松江・出雲 2023③ - 華のおんなソロ旅
今日は午前中、大学の先輩と久しぶりに会い、シネマ歌舞伎を観たあと、ランチ。その後、腹ごなしにジムに行って帰宅した。ブッフェのデザートを全制覇しておきながら「この頃、食が細くなってきて・・オホホホホ」などと臆面もないことを言ったが、この記事の読者でもある先輩、「華のおんなソロ旅」シリーズでのみざくらの「食への飽くなき情熱」を読まれたなら、さぞや笑われることだろう(笑)。
シネマ歌舞伎の演目は、玉三郎の「鷺娘」だった。名演で名高いが未見だったので、大きなスクリーンで鑑賞できてよかった。近時の澤瀉屋騒動等で歌舞伎界への世間の目が冷たくなっているようだが、歌舞伎自体は我が国の誇る至高の芸術である。私と同様歌舞伎ファン歴の長い先輩と、この苦境をなんとか応援できないか、などと話していた。歌舞伎鑑賞については、また記事を改めたい。
さて、「松江・出雲」の「華のおんなソロ旅」の最終日は、松江駅前から出ている周遊バス「ぐるっと松江レイクライン」に乗車して、松江城エリアに行くところから始まる。大きな都市では、たいてい公共交通の一日乗車券が販売されている。大概は3回乗車すると元が取れるようだが、提示すると観光名所の入場料の割引があったりするので、2回乗るなら「買い」である。小銭を用意しなくて済むのも便利でよい。
最初に向かったのは「堀川ふれあい広場乗船場」。松江城を取り囲む堀川を巡る遊覧船に乗るためである。水大好きの私ととしては、これも大変楽しみなクルーズであった。舟は全長8メートル、幅2メートル。定員は10名程度か。約3.7キロメートルの堀川を約50分かけてゆっくり、静かにめぐって行く。17の橋の下を通っていくのだが、そのうちの4つは橋桁が大変低いので、船の屋根を下げて通る。そのときには乗客も伏せて頭を下げる。出発前に船頭さんの音頭でその練習をしたりするのは、遊び心満点で期待が高まる。松江城の撮影スポット、武家屋敷街の「塩見縄手」、小泉八雲記念館、立派な島根県庁も見える。ひとり乗船で遠慮したつもりでいたが、船頭さんの反対側の舳先に座ることができたおかげで写真が良く撮れた。天候もよく、最高の体験であった。松江に行く方にはお薦めである。
下船して、次は松江城に上った。私はあまり城には関心がないのだが、観光名所には違いないので、一度は上ることにしている。下界に降りて来て、武家屋敷前をそぞろ歩き、小泉八雲記念館に入った。
「怪談」で有名な小泉八雲(帰化前はラフカディオ・ハーン)は、ギリシャ系のイギリス人だがアメリカでジャーナリストとして活躍、日本の文化に魅せられて、英語教師として来日する。まず着任したのがこの松江であったが、5か月間ほどしかいなかったにも関わらず松江の人たちに多くの影響を及ぼす。日本人の小泉セツともこの地で結婚する。小泉八雲といえば、NHKで「日本の面影」(1984年)という連続ドラマが製作され、主役の八雲を、あのジョージ・チャキリスが演じたことで話題になった。リアルタイムで観ていたが、山田太一の脚本でもあり、佳作であったと記憶している。ぜひ、動画配信をしてほしいのだが、何かネックになっているのかいまだ観ることができずに残念だ。
レイクラインで松江駅前に戻ると13時。予約していたランチの時間である。昨日の食は一日ヒサンであったが、このランチで一挙挽回といきたいものである。店に入っていくと、いけすを囲んでぐるりと広々としたカウンターがあり、奥の料理人たちの様子もよく見える。一人客も多く、角のひとりの女性客はお重をひろげてしっかり日本酒を聞し召している・・これはいけるかも。奮発して地元の海の幸のコースをいただいたが、リベンジ成功であった。日本酒もいきたかったがこれから移動なので、小ビールに留めた。
いよいよ、松江ともさよならである。リムジンバスで出雲縁結び空港に戻る。リムジンバスのチケットは、JR駅ではなく、駅隣の「一畑百貨店」で買うことになる。松江では「一畑グループ」の名を見ないことはなかった。何よりも、大ヒットした映画「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」(2010年)で有名な「一畑電車」である。このようなローカル電車が残って地域を支えていることにも感慨深いものがあった。帰ったらもう一度、主人公、中井貴一の好演を観てみよう。
今回の旅先はツアーでも行先になるところも多かったが、自分の興味関心にしたがってメリハリをつけられて、それぞれに大満足であった。たいていのところは一度行けばもうよいと思う方だが、ここ、島根県にはまだ見どころも多く、機会があれば再訪したい。島根県の皆さん、そのときはどうぞまた温かく迎えてくださいね。
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