地位確認等反訴請求控訴事件②(平成25年7月10日東京高裁)
概要
控訴人(一審原告。学校法人)は、業務上疾病(頸肩腕症候群)により休業中で労災保険給付(療養補償給付、休業補償給付)を受けている被控訴人(一審被告)に対し、労働基準法81条所定の打切補償を支払って行った解雇は解雇権の濫用に当たらず有効であるとして、同解雇の日以降の雇用契約関係不存在の確認を求めて本訴を提起し、これに対し、被控訴人は、被控訴人は同条所定の「第75条の規定によって補償を受ける労働者」に該当せず、解雇は労働基準法19条1項本文に違反し無効であるとして、労働契約上の地位の確認並びに不当解雇等を理由とする損害賠償等の支払いを求めて反訴を提起し、控訴人が本訴を取り下げ、原審は、被控訴人の地位確認請求を認容した事案。
結論
棄却
判旨
労災保険法により療養補償給付及び休業補償給付を受けている労働者は,労基法の定める療養補償(労基法75条)によって補償を受けている労働者に該当しないので,打切補償(労基法81条)の対象となる労働者に当たらず,打切補償金を支払ってした大学の解雇は,業務上疾病にかかり療養のために休業する期間中の解雇にあたり,労基法19条1項の解雇制限に反し無効である。