
Photo by
soranochihiro
【控訴審】職員に対する降格人事、懲戒処分が有効であるとして、職員の各請求が否定された例(平成27年11月6日高松高裁)
概要
1審被告(控訴人兼被控訴人)に雇用され、1審被告が設置・運営する病院に勤務している1審原告A、Bが、1審被告の1審原告Aに対する降格人事及び配転命令(2回)並びに1審原告Bに対する懲戒処分としての降格、出勤停止及び譴責並びに配転命令がいずれも懲戒権・人事権の濫用又は労働契約上の条件違反により無効であり、1審被告が1審原告らに対して行った同人事及びパワハラにより精神的苦痛を受けたとして、1審被告に対し、地位確認、未払役職手当の支払い、慰謝料等を求め、原審は、原告らの請求を一部認容したため、双方が控訴した。
結論
棄却
判旨
Aの管理部総務係係長補佐としての労働契約上の地位及び役職手当として毎月2万5000円の支払を受ける地位を有することの確認に係る部分は確認の利益がなく,Aの配転命令(清掃業務への配転)及び続く配転命令(入院医療業務への配転)はいずれも配転命令権の濫用に当たるから無効であり,Aの降格人事(管理部医事係長補佐役職解任)は人事権の濫用に当たらないから無効とはいえず,医療法人のA配転命令及び続く配転命令はいずれも不法行為に当たるから,慰謝料160万円等の支払請求の限度で理由がある。
Bの管理部総務係係長としての労働契約上の地位確認,管理部係長の職位にあり役職手当として毎月5万円の支払を受ける地位を有することを確認及び譴責処分が無効確認に係る部分は確認の利益がなく,役職手当91万4815円の支払請求等の支払請求の限度で理由があり,Bの降格処分(係長の役職解任),配転命令(清掃業務への配転)及び譴責処分は不法行為に当たるから,慰謝料140万円等の支払請求の限度で理由がある。