上司のパワハラが認められず損害賠償請求が否定された例(平成26年1月28日新潟地裁)
概要
原告の亡夫は、上司であった被告のメール送信行為等のパワーハラスメントによってうつ病を発症して自殺するに至ったとして、原告が被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料等の支払いを求めた。
結論
棄却
判旨
亡運転士の上司が社会通念上許容される範囲を超えて嫌がらせやいじめを行ったと認めるに足りる証拠はなく、亡運転士のうつ病の発症時期は平成21年2月19日であること,それ以前に上司が亡運転士においてうつ病等の精神障害に罹患していたことを把握し得る異常な言動は認められないこと,上司が,亡運転士においてうつ病等の精神障害に罹患していることをうかがわせる事情を把握していたとも認められないこと,上司のメール送信行為や発言は,精神状態を著しく害して自殺等の結果に至ることを予見できるような強い心理的負荷を与えるものであったとまではいえないことからすると,上司が,メール送信行為等をした時点において,亡運転士がこれにより心理的負荷を過度に蓄積させて,うつ病等の精神障害を発症することを具体的に予見することが可能であったとは認められず,また,上司が亡運転士からメールを受信した後,これに何らかの応答をしていれば,結果を回避できたことを裏付ける的確な証拠はなく,上司に故意又は過失があったということはできない。