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【第1審】女性の妊娠・出産を理由とする不利益取扱いに関し、最も有名な事例(平成24年2月23日広島地裁)

概要

原告は、被告・医療介護事業の協同組合に雇用された者であるが、妊娠したので、労基法による軽易な業務への転換を請求したところ、被告は、原告に対し、他の職場への異動を命じたほか、副主任の地位を免じ、原告が育児休業から復帰した際、副主任の地位につけなかったとして、被告に対し、被告の措置は、男女雇用機会均等法9条2項及び育児・介護休業法10条に反する違法無効なものであるなどとして、副主任手当相当額等の損害賠償金を求めた。

結論

棄却

判旨

本件措置1は,協同組合において,理学療養士の妊娠に伴う軽易な業務への転換請求を契機に,これに配慮しつつ,理学療養士の同意を得た上で,事業主である協同組合の業務遂行・管理運営上,人事配置上の必要性に基づいてその裁量権の範囲内で行ったものと認められ,理学療養士の妊娠に伴う軽易な業務への転換請求のみをもって,その裁量権を逸脱して,均等法や均等法告示にいう不利益な取扱いをしたものとまでは認め難く,また,理学療養士が副主任に任じられた経緯は,協同組合が,訪問リハビリチームの取りまとめの役割を担ってもらうため,理学療養士を同科の副主任に任じたものであって,本件措置1に男女雇用機会均等法9条3項に基づく無効事由は認められない。
次に、本件措置2は,理学療養士が第2子出産から職場復帰するに際し,理学療養士の希望を聞くなどして,その復帰先について慎重に検討がされた上で,内定した復帰先に既に副主任がいたこと等の事情が考慮され,協同組合において,業務遂行・管理運営上,人事配置上の必要性に基づいてその裁量権の範囲内で行われたものと認められ,妊娠又は出産に関する事由のみによって,また,育児休業をしたことのみによって,その裁量権を逸脱して,男女雇用機会均等法や育児介護休業法に反する不利益な取扱いをしたものとまでは認めることはできず,本件措置2に均等法9条3項,育児・介護休業法10条に基づく無効事由は認められない。
協同組合が本件各措置を講じたことによって,理学療養士主張に係る理学療養士に対する債務不履行,不法行為に該当する事情があったと認めることはできない。

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