![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155460038/rectangle_large_type_2_ff55c24d4f51fb0f62594507c8f61003.png?width=1200)
【上告審】セクハラ言動が認められ懲戒処分、降格人事が有効とされた海遊館事件(平成26年3月28日大阪高裁)
概要
被告(被控訴人・上告人)の男性従業員である原告(控訴人・被上告人)らが、それぞれ複数の女性従業員に対して性的な発言等のセクハラ等をしたことを懲戒事由として上告人から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに、これらを受けたことを理由に下位の等級に降格されたことから、被告に対し、前記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効であり、前記各降格もまた無効であるなどと主張して、前記各出勤停止処分の無効確認や前記各降格前の等級を有する地位にあることの確認等を求めていた事案において、第一審判決では、原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴し、控訴審判決では、第一審判決を変更し、原告らの請求をそれぞれ一部認容したため、被告が上告した。
結論
破棄自判
判旨
従業員らは、会社の管理職としてセクハラの防止のために部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず、派遣労働者等の立場にある女性従業員らに対し、職場内において1年余にわたり多数回のセクハラ行為等を繰り返したものであって、その職責や立場に照らしても著しく不適切なものといわなければならないこと等から、従業員らが過去に懲戒処分を受けたことがなく、従業員らが受けた各出勤停止処分がその結果として相応の給与上の不利益を伴うものであったことなどを考慮したとしても、本件各出勤停止処分が本件各行為を懲戒事由とする懲戒処分として重きに失し、社会通念上相当性を欠くということはできず、会社が従業員らに対してした本件各行為を懲戒事由とする各出勤停止処分は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合に当たるとはいえないから、会社において懲戒権を濫用したものとはいえず、有効なものというべきである。
会社は、従業員らがそれぞれ出勤停止処分を受けたことを理由に、本件資格等級制度規程に基づき、従業員らをそれぞれ1等級降格したものであるところ、同規程には降格事由の一つとして就業規則に定める懲戒処分を受けたことが規定されており、また、従業員らに対する各出勤停止処分は有効であるから、従業員らについては降格事由に該当する事情が存するものといえること等から、会社が従業員らに対してした本件各出勤停止処分を理由とする各降格は、会社において人事権を濫用したものとはいえず、有効なものというべきである。