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試用期間満了時の解雇が有効であるとされた事例(令和1年9月18日東京地裁)

概要

被告会社に正社員として採用された原告が、被告から試用期間満了により解雇されたが、本件解雇は無効であるとして、被告に対する雇用契約上の地位確認及び解雇時からの未払賃金の支払とともに、不当解雇等による不法行為ないし債務不履行に基づく損害の賠償を求めた。

結論

棄却

要旨

元従業員には協調性に欠ける点や配慮を欠いた言動等により,会社の社内関係者及び取引先等を困惑させ,軋轢を生じさせたことなどの問題点があり,会社の指導を要する状態であったと認められ,そして試用期間中の解雇は,本採用後の解雇より広汎に許容されることに加え,試用期間が3か月間と設定され,時間的制約があることにも鑑みれば,比較的短期間に複数回の指導を繰り返すことを求めるのは,使用者にとって必ずしも現実的とは言い難いところ,現に元従業員の上司である室長や課長が,入社から2か月目面談の実施まで,元従業員の上記問題点を改めるべく,機会を捉えて元従業員に対する相応の指導をするも,それに対する元従業員の反応や態度等を踏まえると,上記問題点に対する元従業員の認識が不十分であるか,元従業員が指導に従う姿勢に欠ける等の理由で,改善の見込みが乏しい状況であったことが認められること等から,元従業員の労働契約上の地位確認請求及び本件解雇以降の賃金支払請求はいずれも理由がない。
本件解雇は客観的に合理的な理由が認められ,社会通念上相当として是認でき有効であるから,本件解雇が元従業員に対する不法行為を構成するとはいえず,また会社ないし会社関係者のモラルハラスメント行為や,安全配慮義務違反を基礎付ける事実等は認められないから債務不履行に当たるともいえないから,本件解雇等を理由とする元従業員の損害賠償請求は理由がない。

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