22歳荒井ユーミンの魅力を再発見!1976年NHKホールコンサート
私はNYでジャズを歌ったり作曲をしたりしていますが、小さい頃に衝撃を受けたのは荒井由実(&松任谷由実)の音楽でした。
音楽好きな姉の影響で物心ついた頃から洋楽や日本のニューミージックや歌謡曲など色々な音楽を常に聴いていましたが、初期のユーミンのアルバムを手にした時には衝撃で、結局デビューアルバムの1972年から80年代前半までのアルバムは全て何百何千回?も聴き心を踊らせていた、隠れユーミンファンです。
2020年のパンデミック、いわゆるコロナ禍で演奏場所もずっとクローズですから、演奏は愚か、聴きに行きインスパイアされることもままならず、オンラインで色々コンサートやレッスンビデオを検索したりSpotifyで新しい音楽チャンネル探したり。これだけでもかなりホームスクーリング状態ですね。でもじゃあ何のためにNYに住んでるのか?!て。そこは突っ込んどかんで下さい〜〜、て私は東京出身なのですが、この言葉遣い。
長い前置きはさておき、最近学んだあるジャズの楽曲のことをリサーチするためにYoutubeをサーフィンしてるうちに、こんなものがサムネイルのリストにあがってくるではないか、それはポチッと押さずにいられない、こんな可愛い荒井由実さんの白黒写真を見てしまったからには!
この動画(と言ってもラジオ放送の録音なので音声のみ)はとても豪華です! 荒井由実の1976年NHKホールコンサートの一部、二部、計1時間半を超える盛り沢山の演奏全て、Youtubeでしかも高音質で聴けるなんて! オープニングから長いストリングオーケストラアレンジ、豪華なコンサートです。 選曲も凄い。全部知っていて好きな曲しかなく、今聴いても色褪せず鳥肌もの。「翳りゆく部屋」や「ひこうき雲」などの名曲はもちろんですが、アルバム収録曲でそんなに有名じゃない曲で大好きな曲も沢山歌ってくれています(具体的には、「あなただけのもの」「さざ波」「雨の街を」「何もなかったように」「花紀行」など)。シュールなMCもいい!(二部の二回目のMCにはお腹がちぎれるかと思うくらいの笑いあり) それぞれがライブ用の編曲でちょっと長くなっていたり音楽的に聴かせるかっこいいアレンジになっていて、曲から曲への流れも一貫性があってスムーズ。自然にユーミンの世界へ連れてってくれます。もちろん音楽ディレクターは松任谷正隆さん。言わずがもがなのティン・パン・アレーのメンバー(ベースの細野晴臣さんとか)もめちゃくちゃ上手くて音楽的。若きユーミンの作詞作曲の才能のおかげでこんな豪華編成な音楽が実現するわけですが、語り調からも本当に当時22歳とは思えないほどの大人っぽさ。こっちの言葉ではdown to earthていうんでしょうか? 荒井由実の歌を「声が変」と言って苦手意識を持つ方も多くいて、それもわかるんですが、彼女の曲は他の方が歌っても不思議とユーミンほどの輝きはないですよね。ユーミンの歌唱は決してディーバではなく、バックの音楽と一体化しながら、自分の内から出るストーリーを洗練された美しい音楽に載せて少し客観的に語る、という感じで、独特ながらもとても自然な歌です。語りすぎてわざとらしい感じでなく、エモーショナルになりすぎて激しく歌い込みすぎることもない。心地よいソウルで自分が見た世界を描くのみ。 決して歌が上手でないのにすごく素敵に歌うな、と歌い手としての素晴らしさも改めて気づかされました。勉強になります。
それにしても、このコンサート凄いです!アンコールで3曲も演奏してますよ。拍手が止まらなかったみたいですね。