見出し画像

先輩職員の言動に違法が認められないとして損害賠償が退けられた例②(令和1年8月21日名古屋高等裁判所金沢支部)

概要

任期を半年間に定めて被控訴人町の嘱託職員として採用された控訴人が、被控訴人町の先輩職員であった被控訴人A及び被控訴人Bの両名からパワーハラスメント行為を受けて抑うつ状態になったため、就業できない状態に陥り、その状態の下で任期が満了したなどとして、被控訴人らに対し、民法709条(被控訴人Aら)、同法715条1項本文又は国家賠償法1条1項(被控訴人町)に基づき、損害賠償を請求し、また被控訴人町に対し、労働契約上の地位確認請求及び賃金請求等をし、被控訴人町が反訴請求として、被控訴人町が、控訴人が欠勤した間に社会保険料を納付したと主張して、控訴人に対し、不当利得に基づき、支払を求めたところ、原審が、被控訴人Aらが控訴人に対して違法なパワハラ行為をしたとは認められないなどとして、控訴人の請求をいずれも棄却し、被控訴人町の反訴請求を認容したため、控訴人が控訴した。

結論

棄却

判旨

挨拶の無視について,元職員は,Aらが軽く会釈した程度であったために,これを「むし」と捉えた可能性も否定できず,また,Aらが声に出して挨拶や返事を返さなかったというだけでは,元職員とAの職場内での関係は不良であり,同人らの間には会話らしい会話もないような状況にあったことをも併せ考えると,直ちに元職員に対する不法行為が成立するものとは認められず,また,中傷等の発言について,具体的にどのような発言があったのかを認めるに足りる的確な証拠は見当たらず,Aらが元職員に対して違法な言動をしたと認めるには足りないというべきであり,さらに,その他の被元職員らの言動について,元職員が,その在職中,他の職員に対し,パワハラの被害を受けているなどといった申出をしたことがなく,町にパワハラの相談窓口があるか調査するなどしていないこと等から,Aらの言動においても不法行為法上の違法があるとまで認めるに足りず,本件控訴はいずれも理由がない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?