかもしれない。一般の人が魔女化して結界を生み出し、巻き込まれた人は使い魔にされてしまうというようなイメージだ)
基本的には、発生源となった人が生み出したクラン(発症者の願望などが具現化・分離したキャラ、怪人のようなもの)をどうにかすると解決する。どうにかするというのは、単に倒せば良いというのではなく、一緒に魔法少女ごっこをやってあげるなどといった、本人の渇望を満足させてあげるなどで解決することもあるからだ。クランは捕獲して後で力を借りたりできる。

・プレイヤー=プレイヤー

トライナリーのアプリにプレイヤーはプレイヤーとして参加した。
通常のゲームだとプレイヤーはゲーム世界に分身を作り出し、ゲーム世界のキャラクターはこの分身とやりとりをする。ゲーム世界が呼ぶ「あなた」とは、ほとんどこの分身のことだ。トライナリーの場合はそうではない。トライナリーの世界にプレイヤーの分身はいない。プレイヤーは画面のこちら側にいる存在として参加する。トライナリーの世界にいるキャラクターは、端末の向こう側にいる存在として、プレイヤーに接してくる。トライナリー世界の「あなた」とは、画面のこちら側にいるプレイヤーのことだ。初めに書いた「向こう側の世界および彼女たちは実際に存在していて今も普通に生活していることになっている」というのは、こういうことなのだ。
プレイヤーの役割は、彼女たちの世界で起こっていることを把握し、彼女たちのお悩みへの解答したり、彼女たちの精神世界で、葛藤のもととなっているクランなどを戦闘で倒したりすることなどだ。各エピソードを再度プレイして選択をやりなおすことができるという点も、プレイヤーが行使できる能力として扱われていた。

・戦闘

あまりおもしろくない
・敵1体とヒロイン1人で戦う。
・ヒロイン1人は5体の小キャラ(クラン)を装備する
 (持ちキャラ4体+フレンド1体)。
・威力大、回復、MPチャージの3種類のコマンドのいずれかが、
 装備した各キャラに配布され、そこから4つ選ぶ。
・選んだ4つのコマンドの組み合わせによって、
 威力大アップとか大回復とかのコンボ効果が発生する。
・ソシャゲらしく期間限定のイベントなどでは周回戦闘が必要になるが、
 面白いはずがないだろう。スキップチケットなどのシステムはない。

・ガチャ、課金要素

・戦闘で使うクランと、各ヒロインの衣装だったと思う。
・クランに関してはキャラ絵一枚と、そのクランが誕生した由来などが記載された数行のテキストのみ(いじめられた、父を憎んでいたといったシリアスなものから、UFOキャッチャーで帰りの電車賃まで使い尽くしたなどというしょーもない由来まで色々ある)。
積極的に引きたくなるような要素は薄い感じだ。
・各選択肢を選ぶ際、指定された色の石が必要だった。課金で得た石で、ガチャを引くチケット、選択肢の石を購入できるような形だったと思う。よほど激しく選択肢を選びなおすようなプレイスタイルでなければ、特に課金せずとも配布される石だけでストーリーを先に進めることはできたと思う。

○次回に続く

長くなってしまったので、ここで一旦切ることにする。
この記事を書こうと思い立った切っ掛けと、トライナリーがどんなアプリだったのかを書くだけで、4000文字近くになってしまった。この時点で、すでにそれ程の思いがあったのだという証になっていると思う。
次回は、どうしてトライナリーを始めたのか?どの辺が好きだったのか?など、自分が思っていたことを主軸にしてまとめてみることにする。


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