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【控訴審】懲戒処分無効確認請求が認められ、慰謝料請求が否定された例(平成26年8月6日東京高裁)

概要

被告・法人に雇用されている原告らが、被告法人から懲戒処分としての出勤停止処分を受けたため、それぞれ、被告法人に対し、各処分が無効であることの確認並びに出勤停止期間中の未払賃金及び遅延損害金の支払いを求め、原告1が、被告法人の理事に対し、同理事からパワハラを受けたと主張して、不法行為に基づき慰謝料の支払いを求め、原審は、原告らの被告法人に対する請求をいずれも認容し、原告1の請求を棄却し、被告法人及び原告1が、各控訴を提起した事案。

結論

棄却

判旨

法人は,理事会における本件処分の決定は最終的なものではなく,従業員らに内示して特段の弁明がない場合に確定的な決定となるという条件付き決定にすぎなかったところ,理事は従業員らに対して本件処分の理由を具体的に明示して弁明の機会を与えたものであるから,本件処分に手続的違法はない旨主張するが,本件理事会における本件処分の決定に上記のような条件が付されていた事実については証拠が全くなく,かえって,従業員らに対する弁明の機会について,本件理事会において何らかの配慮がされた形跡はない上,理事の従業員らに対する説明は,本件処分が本件理事会で確定的に決定されたことを前提にしたものと認められるから,本件処分が従業員らに弁明の機会を与えずにされたものであって,本件処分に手続的違法があることは明らかであり,法人の上記主張は,採用することができない。
従業員2は,理事の懲戒解雇になる旨の発言について,同発言は就業規則に従って業務上の指示命令を行っているものではなく違法なパワハラ行為と評価すべきものである旨主張するが,理事の発言全体を考慮すると,法人の就業規則に照らして理由のない言動とまではいえないから,理事の発言を違法なパワハラ行為と評価することはできず,従業員2の主張は,採用することができない。

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