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poconen
国・法務大臣事件(平成27年1月27日札幌地裁)
概要
陸上自衛隊の陸士として真駒内駐屯地に配属されていた原告が、上司らがその安全配慮義務に違反してしたパワハラによって精神的苦痛を受け、適応障害等を発症し、自らの意思に反する退職に追い込まれたと主張し、国家賠償法1条1項の規定又は債務不履行に基づいて、被告(国)に対し、損害賠償金の支払いを求めた。
結論
棄却
判旨
(1)三佐が元自衛官の面談を行ったこと自体が元自衛官に心理的負荷を蓄積させる行為であるということはできず,
(2)曹長がした退職願等の見本の送付をもって退職を強要するものと評価することはできず,
(3)副隊長が,本件調査としてそれまでに行った面談の中で,元自衛官に対して畳み掛けるようにして質問した行為は,本件調査の内容及び面談の経過に照らして合理的理由に基づくものということができ,
(4)隊長が元自衛官の心理的負荷が過度に蓄積しないように自ら調査し,副隊長及び三佐に対して指示を行わなかったことが,安全配慮義務に違反したものということはできず,
(5)二曹が元自衛官が提出した退職願の理由欄が空白であったことを受けて見本を送付したことは,退職理由の記載内容を強制したということはできず,
(6)元自衛官が警務官の安全配慮義務違反と主張する行為自体を認めることができないこと等から,
元自衛官が主張する国の安全配慮義務違反をいずれも認めることはできない。