ジャパンレンタカー事件②(平成29年5月18日名古屋高裁)
概要
控訴人(原審被告のレンタカー株式会社)と期限の定めのある労働契約を締結して、アルバイト従業員として稼働し始め、その後、雇止めされた被控訴人(原審原告)が、控訴人と被控訴人間の労働契約は、労働契約法19条1号又は2号に該当し、労働期間が満了する日まで有期労働契約の更新の申込みをし、また、控訴人の雇止めは合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないから、労働契約法19条により従前の労働契約の内容である労働条件と同一の条件で契約更新の申込みを控訴人は承諾したものとみなされると主張して、控訴人に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と、未払賃金等の支払を求めた事案の控訴審において、本件変更後の労働条件の内容に照らせば、本件変更は、その効力を認めることができないから、平成25年4月21日以降も被控訴人の割増賃金算定における基本時給は従前通りであるなどと示しつつ、被控訴人の請求認容額を減額したうえで、原判決を一部取り消した事例。
結論
一部取消、一部棄却(確定した)
判旨
裁判所は、元従業員の原審請求分のうち、
(1)労働契約上の地位の確認
(2)平成26年12月以降の賃金等の支払
(3)未払割増賃金等の支払
(4)付加金等の支払を求める部分は、
原判決のとおり理由があるから認容すべきものである。
会社は、健康保険料の損害(124万4822円)に係る請求のうち、平成23年度分までの93万9995円は時効により消滅した旨主張し、平成29年1月26日の当審口頭弁論期日において、上記時効を援用するとの意思表示をしたことは、当裁判所に顕著であり、会社の上記主張は理由があるから、上記請求については、残る30万4827円の限度で理由がある。
会社が厚生年金の加入手続を取らなかったことにより、元従業員は、合計183万1300円(国民年金加入期間は149か月)の国民年金保険料を負担したことが認められるから、上記金額の2分の1に当たる91万5650円は、会社の不法行為と相当因果関係にある損害と認められるが、損害(91万5650円)に係る請求については、本件訴訟の提起前にすでに3年の消滅時効が経過している平成24年4月分までの分が、会社の上記時効の援用により消滅しており、そして、平成24年5月分から平成25年1月分までの損害は、国民年金加入期間149か月分の9か月分とするのが相当であるから、5万5308円(91万5650円÷149×9(四捨五入))となり、上記請求については、同額の限度で理由がある。