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ハラスメントを理由とする降格処分が有効とされた事例(令和1年5月29日東京地裁)

概要

被告学校法人が設置する大学の准教授であった原告が、被告から減給の懲戒処分を受けたことから、同処分が無効であると主張して、その旨の確認を求めた。

結論

棄却

要旨

本件懲戒処分の対象としての准教授の行為は,2名の女子学生に対し性的な嫌悪感を抱かせる表現をしたり,指導等を施す立場にあることを背景に,交友関係に過度に干渉しあるいは二人きりでの食事を求めるなどし,さらには再試験に関して便宜を図ろうとするなどしたものであって,指導の目的という側面が皆無ではないものもあるとはいえ,総じて不見識であったり,手法として甚だ不適切な行為であったといわざるを得ず,そしてそうした准教授の所為の結果,2名の女子学生は困惑したり不快の念を訴えて,その就学にも支障を来したとしてハラスメントの申立てに至っているところであって,その被害についても軽視できないものがあり,准教授のかかる行為は,学校法人が人権侵害のない快適な教育・研究環境作りを推進する観点から本件防止規程や本件行動規範を制定してハラスメント防止に取り組んできた努力を損ないかねないものであったといわざるを得ず,准教授は,学校法人による弁解の手続においても,反省の情に薄いところがあったと評価せざるを得ず,戒告に次ぐ懲戒処分である減給程度の懲戒処分をもって臨んだからといって,これが重すぎて相当性を欠くということはできないから,本件懲戒処分が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合に当たるとはいえず,本件懲戒処分は有効と認められる。

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