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大学の准教授に対する懲戒処分は有効で、処分無効確認等の請求が斥けられた例(平成26年5月30日佐賀地裁)

概要

原告が、国立大学法人から停職1月の懲戒処分を受けたところ、同懲戒処分は実際には存在しない懲戒事由に基づいてされた違法かつ無効な懲戒処分であり、同懲戒処分によって精神的苦痛を被ったなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払いを求めた。

結論

棄却

判旨

懲戒処分は,懲戒処分時にその理由とされていた複数の事情のうちのいくつかの事情を事後的に欠くこととなったとしても,上記事情のうちのいくつかの事情が存在すると認められ,かつその事情に照らして同懲戒処分が懲戒処分としての相当性を有すると認められる限り,有効な懲戒処分であるというべきである。
准教授は,本件マウス購入は,動物実験の準備行為に過ぎず,動物実験規則所定の「実験を行う」に当たらないため,動物実験規則に違反していないから,准教授が大学事務員に対して動物実験規則に違反したことの責任を転嫁した旨の被告の主張は前提を欠いており,懲戒処分該当事実は存在しないなどと主張しているが,本件懲戒処分の懲戒理由は,准教授が,虚偽の事実を作出した上で,大学事務員に対し,動物実験規則に違反するとされたことについての責任を転嫁したというものであるから,本件マウス購入が実際に動物実験規則に違反するものであったか否かという事実ないし評価は,准教授が大学事務員に対して責任転嫁をしたという上記認定及び判断を左右するものではなく,准教授の上記主張を採用することはできない。
准教授は,准教授が大学事務員に対して動物実験規則等の諸規定に沿った適正な動物実験用マウスの購入方法を尋ねたにもかかわらず,大学事務員が准教授に対してあえて適正な回答をしなかった旨の虚偽の事実を作出した上,動物実験委員会の委員長及びセンター長から,本件マウス購入が動物実験規則に違反する旨の注意を勧告されたことの責任の一端が大学事務員にある旨を指摘する内容の本件内容証明郵便を送付して自身の責任を転嫁するパワハラを行ったものであり,上記パワハラの態様が悪質であること,上記パワハラによって大学事務員が被った精神的苦痛が大きいこと,准教授が前回懲戒処分に係る始末書を提出してから約8年しか経っていないのに上記パワハラに及んだこと等に照らすと,大学が,戒告,減給,停職,論旨解雇及び懲戒解雇の中から,停職を選択し,かつ,その期間を1か月と定めて本件懲戒処分をしたことは相当である。

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