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虚偽のセクハラ申告は懲戒事由に該当するが相当性を欠くと評価された例(平成26年2月5日東京地裁)
概要
被告会社の従業員であった原告が、上司であった被告らからセクハラ及びパワハラを受けたとして、被告らに対し民法709条に基づき、被告会社に対し民法715条に基づき、慰謝料を連帯して支払うよう求め、原告を懲戒解雇とした被告会社に対し、懲戒解雇が無効であるとして、地位確認と解雇後の賃金の支払を求め、被告会社に対し、時間外手当と付加金の支払を求めるとともに、上記セクハラ、パワハラについて調査をした被告会社及びその親会社である被告親会社が、杜撰な調査しかせず、被告親会社により調査の依頼を受けた弁護士の勝手な性的予断に基づく調査と言動等により精神的被害を被った上、原告を懲戒解雇にする違法行為を行ったとして、職場環境調整義務違反の債務不履行又は共同不法行為に基づき、被告会社及び被告親会社に対し、慰謝料を連帯して支払うよう求めた。
結論
一部認容、一部棄却
判旨
元従業員がAからセクハラを受けたと会社に対して申告した内容は虚偽であったことは,就業規則所定の懲戒事由(業務の正常な運営を阻害した,または阻害しようとしたとき)に該当し,
また,就業時間内外において,会社施設内で,キスをしたり,陰部に男性の顔を近づけさせるなどの性的行為は会社の秩序を乱すものであり,就業規則所定の懲戒事由(職場の風紀もしくは秩序を乱したとき等)に該当するが,
後段の非違行為で問題とされている不謹慎な行為は,いずれもAが主導して行われたものであること,前段の非違行為についても,元従業員の業務そのものについての虚偽申告ではないこと等から,本件懲戒解雇処分は,相当性を欠くもので,懲戒権を濫用した無効なものである。
元従業員が,時間外勤務をしたとする証拠として提出する手帳は,元従業員が終業時刻を正確に記載したことが担保されているとはいえないこと等から,本件手帳の記載を信用することはできず,元従業員が本件手帳の記載どおり時間外労働を行ったとは認められず,元従業員の時間外手当の請求は理由がないし、親会社及び会社が元従業員の申告に対して行った調査はずさんとはいえないし,その過程において,元従業員に賠償されるべき損害が生じたとは認められない。