誰でもピアノソナタが書けちゃいます《その7》【ドミナントをつなげてみよう(2)】
ちょっちだけ日記Vol.78
前置き
このシリーズでは難しいことは書いてません。
音楽を始めたばかりの方や一度やめちゃった方に
ブラックボックスのような音楽の仕組みを
「こうなってるのよ」という感じで説明しています。
少しばかり作曲や編曲のお手伝いが出来たら幸いです。
今回は【ドミナントをつなげてみよう】のいよいよ本題です。
前にも書きましたが「ドミナント」にさえ辿り着ければ
曲は出来上がるのです。
ただしあまり理論的に捉えないでください。
「こういう手が使えるよ」というあくまでも例示です。
今回はダブルドミナントとトリプルドミナントを紹介します。
最後にドミナントだけで進行させたサンプルも上げています。
またご質問や間違いのご指摘等あればコメント欄へどうぞ。
では。
1.ドッペルドミナント(ダブルドミナント)
(以下、英語の「ダブルドミナント」と表記します。)
まずは前回出したドミナントの例をもう一度上げます。
「G7」から「C」のパターンです。
このG7がドミナントです。
必ず主和音のドミソに戻ることが出来るコードしたね。
ダブルドミナントはこの「G7」の前にさらに「G」(ト長調)のドミナントである「D7」を持ってきます。
こうなります。
(基本形)「D7」-「G7」-「C」
これが「ダブルドミナント」です。
実際にはここまでにいろんなフレーズがあっての話なのでピンときませんよね?
で、ダブルドミナントと言えばこの曲と言うのがあります。
(例) 🎵 Day Dream Believer 🎵(抜粋)
<クリックで聞けます>
(歌詞は忌野清志郎さんバージョンで)
コードと譜面はこちらです。
「D7」から「G7」へとつないで一旦キリをつけて次の「C」へ進んでます。
この部分が「ダブルドミナント」です。
後半で説明しますがD7のもひとつ前がAm7ですよね。
「D」(ニ長調)のドミナントは「A」なので実はトリプルドミナント(ドミナントが3つ連続している)とも解釈も出来ます。
そうなんです。厳密にダブルドミナントと言えるかは微妙ですが
マイナーコードでもこの考え方には使えます。
(バリエーション1)「Dm7」-「G7」-「C」
定番と言えば定番の進行ですが、こうやってドミナントの進行で「曲はつながりやすい」ということが判って頂ければいいと思います。
ここで今までの記事で「Dm7」のルートを「G」にするとドミナント代わりになるというのは例示していましたね。
ということはダブルドミナントのG7の前には「Am7/D」が来ることも出来ます。
(バリエーション2)「Am7/D」-「G7」-「C」
このシリーズの当初からDm7/Gや今回のAm7/Dなどマイナーコードに五度下のルートをつけたコードが頻繁に出てくるのはお気づきですね。実は実際の楽曲でもかなり多用されているコードなのです。
Gm7/C、Em7/Aなどなど、覚えておいて損はないコードです。
しつこくなるのであまりこれ以上の個々のバリエーションは省きますが前回に紹介したドミナントのバリエーションは全て使えると思ってください。
それらをどういった進行を選択して連続させて使うかが曲の仕上げにはかなり重要になってきます。もちろん記事で上げた以外にバリエーションは無数にあります。
いろんな曲をたくさん聞いて使える技も増やして欲しいと思います。
ひとつだけ、ダブルドミナントの応用を紹介しておきますね。
(あくまでも発展形の話です)
(バリエーション3)「D7(b13)」-「G9(b13)」-「C6(9)」
それぞれの構成音は上から
になっています。それぞれが滑らかな動きになるのを意識した結果こうなったということです。
コードを先に考えているのではありません。
私の曲の書き方自体がそうなのですが
思いついたメロディや頭にある音の響きをカタチにする際、
大事なことは「知っているコードの多さではない」のです。
「こうやればこうなる」という経験が「引き出しの多さ」だと思っています。
イメージしたフレーズを試行錯誤の中で音を決めていって
(MIDIだったら音符に書く、ピアノだったら鍵盤を鳴らす)
自分が美しいと思えるハーモニーに仕上げていく
その中で初回からこのシリーズで書いてきたことが少しはお役に立てればいいと思っています。
(試行錯誤の近道になれば幸いです。)
2.トリプルドミナント
さっきの「D7」の前に今度はニ長調のドミナントである「A7」が来ます。
(トリプルドミナント)「A7」>「D7」>「G7」>「Cmaj7」
先ほども書いたようにこれらの進行はマイナーコードでも応用できます。
こうやってみました。
(バリエーション4)「Am7」>「Dm7」>「G7」>「Cmaj7」
それと《その4》の回に作ったフレーズですがたまたまこのカタチでした。
メロディも付けてどうぞ。
あとのバリエーションはドミナントやダブルドミナントの時と同じです。
自由に応用してみましょう。
ドミナントを連続させることが「つながりやすい」と理解いただければ十分です。
あとは試行錯誤次第でいろんなバリエーションが作れると思います。
使い方の例ですが、さてどうしましょう???
もちろんこのまま均等の長さで使う手もありなのですが
たとえばですがこのあとサビが「Fmaj7」から始まるとしましょう。
トリプルドミナントを区切れの小節で1拍ずつで使ってみました。
(バリエーション5)「A7」>「D7」>「G7」>「C7」>(サビ)「Fmaj7」>「Em7」>「Dm7」>「Cmaj7」
サビを想定した部分は以前に紹介したカノン進行です。
曲として出来てる感じがしてきませんか?
こうやって一つのコードの代わりにその「変化」としてひとくくりのフレーズとして使うこともできるのです。
「C」のところも次の「F」に備えてセブンスにしたので結果
クワッドドミナント(そんな用語あるのか?)になっています。
(実ははあたしちょくちょくこの使い方するのよ)
最後にこれをお聞きいただければと思います。
今年春に書いた
「5弦バンジョーとコーラスのためのみすてぃによるミスティ」の
間奏バロック部分の進行です。ピアノの右手は実際にはバンジョーのフレーズです。なのでピアノの運指としては違和感があるかも知れません。
(あたしピアノ弾けないので。。。)
ドミナント進行サンプル「Misty」間奏部分から
コード進行は次の通りで
Gm7 C7 Fmaj9 Bbmaj9 Em9 A9 Dm7 (Em7 Fmaj7)
Gm7 C7 Fmaj9 Bbmaj9 Em9 A9 Dm9
「G-C-F-Bb」と「E-A-D」の二つのドミナント進行の組み合わせです。
なので以前にお話しした「枯葉進行」の類型です。
前半終わりはD-E-Fと一段ずつ動いてGm7につなげてます。
後半終わりは実はブレイク(空白)になっていて
イメージとしては架空のGのコードが入って次のセクションに進みます。
YouTubeファイルもこちらに置いておきますね。
(1分35秒過ぎからの部分です)
ここまででだいたい私が普段使っている手の内は明かしてきたつもりです。
何度も言いますがその程度で曲は書けるのです。
あとは黒鍵を使っての変化の付け方
ってなところでしょうか?
少しジャズに近づきそうな感じですが私自身まだまだ勉強中の身なので
理論というところまではいきません。
でもできるかぎり私の手法はまとめていきたいと思います。
次回以降どんなお話になるか私も楽しみです。
ピアノやキーボードを持ってない、楽器なんか手元にない!という方。
そういう方のために「MIDI」ってツールがあります。
(私のように楽器が全くできなくても譜面は書けるのです。)
一行の五線譜ごとに音色を設定して音符を置いて行って音を鳴らすことが出来ます。
とりあえず今はこちらを紹介しています。
ではまた。
みなさんにいいことがありますように。
やっとピアノソナタが書けそう。。。
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